ERP市場動向に関する調査(2016年) 

2016年08月22日
矢野経済研究所は、国内のERPパッケージライセンス市場の調査を実施した。

<ERPパッケージとは>
 ERP(Enterprise Resource Planning)パッケージとは、財務会計、人事給与、販売管理、生産管理などの基幹業務データを統合する情報システムを構築するための基幹業務管理パッケージソフトウェアを指す。また、本調査におけるERPパッケージライセンス市場では、基幹業務の一部機能のみを持ち、ERPパッケージのモジュール(構成要素)となるパッケージソフトウェアも対象とした。

【調査結果サマリー】

◆2015年のERPパッケージライセンス市場は前年比8.0%増、マイナンバーも追い風
 2015年の国内ERPパッケージライセンス市場は1,111億円(エンドユーザ渡し価格ベース)、前年比8.0%増となった。2014年の伸び率を上回り、堅調な成長を維持している。2015年はユーザ企業の業績が好調だったこと、一部のERPベンダーが2015年10月に施行されたマイナンバー制度をきっかけとした人事分野での需要獲得に成功したことなどが、成長の理由になっていると考える。

◆需要は引き続き堅調で、2016年のERPパッケージライセンス市場は前年比8.1%増と予測
 ERPへの投資拡大につながると期待されていた消費税増税と軽減税率の導入の先送りが決まり、2016年は法改正等による影響は少ないといえる。一方で、経営に貢献する基盤の構築というERP本来の目的で基幹システムを見直すニーズがERPパッケージライセンス市場を支えている。会計や人事分野でのグループ導入や、販売管理や生産管理分野での個別開発からERPパッケージへのリプレイスは継続しており、2016年のERPパッケージライセンス市場(エンドユーザ渡し価格ベース)は、前年比8.1%増の1,200億7,000万円を予測する。

◆経済環境の変化に対応し、経営に貢献するERPが求められる
 2016年以降は、イギリスの欧州連合(EU)離脱問題や円高、中国を初めとする新興国の景気悪化、国内個人消費の不振など経済全般的に不安定な色合いが強まっており、ERP市場の成長を鈍化させる懸念がある。しかし、不安定な外部環境に的確に対応できる経営のプラットフォームを構築したいという戦略的な理由でERPを再構築するユーザ企業も増えている。それに伴い、導入スピードが短く柔軟性の高いクラウドサービスの利用も拡大しており、クラウド化はERPのトレンドの一つとなっていると考える。


【調査概要】
調査期間:2016年4月~7月
調査対象:ERPパッケージベンダー
調査方法:当社専門研究員による直接面談

詳しいリサーチ内容はネタ元へ
[矢野経済研究所]
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