高大接続改革に関する大学アンケート調査(国内大学対象) 

2016年07月29日
河合塾は、本年4~5月に国内の大学に対し「高大接続改革に関するアンケート」を行いました。この調査では、導入が予定される「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」「高等学校基礎学力テスト(仮称)」について、ならびに各大学における入学者選抜の改革や英語外部試験利用についてなどの調査を行いました。

【調査結果】

1.大学入学希望者学力評価テスト

「自大学で大学入学希望者学力評価テストを利用したいか」を聞いたところ、大学全体では82%の大学が利用したいと回答した<図表1>。利用しない意向としては、国立大で「利用したいとは思わない」が1校、公立大は「利用しない可能性が高い」「利用したいとは思わない」がそれぞれ1校ずつ、私立大では「利用しない可能性が高い」28 校「利用したいとは思わない」5校である。
今回の高大接続改革については、入学定員の多い私立大の考えが注目される。そこで、今回の分析では設置者別の分析に加え、特に私立大については入学定員別に分析を行った。
その結果、この設問では、入学定員が1学年300 人未満の大学で「利用したい」が69%と最も低く、「利用しない可能性が高い」は19%(18 校)、「利用したいとは思わない」2%(2校)と、利用しない意向が最も高くなった<図表2>。

大学入学希望者学力評価テストを「利用したい」と回答した334 校について、マークシート式の成績と記述式の成績を分けて利用することが可能になった場合、記述式の成績を利用したいか聞いたところ87%(292 校) の大学で利用したいと回答した。設置者別に見ると、国公立大では9割を超えるが、私立大では85%(240校)とやや低い<図表3>。

大学入学希望者学力評価テストを「利用したい」と回答した大学のうち、私立大は240校となった。
規模別に回答を見ると<図表4>、入学定員3,000 人以上の大学(14 校)中、全校となる14 校が「利用したい」と回答し、記述式の成績の利用に前向きであることがわかった。それ以外の入学定員も
「利用したい」大学が8~9割と比較的高い割合となった。

大学入学希望者学力評価テストの実施回数は設置者によって回答が分かれた<図表5>。1回と答えたのは国立大85%、公立大55%、私立大43%である。私立大は2回という回答が1回とほぼ同じ41%であった。
実施時期は大学入試センター試験と同じ1月が最も多い<図表6>。記述式についてはマークシート方式と別日程で行う案も「最終報告」で提案されているが、1月に次いで12 月が多く、7月・8月などの早期の前倒しは大学としてもあまり考えていないようだ。

2.高等学校基礎学力テスト

「最終報告」では、高等学校基礎学力テストは平成31~ 34 年度(「試行実施期」)の大学入学者選抜の利用が見送られた。しかし、昨年の朝日新聞× 河合塾共同調査「ひらく 日本の大学」では推薦・AO入試における学力保証として、テストの利用を考える大学もあった。そこで「大学入学者選抜への活用」について、「活用されるべきか」「選抜の利用にはふさわしくないか」を聞いた<図表7>。
全体では利用すべきかどうかについて意見が分かれている。国立大に比べ公立大・私立大で「活用されるべきである」という回答が高く、約半数は「活用されるべきである」と回答している。

では、大学入学者選抜で利用できるようになった場合に、自大学で利用したいと考えるかを聞いたところ、全体では利用についての肯定的な意見が多く、57%が利用したいと回答した<図表8>。
ただ、国立大では<図表7>と同じ傾向で、「利用したい」は4割、「利用しない可能性が高い」「利用したいとは思わない」が合わせて5割となり、現状では利用しない国立大が多いようだ。
私立大については入学定員別に見ると<図表9> 、3,000 人以上の大学(18 校)では、「利用したい」8校、「利用しない可能性が高い」6校(未回答4校)となった。それ以外の入学定員の区分では、「利用したい」と回答したのは1,000 ~ 2,999 人は67%、300~ 999 人は61%、300 人未満は57%であった。3,000人以上を除けば、入学定員が多い大学のほうが「利用したい」と回答する割合が高かった。

3.大学入学者選抜の改革

個別大学の入学者選抜の改革については、平成28 年度中に3つのポリシーの策定、改正、確認等を行う必要がある。
3つの方針の策定・公表についてはすでに公表している大学が51%となり、今後公表する大学としては、「既に検討を開始」28%、「平成28 年度中に検討を開始予定」15%を合わせて4割程度となった<図表10>。
設置者別に見ると、国立大が「既に公表済み」の割合が最も低く、「既に検討を開始」46%、「平成28年度中に検討を開始予定」19%となっている。
私立大について入学定員別に見ると<図表11>、入学定員の少ない大学のほうが既に公表済みの割合が高いという傾向になった。「既に検討を開始」、本年度である「平成28年度中に検討を開始予定」とするのは、入学定員の多い大学が多く、入学定員3,000人以上の大学については、それぞれ6大学ずつである。

今後、個別選抜で多面的・総合的な評価を実施することが求められている。そこで、各大学は多面的・総合的評価についてどのように考えているのかを聞いた<図表12>。「既に充分実施できている」7%、「既に実施しているが改善すべき点もある」74%と、改善すべき点はあるものの、多面的・総合的評価については既に実施しているという認識であるようだ。

さらに多面的・総合的評価を行うため、新しい選抜の導入や現在の選抜方法の変更を予定しているかを聞いたところ<図表13> 、平成29年度あるいは平成30年度から予定している大学は全体で17%と2割に満たないが、設置者別に見ると、国立大で具体的な検討が進んでいるようだ。

4.英語外部試験利用

英語は4技能を重視する観点から、すでに大学入学者選抜での英語外部試験の導入が拡大している。
各大学の導入状況・予定について聞いたところ、19%の大学で導入済みであり、18%の大学で導入する方向で検討されている<図表16 >。
私立大について入学定員別に見ると<図表17 > 、入学定員の大きい大学での導入が進んでいる。入学定員3,000 人以上の私立大では、回答のあった18 校のうち11 校で「導入済み」、4校で「次年度以降の導入が決まっている」と、計15校で導入が決まっており、「導入する方向で検討中」1校であった。一方、入学定員が999人以下の大学では、導入済み・する方向で検討は3割程度あるいは3割以下と比較的低い割合となった。
「利用する予定はない」と回答する大学も2~3割程度と他の入学定員の区分と比べて高い割合となっている。

5.高大接続システム会議「最終報告」に対する評価

高大接続改革について具体的な検討を行う高大接続システム改革会議についての評価を聞いたところ、「部分的には評価できる」が7割となった<図表18>。「評価できる」と回答したのは国立大で24%となり、国立大>公立大>私立大の順である。なお、「全く評価できない」を選んだ大学はなかった。
「評価できる」がそれほど高くなかった理由としては、次の設問(今回の高大接続改革、新テストに関してのご意見)にも書かれているように、高大接続改革の必要性は感じながらも、新しいテストについての具体があまり決まらなかったこと、実現可能性を考える段階にいたっていないことが主な要因のようだ。


【調査概要】
実施時期:2016 年4・5月(6/13到着分まで集計)
方法:郵送で入試担当副学長、アドミッションセンター長、入試担当部門長に回答を依頼。返送方法は、郵送・fax・メールいずれかによる。
発送数:746 大学(通信制のみ・大学院大学は除く)
回答数:406

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