総務省統計局では、「敬老の日」(9月19日)を迎えるに当たって、統計からみた我が国の高齢者のすがたについて取りまとめました。

【調査結果概要】

高齢者の人口 (人口推計)
・高齢者人口は3461万人、総人口に占める割合は27.3%と共に過去最高
・女性の高齢者割合が初めて30%を超える
・日本の高齢者割合は、主要国で最高

高齢者の人口移動(日本人移動者) (住民基本台帳人口移動報告)
・東京都や大阪府などで転出超過
・高齢者の都道府県間移動率は、男性は65~69歳が最も高く、女性は85歳以上で高い傾向

高齢者の就業 (労働力調査)
・高齢者の就業者数は、12年連続で増加し、730万人と過去最多
 就業者総数に占める高齢者の割合は、11.4%と過去最高
・日本の高齢者の就業率は、主要国で最高
・高齢雇用者の7割超は非正規の職員・従業員
 「自分の都合のよい時間に働きたいから」が最多の理由

高齢者の暮らし (家計調査)
・ICTを活用する高齢者が増加
・健康に気を配り、趣味を楽しむ高齢者

高齢者の家計 (家計調査、家計消費状況調査)
・交際費、保健医療への支出割合が高い高齢者世帯
・高齢者世帯の貯蓄現在高は1世帯当たり2430万円
・10年間で3.6倍に増加した高齢者世帯のネットショッピングの利用
・医薬品・健康食品への支出割合が高い高齢者世帯のネットショッピング

※  【高齢者】
この統計トピックスにおいては、65歳以上の方を「高齢者」としています。

【調査結果】

Ⅰ 高齢者の人口

高齢者人口は3461万人、総人口に占める割合は27.3%と共に過去最高

65歳以上の高齢者(以下「高齢者」といいます。)人口は3461万人(平成28年9月15日現在推計)で、総人口に占める割合は27.3%となっています。前年(3388万人、26.7%)と比較すると、73万人、0.6ポイント増と大きく増加しており、人口、割合共に過去最高となりました。
年齢階級別にみると、70歳以上人口は2437万人(総人口の19.2%)で、前年と比較すると、19万人、0.2ポイント増、75歳以上人口は1697万人(同13.4%)で、59万人、0.5ポイント増となりました。また、80歳以上人口は1045万人(同8.2%)で、前年と比較すると、43万人、0.3ポイント増となりました。(表1)

女性の高齢者割合が初めて30%を超える

高齢者を男女別にみると、男性は1499万人(男性人口の24.3%)、女性は1962万人(女性人口の30.1%)で、女性が男性より463万人多くなっており、割合では、女性が初めて30%を超えました。
人口性比(女性100人に対する男性の数)を年齢3区分別にみると、0~14歳では105.0、15~64歳では102.1と男性が多いのに対し、65歳以上では76.4と女性が多くなっています。また、70歳以上では70.1、75歳以上では63.7、80歳以上では54.8となっています。(表1)
高齢者の総人口に占める割合の推移をみると、昭和25年(4.9%)以降一貫して上昇が続いており、60年に10%、平成17年に20%を超え、28年は27.3%となりました。(図1、表2)

日本の高齢者割合は、主要国で最高

主要国の中で平成 28 年の高齢者の総人口に占める割合を比較すると、日本(27.3%)が最も高く、次いでイタリア(22.7%)、ドイツ(21.4%)などとなっています。日本の高齢者割合を平成7年及び平成 17 年と比較すると、12.7 ポイント増、7.1 ポイント増となっており、主要国の中で高齢化の進行が早いカナダ(4.7 ポイント増、3.5 ポイント増)、イタリア(6.2 ポイント増、3.2 ポイント増)と比較しても、最も高齢化の進行が早くなっています。(図2、表3)

Ⅱ 高齢者の人口移動(日本人移動者)

東京都や大阪府などで転出超過

平成27年の高齢者の転出超過数を都道府県別にみると、東京都が5,423人と最も多く、次いで大阪府(1,101人)など24都道府県で転出超過となっています。このうち、東京都の転出超過数は前年と比較すると、684人の増加となりました。
転入超過数をみると、埼玉県が2,056人と最も多く、次いで千葉県(2,040人)、神奈川県(1,121人)など23府県で転入超過となっています。このうち、神奈川県の転入超過数は前年と比較すると、192人の増加となりました。(図3)

高齢者の都道府県間移動率は、男性は65~69歳が最も高く、
女性は85歳以上で高い傾向


平成27年の都道府県間移動者数(都道府県の境界を越えて住所を移した人数)を年齢3区分別にみると、高齢者は11万1219人(都道府県間移動者の総数に占める割合は4.8%)となっています。
高齢者の都道府県間移動率(男女年齢階級別人口※)に対する移動者数の比率)を年齢5歳階級別にみると、85~89歳が最も高くなっています。また、男女別にみると、男性は65~69歳が最も高く、女性は85歳以上で高い傾向がみられます。(表4)

※)「平成27年国勢調査」(抽出速報集計)

Ⅲ 高齢者の就業

高齢者の就業者数は、12年連続で増加し、730万人と過去最多
就業者総数に占める高齢者の割合は、11.4%と過去最高


平成27年の高齢者の就業者数は、12年連続で増加し、730万人と過去最多※)となっています。
また、平成27年の高齢者の就業率は、男性が30.3%、女性が15.0%となっています。このうち、65~69歳の就業率は、男性が52.2%、女性が31.6%といずれも前年より高くなっています。(図4、図5) ※)比較可能な昭和43年以降

日本の高齢者の就業率は、主要国で最高

主要国における高齢者の就業率を10年前と比較すると、カナダは+4.9ポイント、イギリスは+3.8ポイント、アメリカは+3.7ポイント上昇しています。日本は+2.3ポイント上昇し、高齢者の就業率は21.7%となっており、主要国の中で最も高い水準にあります。(図7)

高齢雇用者の7割超は非正規の職員・従業員
「自分の都合のよい時間に働きたいから」が最多の理由


平成27年の就業者のうち、雇用されている者は役員を除いて5284万人であり、うち高齢者(以下「高齢雇用者」といいます。)は360万人と、役員を除く雇用者全体の6.8%を占めています。
また、雇用されている5284万人について、正規・非正規の別をみると、正規の職員・従業員が3304万人、非正規の職員・従業員が1980万人となっています。このうち、高齢雇用者の非正規の職員・従業員は267万人と、高齢雇用者の74.2%を占めています。(図8)

高齢雇用者について雇用形態別の内訳をみると、パート・アルバイトが49.7%と最も高く、次いで正規の職員・従業員が25.8%、契約社員が9.2%などとなっています。(図9)

雇用形態が非正規の職員・従業員の高齢雇用者について、現在の雇用形態についた主な理由別にみると、「自分の都合のよい時間に働きたいから」が 31.7%と最も高く、次いで「家計の補助・学費等を得たいから」が 20.1%、「専門的な技能等をいかせるから」が 14.9%などとなっています。(図 10)

Ⅳ 高齢者の暮らし

ICTを活用する高齢者が増加

二人以上の世帯について、世帯主の年齢階級別にインターネット接続料注)の年間支出金額を平成 27年とその5年前の平成 22 年との増減(差)を比較すると、増加幅が最も大きいのは 60~69 歳の世帯(5,305 円の増加)で、次いで 70 歳以上の世帯(4,027 円の増加)などとなっています。(図 11)

インターネットの利用率について、通信利用動向調査から利用者の年齢階級別に5年前と比較すると、70~79 歳が 14.3 ポイント増と最も大きく、次いで 60~69 歳が 12.2 ポイント増などとなっており、ICT の活用する高齢者が増えていることがうかがえます。(図 12)

健康に気を配り、趣味を楽しむ高齢者

二人以上の世帯について、世帯主の年齢階級別に国内旅行や海外旅行などの「パック旅行費」の年間支出金額をみると、世帯主が 65 歳以上の高齢者世帯が年間6万円を超え最も高く、最も低い 25~34歳の世帯に比較して約2倍となっています。「園芸用植物、園芸用品」、カルチャースクール等の月謝の一部などを含む「他の教養的月謝」も高齢者世帯の支出金額が最も高くなっています。
また、サプリメントなどの「健康保持用摂取品」についてみると、世帯主の年齢が高くなるほど年間支出金額が高くなっており、高齢者世帯の支出金額は 25~34 歳の世帯の金額の約6倍となっています。(図 13)
このように、健康管理に気を配りながら、旅行や趣味を楽しむ高齢者のすがたが見て取れます。

Ⅴ 高齢者の家計

交際費、保健医療への支出割合が高い高齢者世帯

高齢者世帯(世帯主が65歳以上である二人以上の世帯)について、平成27年の消費支出の10大費目別構成比を二人以上の世帯全体の平均と比較すると、「保健医療」が1.34倍と最も高く、健康の維持・増進のため保健医療に費やす支出割合が高いという特徴がうかがえます。次いで「光熱・水道」が1.11倍、「その他の消費支出」が1.09倍などとなっています。
「その他の消費支出」の内訳をみると、「交際費※)」が1.42倍と高くなっており、子や孫の世帯など世帯外への金品の贈与などが高くなっています。
なお、世帯主が65歳未満の世帯では、「教育」が1.53倍、「交通・通信」が1.11倍などとなっています。(図14、表5)
※)「家計調査」における交際費とは、世帯外の人への贈答用金品及び接待用支出並びに職場、地域などにおける諸会費及び負担費。なお、「世帯」とは、住居及び家計を共にしている人の集まりのこと。

高齢者世帯の貯蓄現在高は1世帯当たり2430万円

高齢者世帯(世帯主が65歳以上である二人以上の世帯)の貯蓄現在高は、平成27年は1世帯当たり2430万円となっています。貯蓄現在高は、平成25年、26年と2年連続で増加していましたが、27年は3年ぶりの減少で、定期性預貯金などが減少しています。
なお、1世帯当たり平均の貯蓄現在高は、貯蓄額の高い世帯によって引き上げられます。そこで、貯蓄額の低い世帯から高い世帯へ順番に並べた際にちょうど中央に位置する世帯の値(中央値)をみると、平成27年は1547万円となっています。(図15)

10年間で3.6倍に増加した高齢者世帯のネットショッピングの利用

高齢者世帯(世帯主が65歳以上である二人以上の世帯)について、ネットショッピングを利用した世帯割合をみると、平成27年は13.6%となり、17年(3.8%)からの10年間で3.58倍となっています。若い世代の利用が多いと思われがちなネットショッピングですが、高齢者でも利用が増えていることがうかがえます。(図16)
なお、世帯全体(二人以上の世帯)のネットショッピングを利用した世帯割合は、平成17年が10.8%、平成27年が27.6%となっています。

医薬品・健康食品への支出割合が高い高齢者世帯のネットショッピング

高齢者世帯のネットショッピングの支出金額について、平成27年の品目・サービスの構成比をみると、「旅行関係費」が22.5%と最も高く、次いで「食料」が16.4%などとなっています。(表6)
また、ネットショッピングで購入した品目・サービスの構成比を、高齢者世帯以外の二人以上の世帯(世帯主が65歳未満の世帯)と比較すると、「医薬品・健康食品」が1.82倍と最も高く、次いで「保険」及び「贈答品」が1.50倍、「食料品」が1.21倍などとなっています。(表6、図17)

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