平成28年上半期農業景況調査 

2016年09月14日
日本政策金融公庫(略称:日本公庫)農林水産事業が、ご融資先の担い手農業者(注1)を対象に平成 28 年7月に実施した「平成 28 年上半期農業景況調査」で、28 年上半期の景況 DI(注2)は 27 年通期(以下、「27 年」という。)から悪化したものの、販売価格が好調に推移したことにより、2ケタのプラス値を維持しました。
一方、28 年通期の先行き景況 DI は、稲作や畑作において天候不順の影響により、27 年に比べて更に悪化する見通しです。調査結果の詳細は以下のとおりです。

<調査結果のポイント>

○ 景況 DI は多くの業種でプラス値。北海道稲作は天候不順でマイナス値(図、表1)
農業全体の 28 年上半期の景況 DI は、27 年(16.8)から 4.8 ポイント低下し、12.0となりました。
業種別では、茶(▲53.1→▲9.8)の景況 DI が大幅に改善しました。茶は消費低迷の状況にあるものの、燃料価格の下落や販売価格の上昇により収支が改善しています。
同様の理由で果樹(11.5→17.6)、施設花き(▲5.9→10.5)も改善しました。
一方、稲作は北海道(20.1→▲6.3)、都府県(▲3.8→▲3.8)ともにマイナス値となりました。背景には販売価格が思うように上がらないことや、消費の低迷に加え、北海道は6月以降の天候不順が影響しています。稲作に加え、畑作(35.2→5.2)も天候不順で 27 年より大幅に悪化しました。
畜産は、27 年に引き続き販売価格が好調な酪農(北海道:55.9→52.3、都府県:29.3→45.4)、肉用牛(48.5→40.5)、養豚(48.8→41.2)は DI 値が高い水準にあります。一方、採卵鶏(71.0→33.6)、ブロイラー(51.9→14.0)は販売価格が昨年を下回って推移していることから大幅に悪化しました。

○ 生産コスト DI は全業種で改善、円高で輸入価格の下落がプラスに作用(表5)
生産コスト DI は 27 年(▲44.7)から 21.4 ポイント改善し、▲23.3 となりました。
円安から円高に転じたことで輸入原材料価格の下落がプラスに働き、生産資材価格の下落に作用したことに加え、燃料価格、飼料価格の下落により、生産コスト DI が改善しました。
一方、肉用牛は▲33.7 と 27 年(▲63.1)から 29.4 ポイント改善するも、依然として肉用子牛の価格が高騰していること等から、引き続き低い水準にあります。

○ 設備投資見込み DI は全ての業種で改善、調査開始以来の最高値(表6)
28 年の半年経過時点での設備投資見込み DI は 28 年 1 月調査時(▲12.8)から 18.6 ポイント上昇し、5.8 となりました。
設備投資見込み DI がプラス値になったのは、平成8年の調査開始以来、初めてのことです。
全ての業種で DI が上昇し、前回調査時にマイナス値だった稲作(都府県:▲9.9→7.7)、施設野菜(▲22.9→3.4)、きのこ(▲10.3→12.5)、酪農(北海道:▲16.0→3.8、都府県:▲23.4→13.1)、肉用牛(▲0.3→23.4)がプラスに転じました。

○ 景況 DI、28 年通年の見通しは多くの業種で悪化(図、表1)
28 年通年の農業全体の見通し DI は、調査開始以来の最高値となった 27 年(16.8)よりも 16.0 ポイント低下し、0.8 ポイントとなりました。
天候不順が作物に大きな影響を与え、それらが下半期も続くとの判断とみられます。
見通し DI は、27 年と比べて大半の業種で悪化し、稲作(北海道:20.1→▲29.6)、畑作(35.2→▲21.0)、酪農(北海道 55.9→33.7)、肉用牛(48.5→17.8)、養豚(48.8→24.3)、採卵鶏(71.0→▲12.8)、ブロイラー(51.9→8.7)は大幅に悪化となりました。
一方、茶(▲53.1→▲7.0)、果樹(11.5→17.7)、施設花き(▲5.9→9.5)、きのこ(15.2→20.0)、酪農(都府県:29.3→37.5)は改善の見通しとなっています。


(注1) 認定農業者の経営改善の取組を後押しするスーパーL資金又は担い手農業者の新たな取組を支援する農業改良資金のご融資先
(注2) DIの算出方法については、添付資料P1の枠内にある注記を参照


【調査概要】
調査時期:平成 28 年7月
調査方法:往復はがきによる郵送アンケート調査
調査対象:スーパーL 資金または農業改良資金ご融資先のうち21,389先
 ※今回調査では、熊本地震による影響が見込まれる地域にある経営体を調査対象外としています
有効回答数:5,997先(回収率:28.0%)

稲作(北海道):559、稲作(都府県):1,690、畑作:438、露地野菜:482、施設野菜:440、茶:145、果樹:340、施設花き:210、きのこ:80、酪農(北海道):222、酪農(都府県):260、肉用牛:391、養豚:240、採卵鶏:125、ブロイラー:57、その他:318

詳しいリサーチ内容はネタ元へ
リンク先リサーチPDF
[日本政策金融公庫]
 マイページ TOP