医療機関におけるストレスチェック実施状況調査(病床数20以上の医療機関に勤務する事務長対象) 

2016年08月23日
エス・エム・エスは、病院事務長向け経営情報サイト「じむコム」内で『医療機関におけるストレスチェック実施状況アンケート』を実施し、78名の病院事務長より回答をいただきました。

2015年12月から常時50人以上労働者を使用する事業場に対し実施が義務化された「ストレスチェック制度」ですが、今回の調査で、医療機関におけるストレスチェックの実施は、「実施事務従事者の手間確保」「事前準備」「面接指導を行う医師の確保」が主な課題となることが明らかになりました。この課題の解決策として、ストレスチェック業務の一部を外部委託する医療機関が過半数を超え、中でも「実施事務従事者業務(配布、収集、分析など)」は、外部委託利用医療機関の72%が、「事前準備」は42%が、外部委託しています。一方、「医師による面接指導」の外部委託率は21%に留まっていることがわかりました。

【調査結果(抜粋)】

調査結果1:ストレスチェック実施にあたっての困りごと

【じむコム分析】
「実施事務従事者の手間確保(配布、集計、分析など)」「事前準備(衛生委員会での規定作りなど)」「面接指導を行う医師の確保」の3つの割合が高く、主な課題といえます。

調査結果2:ストレスチェック実施状況について

【じむコム分析】
初年度のストレスチェックは2016年11月30日までに実施する必要がありますが、期限直前の8月から11月に実施予定の医療機関が多く、また調査時点(2016年6月)で24%の医療機関がまだ実施の方向性が定まっていないと回答しています。

調査結果3:ストレスチェック業務の外部委託について

【じむコム分析】
ストレスチェックを実施する病院の56%が何らかの業務を外部委託した、もしくはする予定と回答しています。(なお、受験対象者数が400人以上の医療機関の場合、委託率は82%に上ることがわかっています)

委託業務の内訳を[調査結果1:ストレスチェック実施にあたっての困りごと]の回答結果と比較してみると、「実施事務従事者業務」は72%、「事前準備(衛生委員会での規定作りなど)」も42%と高い比率となっており、ストレスチェックにおける課題解決として、外部委託という方法を取る医療機関が多いことがわかります。一方、「医師による面接指導」の委託率は21%に留まります。この背景としては、面接指導医は人事権を持つ院長や理事長といった医師が担当することも可能とされていること(なお、実施者については、人事権を持つ医師の起用はNG)や、初年度ということで面接指導の希望者がどの程度出るかわからないことなどから、コストを抑えることを重視し、自医療機関内で対応する決断をしたところが多いのではないかと推測されます。

調査結果4:ストレスチェック業務の外部委託先選定にあたり重視すること

【じむコム分析】
外部委託先の選定にあたって重視することとして、87%がコストと回答。その他の回答はすべて30%未満であることから、コスト重視の方向性が顕著に表れています。

調査結果5:ストレスチェックの実施者について

【じむコム分析】
ストレスチェックの実施者として認められているのは、医師、保健師、および厚生労働大臣が定めた研修を受けた看護師と精神保健福祉士となっています。医療機関においては、半数以上が「医師(産業医)」が実施者となると回答。実施者職種と医療機関種別の相関を見ると、精神科医療機関にて精神保健福祉士の割合が高くなったのが特徴的です。スタッフの中に精神保健福祉士がいる場合、医師の手を煩わせず、精神保健福祉士に実施者業務を任せることが多いものと推測されます。

調査結果6:ストレスチェックの実施手段について

【じむコム分析】
「紙・マークシート」が70%と圧倒的に多いことがわかります。医療機関では部署や職種によって、PC環境やリテラシーに差があるため、WEB環境ではなく紙での実施が多くなっていると考えられます。

調査結果7:集団分析について

【じむコム分析】
集団分析の実施は努力義務とされていますが、「実施する」「実施する予定」との回答が合わせて70%となり、前向きに検討されていることがわかります。(「実施しない予定」という回答は9%でしたが、受験対象者数が99人以下の場合、26%に上ります。理由として、分析単位の人数が10名未満の場合、集団分析をしてはならないことが考えられます)


【調査概要】
調査対象:病床数20以上の医療機関に勤務する事務長
調査期間:2016年6月10日(金)~2016年6月23日(木)
調査方法:インターネット調査
有効回答数:78名

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[エス・エム・エス]
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