体育会学生の就職活動状況に関する調査 

2016年08月24日
体育会学生の就職・キャリア支援を行うアスリートプランニングは、『アスリート就職ナビ2017』を利用する体育会学生の就職活動状況に関して調査を実施しました。

<主な調査結果>

○77.8%が「就職先を決定し活動終了」

○56.6%がインターンシップに参加

○91.1%が学内で行われるセミナー・ガイダンスに参加

○19.5%が部活の先輩や監督・コーチ経由で選考を受ける

○かかった費用は平均 11 万 7,000 円、最大は 50 万円

○49.9%が「継続力・諦めない心・粘り強い」をアピール

○29.4%が「交通費などの費用」で困っている


<調査結果>

(1)約 8 割の体育会学生が「就職先を決定し活動終了」
7 月 19 日時点で、77.8%の学生が「就職先を決定し活動終了」という結果になりました。内定を保持している学生を合わせると約 9 割となり、「活動中で内定なし」は 1 割未満となっています。なお、活動予定がないと回答した学生は学校推薦や指導者からの紹介で就職が決まる見込みであることがほとんどで、体育会の経験やネットワークを活かすことで、就職活動をしなくて済んだというケースになります。「これから活動する」と回答した学生に理由を尋ねたところ、「部活動が忙しく、活動時間が取れない」といった背景があり、体育会ならではの課題が存在することが読み取れます。

(2)体育会学生の 6 割が「3 年生の後期」から準備開始
60.1%の学生が、3 年生の後期から就職活動の準備を開始しています。2016 卒学生のデータと比較すると、若干ではありますが 3 年生の夏休み以前に準備を開始した学生が増加しており、体育会学生の間でも就職・キャリアに関する意識が高まっていることが考えられます。また、競技によっても活動時期に差異が見られ、たとえば冬季に本格的なシーズンを迎えるスキー・スケート等の競技では、他の部活動と比較して 3 年生の夏休み以前に準備を始める学生が多いという結果になりました。

(3)6 月上旬で半数以上の体育会学生が活動終了
選考スケジュールが変更となった影響で、6 月に就職活動を終了した学生が 77.4%となりました。中でも、6 月上旬に終えた学生は 54.8%にのぼり、大手企業を中心に短期決戦となったことが窺えます。8 月は合宿・大会のシーズンとなるため、多くの体育会学生にとっては 6 月選考のほうが動きやすいようです。また進路決定後、速やかに部活動に復帰することが可能になり、最後のシーズンに集中できて良かったという話もあります。活動中で未内定の学生は、活動を終えた学生と比較して 4 年生になってから準備を始めた割合が最も高く、準備開始時期が活動終了時期に影響すると考えられます。

(4)体育会学生の決め手は「仕事内容」「雇用条件」「職場の雰囲気」
昨年に続き、仕事内容がトップとなり「給与・福利厚生の充実」「職場の雰囲気」が続く結果となりました。体育会学生は売り手市場における自らの価値を実感し、雇用条件という形で自分たちを高く評価する企業に好感を持つと考えられます。

(5)体育会学生が就職活動にかけた費用の平均は「11 万 7,000 円」
交通費・宿泊費・食費・書籍代・スーツ代など、就職活動にかかった費用の平均は「11 万 7,000 円」となり、昨年と比較してやや低下しました。体育会学生は部活動や講義で忙しく、アルバイトをする時間がありません。また、グラウンドなど設備の関係で遠方にいることが多いため、説明会や面接に行く企業を見極め、絞っていると考えられます。体育会学生を高く評価する企業が増えるほど、この傾向は強まるように感じられます。

(8)半数以上の体育会学生がインターンシップに参加、部活動との兼ね合いが懸念
インターンシップに参加した体育会学生は、56.6%となりました。約半数が 1 日のプログラムに参加しており、週 5~6 日の練習がある体育会学生にとっては、2 日以上のプログラムはハードルが高いと考えられます。中には、部活動を休んでインターンシップに参加するケースもあり、本人にとっても部にとってもマイナスの影響が出てしまうことが課題です。

(10)外部イベントはスケジュール・内容を見極めて参加
学外で行われる合同企業説明会には大半の学生が参加しており、その多くが「1~5 回」と回答しました。早期イベントは週末に開催されることが多いですが、体育会学生は大会・試合が入っていることが多く、その結果次第で参加可否が決まるため、回数が限られます。したがって、体育会学生はイベントの内容を見極め、自分たちにとって最も有益であると思われるものを選んで参加していると考えられます。合同企業説明会で出会った企業はその後、個別説明会への参加を促すケースが多いため、スケジュール調整が再度必要になり、体育会学生にとっては負担となっていることも課題です。

(11)Web エントリーは「11~20 社」がボリュームゾーン
就職情報サイトや、企業の採用ページからの Web エントリー社数は「11~20 社」が最も高い 24.1%となりました。前述の合同企業説明会と同様、体育会学生はエントリー後に開催される個別説明会に参加できる機会が限られるため、応募する企業を厳選する傾向が見られます。体育会学生にとっては、エントリー前にいかに良質な情報を収集できるか、効率よく選考に参加できるかが課題となります。

(12)会社説明会・セミナー参加社数は「11~20 社」が最多
会社説明会・セミナー参加社数は「11~20 社」が 32.6%でトップとなりました。Web エントリー社数と同様の結果となり、「大量にエントリーして絞っていく」というスタイルではなく、「対象を厳選し、効率よく活動する」という体育会学生独特の行動パターンが表出していると考えられます。

(13)エントリーシート提出社数も「11~20 社」がトップ
エントリーシートの提出は、僅差で「11~20 社」が最も多く、Web エントリー・説明会参加と同数となりました。エントリーシートの作成は説明会への参加と同様、体育会学生にとっては相当の負担となるため、練習前後の時間やオフの日を使って作成できる範囲内で、対象を選んでいると考えられます。

(14)筆記試験受験社数は「1~5 社」が最多、実施しない企業も
SPI をはじめとする筆記試験の受験社数は「1~5 社」が 42.4%でトップとなりました。これは、体育会学生が応募企業を厳選していることに加え、一部の企業が筆記試験の受験を免除、もしくは実施していないためと考えられます。高く評価している体育会学生に対し、選考ステップを減らす特別選考ルートを設定することで部活動への影響を最小限にすることができるとともに、企業側も効率的に採用活動を行うことが可能になります。

(16)4 割近くの学生が「6~10 社」の面接を受験
面接受験社数は、37.2%の学生が「6~10 社」と回答し、次に多い「1~5 社」と合わせると 64.9%となります。既に進路を決定し活動を終了している学生が約 8 割であることを考慮すると、多くの学生がこの範囲内で内定を獲得していることになり、非常に高い選考通過率であることが窺えます。

(17)内定社数は「1~2 社」で 6 割超、早く部活動に戻りたい体育会学生
内定保持者に、その社数を尋ねたところ「1 社」が 36.3%、次いで「2 社」が 28.1%となり、合計すると 64.4%となりました。引く手あまたの体育会学生ではありますが、夏には合宿、秋からは最後のリーグ戦を控えている部活も多く、1 日でも早く進路を決めて部活動に復帰したいと考える傾向があるようです。とはいえ、安易に進路選択をしているわけではなく、彼らは自分で考え決断したことについて責任を持ち、行動することができるため、ミスマッチによる早期離職などは少ないと考えられます。

(18)約 2 割の体育会学生が部活動のネットワークを活かして選考に参加
応募企業の選定において、先輩・指導者の影響が強いことも体育会学生の特徴です。19.5%の学生が部活動の先輩・指導者から企業の紹介を受け、選考に参加したと回答しています。普段から学生の練習ぶりを見てきた先輩・指導者だからこそ、自信を持って紹介ができ決定率も高いです。競技レベルの高い部活・メンバーほど練習やその他活動に時間を取られることが多いため、このような形で効率的に就職活動を行うことで、部の強化にもつながっていると考えられます。一方、自らの力で活動をする必要がある部活の場合、主将・主務といった役職者が立場上、練習を休むことができないといった問題が発生しています。


<調査概要>
調査対象:「アスリート就職ナビ 2017」利用中の体育会学生
有効回答数:459(99 大学)
調査方法:Web アンケート
調査期間:2016 年 7 月 12 日~7 月 19 日

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