『Pokémon GO』がもたらした生活行動の変化に関する調査(16~69才男女対象) 

2016年08月15日
インテージは、スマートフォンアプリ『Pokémon GO』がもたらした生活行動の変化を探ることを目的に、自主企画調査を実施しました。i-SSP(インテージシングルソースパネル)や、モバイル空間統計®の情報も合わせて、『Pokémon GO』の人を集める力、消費を生み出す力を分析しましたので、その結果をご紹介します。

【はじめに】

『Pokémon GO※1』はNiantic社が2016年7月より世界的に配信を開始し、爆発的な人気になっているスマートフォン向けのゲームアプリである。日本でも7月22日に配信開始され、社会現象として多くのメディアで取り上げられている。インテージは8月3日に、「i-SSP」を用いたレポート※2を公開し、リリース初日から3日間の浸透状況を分析した。当レポートでは、その後の定着状況をトラッキングするとともに、ポケモンの“聖地”として知られる鶴舞公園に着目し、生活者の屋外行動にどのような影響を与えたかを考察した。また、利用経験者へのインターネット調査から見えてきた、アプリ内・アプリ外における消費行動の実態をご紹介する。

【分析結果のポイント】

1.『Pokémon GO』の利用率は、T層(15~19才の男女)でゆるやかに低下しているものの、23%程度で一定の落ち着きを見せている。また、F1層(20~34才の女性)の利用率がじわじわと増加し、7月31日時点でM1層(20~34才の男性)と同程度の利用率となっている。

2. 『Pokémon GO』の聖地の一つである鶴舞公園(名古屋市)では、7月23日の夕方18:00から深夜23:00にかけて、周辺エリアの滞在人数が前週を2,000人前後上回る状況が継続し、集客力の高さがうかがわれた。

3. 『Pokémon GO』利用経験者の9割以上はアプリ内でお金を使わず、無料のまま楽しんでいる。
一方、リアル社会、すなわちアプリ内課金以外にお金を使ったと回答した利用経験者は2割を超え、該当者1人あたりの平均利用金額は4,016円であった。

【分析結果の詳細】

1.   『Pokémon GO』配信開始から10日後の定着状況は?
まず、i-SSPのスマートフォンアプリ接触ログを用いて、『Pokémon GO』の利用率をトラッキングした。7月26日時点で27.5%まで跳ね上がったT層(15~19才の男女)の利用率は、その後ゆるやかに低下しているが、7月30日以降はほぼ23%で推移し、一定の落ち着きをみせている。一方、F1層(20~34才の女性)は、配信開始直後の立ち上がりはゆるやかだったが、その後利用率をじわじわと上昇し、7月31日時点でM1層(20~34才の男性)と同程度の利用率となっている。

(1) 集計期間:2016年7月22日~2016年7月31日
(2) 集計対象者: i-SSP スマートフォン計測モニター(全国男女15~69歳)
(3) 集計方法:1日以内に1度でも利用があった場合に利用とみなし、1日毎の利用率を算出
(4) ウェイトバック:母集団構成比に合わせた集計時ウェイトバック

2.   『Pokémon GO』には、人を集める力がどれほどあるのか?
根強い支持を集める『Pokémon GO』だが、実際に人を動かし、特定の場所に集める力がどれほどあるのだろうか。ポケモンの”聖地”として知られる鶴舞公園(名古屋市昭和区)に着目し、株式会社ドコモ・インサイトマーケティングが提供する「モバイル空間統計®」の速報集計値を用いて検証した。

鶴舞公園の周辺1km四方における滞在者数を、配信開始前の土曜日(7月9日・16日)と、配信開始翌日の土曜日(7月23日)とで比較した。昼過ぎから夜間にかけて客数が増加し、18時台には平常時を2,500人ほど上回る滞在人口が観測された。この増分すべてが『Pokémon GO』のプレイヤーとは言えないが、23時台になってもなお2,000人前後の前週差を維持していたことから、”聖地”への巡礼者がこの数値の大半を占めていたことは想像に難くない。

滞在者の属性を前週と比較すると、18時台は 20~40代の男女を中心に幅広く増加しているが、22時台になると30~40代の増加幅はダウンし、20代男性の増減数が突出して多くなることがわかる。この時間になるとファミリー層他はすでに帰宅しており、鶴舞公園の周辺に日没以降集結していたのは、多くが20代男性であったことが窺われる。

「モバイル空間統計」では、性・年代と同様に、契約上の利用者の居住地を基本属性として利用することができる。滞在者の居住地分布をみると、前週7月16日の18時台における地元2区合計(昭和区・中区)の構成比は、滞在者全体の65%となっている。しかし、7月23日18時台ではこの地元比率が54%に減少し、かわって名古屋市の周辺区、名古屋市以外の市町村からの流入者の構成比がそれぞれ5%、6%程度増加している。さらに夜間の22時台の構成比をみると、周辺区や名古屋市以外からの流入者の構成比がほぼ倍近くに増加しており、周辺市区町村からの吸引力が明らかに上昇していることがみてとれる。

3.   アプリ内でどれほど消費しているのか?
ここまで、『Pokémon GO』が根強い支持を集めていること、鶴舞公園などのスポットが強い集客力を持つことを検証してきた。人の流れが変化すれば、ビジネス上にも一定の波及効果があることが想定される。この効果を検証するために、『Pokémon GO』の利用経験者に対し、ネットリサーチを用いて、これまでにアプリ内外でいくらお金を使ったかをそれぞれたずねた。
まず、アプリ内課金については、利用経験者の90.5%はアプリ内でお金を使わず、無料のまま楽しんでいることが明らかになった。

4.   リアル社会では、どのような商品・サービスを購入したのか?
次に、『Pokémon GO』利用経験者に対し、リアル社会、すなわち、アプリ内の課金以外にいくらお金を使ったかをたずねた。リアル社会における消費額は、アプリ内の課金額とは異なり、利用者本人でも自覚しにくい側面があると考えられるため、まず、『Pokémon GO』を楽しむために行った場所やおこなった活動を聴取し、次に、それらの場所や活動中に購入した商品・サービスを聞き、最後に、それらをふまえた上で、『Pokémon GO』を楽しむために費やした金額を聞くという、三段階の手続きを取った。

まず、『Pokémon GO』を楽しむために行った場所やおこなった活動については、「家族や友人と『Pokémon GO』について話した」「いつもより遠回りして歩いた」「ふだんいかない場所に出かけた」などが上位に挙げられた。身近な人たちとの話題となったほか、当ゲームをきっかけに移動行動に変化があったことが推察される。なお、『Pokémon GO』 とローンチパートナーシップを締結している日本マクドナルド株式会社が展開するマクドナルド店舗に行ったと回答した利用経験者は19.4%であった。ショッピングモールやスーパー、コンビニエンスストアなどに行ったと回答した利用経験者もそれぞれ6~8%程度見られた。

次に、それらの場所や活動中に購入した商品・サービスを複数回答でたずねた。
コンビニやスーパーなどでの「飲み物」「軽食」「モバイルバッテリー」、飲食店での「飲食代」、また「交通費」が上位に挙げられた。また、日焼け・虫刺され対策商品などを『Pokémon GO』を楽しむために購入したと回答する利用経験者もそれぞれ2.5%程度見られた。なお、リアル社会で「お金をつかっていない」と回答した利用経験者は78.6%であった。

最後に、『Pokémon GO』を楽しむために、リアル社会で何らかの消費をした21.4%の利用経験者に対し、これまでの回答内容をふまえたうえで、『Pokémon GO』を楽しむために費やした金額をたずねた。その結果、1人あたり平均利用金額は4,016円、内訳は「コンビニ、スーパー、家電量販店などの小売店」で2,048円、「レストランやファストフード店などの飲食店」で965円、「交通機関・宿泊施設・有料Wifiなどの、その他サービス」に1,003円であった。スマートフォン本体やモバイルバッテリー等、高単価な商品も含まれた値ではあるが、小売店においても、飲食店や交通費等を上回るインパクトが示された。
調査時点での『Pokémon GO』利用経験者数は、約1200万人と推計される。このうち21.4%がリアル社会で何らかの消費行動を行い、1人あたりの平均利用金額は4,016円であることを加味すると、配信開始約2週間において、103億円程度の関連消費を生み出したと考えられる。


【調査概要】
調査方法:インターネット調査
調査地域:全国
調査期間:2016年8月3日~8月6日
調査対象者:インテージ・ネットモニター“キューモニター”のうち、16~69才男女個人の『Pokémon GO』利用経験者
サンプル構成:『Pokémon GO』利用経験者 1,335s
 ※アンケート結果は、弊社推計スマホ人口構成比に合わせてウェイトバック集計を行っています。
調査実施機関:株式会社インテージ

詳しいリサーチ内容はネタ元へ
[インテージ]
 マイページ TOP