「介護ロボット」についての調査 

2016年09月21日
ウェルクスは、介護のお仕事研究所の読者、介護系のSNS(Facebook、Twitter)の読者を対象に、「介護ロボット」について調査を実施しました。

【背景】

介護業界の人材不足を解決する手段として、今注目されている「介護ロボット」。
矢野経済研究所が2016年3月~6月に行った調査によると、2015 年度の国内介護ロボット市場規模は10 億 7,600 万円にのぼり、前年度比 549.0%と大きく伸長しています。

また、国が介護ロボット普及のための購入補助を進めており、事業所の金銭的負担を減らすため、介護ロボット購入の助成金に予算52億円が確保されています。

こうした盛り上がりの中で、現場の介護職員は、介護ロボットについてどう思っているのでしょうか?
現場で働く介護職員に、「自分の職場に介護ロボットが導入されることについて」伺いました。

※本調査では、介護ロボットを「身体機能を補助するロボット(以下、『身体機能補助ロボット』」と「コミュニケーションロボット」に分けて調査を行っています。

【調査結果】

■移乗介助ロボット『RIBA』、身体機能補助ロボットスーツ『HAL』、メンタルコミットロボット『パロ』を挙げて、「これらの介護ロボットが自分の職場に導入されたら、使いこなせると思いますか?」と質問したところ、RIBAは「使いこなせる」16.2%、「使いこなせない」83.8%。HALは「使いこなせる」39.1%、「使いこなせない」60.9%。パロは「使いこなせる」22.9%、「使いこなせない」77.1%となりました。

■介護職自身の職場に身体機能を補助する介護ロボットが導入されることの賛否について質問したところ、身体機能補助ロボットは「賛成」66.2%、「反対」33.8%となりました。

コミュニケーション型の介護ロボットが導入されることの賛否については、「賛成」62.1%、「反対」37.9%となりました。

■「身体機能補助ロボットの導入に賛成」と回答した人に対して、その理由について質問したところ、以下の回答がありました。

「ロボットのみには頼れないが、補助的にあるのならば、人数が増えて?利用者一人一人にすぐに対応が出来るようになるから」(40代・男性)
「少しでも利用者と介助者の精神、身体面で良くなる効果があるなら、活用すればいいと思う」(30代・女性)
「人力だけでの介護に限界を感じてきている」(20代・男性)
「介護職の身体的負担の軽減により経験豊富なスタッフの離脱リスクの減少や新人スタッフの入職に役立てる。また、精神的余裕からケアの質の向上も図れると考える」(30代・男性)
「身体の大きい方の介助がしやすくなるのでは?」(20代・女性)

■「身体機能補助ロボットの導入に反対」と回答した人に対して、その理由について質問したところ、以下の回答がありました。

「機械の故障で事故が起きたら責任はどうなるかわからないから」(20代・男性)
「人間だからできる介護じゃないですか!  将来なるかもしれないけど、味気ないですよ。だから反対です」(30代・男性)
「介護の仕事をはっきり言ってなめないでください」(50代・男性)
「利用者の残存能力を生かした、その時その時の動きが出来るのか?そして、毎日毎日もの凄い回数になる。施設の機械は、消耗が激しく自分達で出来るところは修理しながら使っている現状。壊れるのが早いんじゃないかと思う」(30代・女性)

■「コミュニケーションロボットの導入に賛成」と回答した人に対して、その理由について質問したところ、以下の回答がありました。

「仕事に追われちゃんとしたコミュニケーションがなかなか取れないので少しは役に立つ可能性があるから」(30代・女性)
「普段もコミュニケーションを図ろうとしていますが、利用者様が退屈にしている時間など相手になってもらうと助かる。また利用者様が職員には言えない愚痴や本音を言える時間になり、ストレスを取り除ける可能性がある」(20代・女性)
「利用者の笑顔が少しでも多く見られるなら導入はあっていいと思う」(40代・男性)
「介護職が思っているほど、高齢者に拒否感はないという事実が、検証する機会があり、実体験を通してわかったから」(20代・男性)

■「コミュニケーションロボットの導入に反対」と回答した人に対して、その理由について質問したところ、以下の回答がありました。

「コミュニケーションは人間同士でなければ、成立しないと思う」(40代・女性)
「ロボットなんかと話すよりやっぱり人同士で話すべきだと思います。温かみがないから」(30代・女性)
「介護は心のケアや温かさを私は重要だと思っております。高齢者たちは私たち世代でさえロボットになれないのにどうなるのでしょうか。人と人との繋がりを重要視する世代でもあります。介護ロボットを作る前に、そんなの導入するお金があるなら人件費を増やせば求人もあつまるのではないでしょうか」(20代・女性)
「介護ロボットにはっきり言って人の命が救えますか?」(50代・男性)

■「介護は人間がやるべきだと思いますか?」と質問したところ、「そう思う」と答えた人が51.4%、「別にそう思わない」と答えた人が48.6%となりました。

■「介護は人間はやるべきだと思う」と回答した人に対して、その理由について質問したところ、以下の回答がありました。

「今の技術のロボットから愛を感じる事はできますか?」(30代・女性)
「ただでさえ、高齢になると対人関係が減少するイメージなのに最後の砦で人が関わらないのは切ない」(20代・女性)
「人間の繊細な変化に気づくのは人間でも難しい。例えば皮膚状態の観察、動作歩行などのADL、認知機能の緩やかな低下、他にも様々なやりとりや、血の通った肌でないと状況の悪化につなげることになる」(40代・女性)
「確かに楽にはなるけど、対人なのだから気持ちや感情を分かち合い、それに対する適切な考察ができるし、温もりが感じられて落ち着く人だっている。ロボットになってもいずれは人が関わることになるし…。」(30代・男性)
「介護は人間の営みだから」(50代・男性)

■「介護は人間はやるべきだとは別に思わない」と回答した人に対して、その理由について質問したところ、以下の回答がありました。

「むしろ人間のほうが嫌な事がある。羞恥に関わる部分。自分はやってるけれどオムツ交換や入浴を他者に直接見られる触られるのは恥ずかしい」(30代・男性)
「限界がある。人手不足、今のままの日本なら年寄りに潰されるだけだから」(30代・女性)
「ロボットの方は危険があってもまだマシな感じがします。人にやってもらうと嫌な顔されるのでまだロボットの方がいいかな」(20代・女性)
「機械でできるなら機械でもいいかな」(20代・男性)
「必ずしも人間が行わなくても、介護される側が満足ならどのような形でもいいのではないか」(30代・女性)

■「もしあなたがロボット開発の担当者だとしたら、どのような介護ロボットを開発しますか?」と質問をしたところ、以下の回答がありました。

「コミュニケーションロボットのコンシェルジュ化。映像や音、香りを使用して、言葉ではイメージしにくくなっている高齢者との会話の助けとなるもの。利用者にあわせて室温、湿度などの管理を常時行う」(30代・女性)
「夜間対応型の介護ロボット。排泄、傾聴、徘徊対応等を行いロボットで出来ないところを人が対応できるようなロボットを作りたい」(40代・女性)
「羞恥に関わる分野、排泄・入浴・更衣を自動もしくは介護者は肌を直接見ないでも簡単に出来る機械化」(30代・男性)
「介護ロボットを開発する気持ちもはっきり言ってありません」(50代・男性)
「介護士のストレスを減らすロボット」(40代・女性)
「認知症の方の進行を予防出来るようなレクリエーションの出来るロボット」(30代・女性)


【調査概要】
・調査期間:2016年8月9日(火)~9月9日(金)
・調査対象:介護のお仕事の読者のほか、介護系のSNS(facebookページ、twitter)の読者となっている全国の10代~60代の男女74名
・男女割合:男性/37.8%・女性/62.2%

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