訪日中国人観光客の行動分析 

2016年09月14日
インターネットリサーチ事業を展開するGMOリサーチは、ナイトレイより、訪日外国人観光客の行動解析サービス「inbound(インバウンド) insight(インサイト)」のデータ提供を受け、訪日中国人観光客(以下、訪日中国人)の行動分析を行いました。
 SNSに投稿された発言内容・位置情報等から、今春、東京都内各所を訪れた訪日中国人の目的が明らかになりました。

●分析テーマ:訪日中国人観光客の日本での行動
●分析地域:東京都区部(23区)
●分析対象:訪日中の中国人観光客のWeiboおよびTwitter上での発言543件
●分析期間:2016年3月~4月の2ヶ月間
●分析方法:KH Coder(※1)を利用した共起ネットワーク分析(※2)

(※1)立命館大学・樋口耕一氏が自作し公開している、テキストデータを統計的に分析するためのフリーソフトウェア。
(※2)共起ネットワーク分析とは、文章の中で使われている特徴的な言葉(単語)や出現数の多い言葉などを抽出し、それと共起関係にある言葉(単語)を視覚的にネットワーク化すること。

【分析背景】

 訪日外国人観光客の数は、2015年に約1,974万人に達し(※3)、2016年の上半期累計は対前年同期比28.2%増の約1,171万人と過去最高を記録する(※4)など、引き続き増加傾向にあります。中でも訪日中国人は、上半期累計で300万人超、対前年同期比41.2%増と国別でトップの伸び率となっており、今後もさらなる増加が期待されています(※4)。
 過去にGMOリサーチが実施した調査によると、訪日中国人は、滞在中に「日本食」、「ショッピング」、「自然・景勝地観光」を楽しんでいる人が多いことが分かっています(※5)。
 そこでGMOリサーチは、訪日中国人が東京都内において、具体的にどのエリア・施設でどのような観光行動をしているのかを探るべく、ナイトレイの訪日外国人観光客の行動解析サービス「inbound(インバウンド) insight(インサイト)」で解析された訪日中国人のSNS投稿データをもとに、その行動を分析しました。
 GMOリサーチとナイトレイは、訪日外国人観光客のSNSでの発言内容・投稿画像・位置情報等を参照したリサーチサービスの提供を予定しており、本分析は、今後のサービス提供に向けたテスト調査となります。

(※3)日本政府観光局(JNTO):2016年1月19日「訪日外客数(2015年年間推計値)」
(※4)日本政府観光局(JNTO):2016年7月20日「訪日外客数(2016 年 6 月推計値及び上半期推計値)」
(※5)2016年6月1日発表「訪日中国人の消費行動調査」

【分析結果】

■全体構造:エリアごとにクラスタが存在(図・表1)
 分析の結果、『築地』『上野』『新宿』といった地名の出現数が多く、地名を中心としたクラスタが存在することがわかった。例えば、『築地』は「食べる」「寿司」など食関連、『上野』は「花」「桜」などのお花見関連、『新宿』は「御苑」や「西新宿」といった施設・地名関連の言葉(単語)と共起されている。一方で、他の大多数の単語には一定の傾向は見出しにくい。

■部分構造:クラスタごとの共起ネットワーク分析
 以下に、上位3クラスタ『築地市場』『上野公園』『新宿』のネットワーク分析結果を示す。
 出現数(全体)は、分析対象となったSNS投稿データ(543件)の中で、その単語が出現した回数を、共起数は各クラスタ内での単語の出現回数および割合を示している。

●クラスタ1 築地市場(図・表2)
 『築地市場』クラスタでは、地名である「築地」(共起率:100%)および「市場」(96.1%)がネットワークの中心となり、他の単語と広く共起されていることがわかる。この2語に続いて、「寿司」「朝食」「朝」「刺身」が共起数3回(5.9%)以上となっており、訪日中国人は新鮮な海産物を食べるために、朝早くに築地市場を訪れている様子がうかがえる。

●クラスタ2 上野公園(図・表3)
 『上野公園』クラスタでは、地名と関係する「上野恩賜公園」(95.7%)、「上野」(93.5%)の2語が9割以上の発言に含まれており、「公園」(43.5%)とともにネットワークの中心となっている。これに次いで「桜」が共起数16回(34.8%)、関連語と思われる「花」が同4回(8.7%)となっており、上野公園に桜の鑑賞目的で訪問している人が多いことが読み取れる。
 また、「桜」や「公園」とともに「東京近代美術館」「東京国立博物館」「正岡子規記念球場」といった施設が共起されており、花見とともに上野公園内のさまざまな施設へも足を運んでいることがうかがえる。

●クラスタ3 新宿(図・表4)
 『新宿』クラスタでは、地名である「新宿」(100%)を中心に、「御苑」(55.3%)も比較的大きな共起ネットワークを形成しており、新宿御苑周辺で観光する人が多数いることがわかる。この「御苑」ネットワークでは、少数ではあるが、「桜」「花」「花びら」といった単語が共起されており、新宿御苑でも花見をしている様子がうかがえる。
 そのほか、「ZARA」「丸井」「蟹道楽」「瀬里奈」といった新宿に点在する店舗名が共起されており、新宿周辺で食事やショッピングを楽しんでいる様子も見受けられる。

【総論】
 この度のSNS投稿データ分析により、今春、日本を訪れた中国人が、東京都内のどこで何を目的に行動していたかが明らかになりました。3月~4月という季節柄、特徴的なキーワードは「食」と「桜」となっています。
 「食」というキーワードに代表されるのは、クラスタ1として挙がった築地市場です。ネットワーク図を見ると、多くの訪日中国人が「マグロ」「トロ」「ウニ」「ホタテ」といった海産物を朝早くから楽しんでいることが分かりました。海産物を中心とした市場や食堂などの専門店が多数連なる築地市場は、昨今では訪日外国人観光客向けのツアーも組まれていることから、観光スポットの1つとして定着していると考えられます。先月8月31日には、築地市場の移転が来年2月以降に延期することが発表されたため、今秋~冬にかけて訪日中国人の駆け込み客が増えるかもしれません。
 一方、日本の春を代表する「桜」という単語も多数出現しており、訪日中国人は上野公園、新宿御苑で花見を楽しんでいることが明らかとなりました。投稿の中には「#sakura」「#cherryblossom」といったハッシュタグとともに画像URLが添付されている事例も複数見られました。このように、日本の風物詩にも関心が高いことから、これからの季節は紅葉が話題として挙がりそうです。

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