「電力」に関する調査(18歳以上の男女対象) 

2016年08月09日
トッパン・フォームズは、2016年4月より家庭向け電力の小売り自由化(以下、電力自由化)が開始されたことを受け「電力」に関する調査を実施しました。

 電力自由化により電力業界では新電力会社を含めた競争が激化し、既存の電力会社は顧客囲い込み施策の強化、新電力会社は新規顧客の取り込み施策を展開しています。
 今回、トッパンフォームズでは生活者の新電力会社に対するイメージや新電力会社への乗り換え状況などの意識・実態を把握するとともに、電力会社と生活者との効果的なコミュニケ―ションを探るアンケート調査を行いました。なお、「電力」に関する調査は、電力自由化実施前の2015年1月にも行っており(以下、2015年調査)、新電力会社に対するイメージや新電力会社への乗り換え意向などにおいて生活者の意識の変化が見て取れる結果となりました。

【調査結果の概要】

1. 電力自由化に関する認知度は9割以上と、2015年調査の6割半ばから比較すると大幅に増加した。
新電力会社に関する認知度も2015年調査の1割弱から4割半ばへと上昇しており、「電力自由化」について十分に認知されていることがうかがえる。しかし、実際の導入は認知者の1割強程度とあまり進んでいない。

2. 新電力会社への乗り換え意向は17.4%(2015年比5.5ポイント減少)となった。
乗り換え検討者が比較材料とする情報は「価格の安さ」「電力供給の安定性」「乗り換えキャンペーンの有無」。

3.新電力会社乗り換え時の検討社数は「2~3社」(54.3%)、検討期間は「1ヶ月以上~3ヶ月未満」(23.9%)、「1週間未満」(21.2%)の回答が多い。乗り換えの決め手は「価格の安さ」。
一方、乗り換え検討中にネックとなった(なっている)のも「価格」となった。

4. 電力使用量・使用料金を「毎月見ている」が半数以上で、確認方法は「検針票(紙)のみ」が全体の6割弱となった。
Web明細サービスの利用率は若年層よりも年配層の方が高く、年配層はさまざまな方法で情報を取得していることが分かった。

【調査結果】

1.電力自由化に関する認知度は9割以上と、2015年調査の6割半ばから比較すると大幅に増加した。
また特徴まで知っている方の割合は、男女別では男性の方が高く、年代別では年代が上がるにつれて高くなる傾向にある。新電力会社に関する認知度も2015年調査の1割弱から4割半ばへと上昇しており、「電力自由化」について十分に認知されていることがうかがえる。しかし、実際の導入は認知者の1割強程度とあまり進んでいない。

 『電力自由化』に関してどの程度知っているか聴取したところ、回答割合の多い順に「名前だけ知っている」(47.1%)、「特徴も知っている」(44.2%)、「聞いたことがあるような気がする」(5.9%)となりました。電力自由化について「知っている」と回答した方が9割を超える結果となりました。2015年調査の結果と比較をすると「特徴も知っている」が25.0ポイントと大きく増加し、電力自由化に関する理解が進んだことが分かります。

 『電力自由化』の認知について、性別で見ると、男性は「特徴も知っている」の回答が49.5%で最も多く、女性は「聞いたことがあるような気がする」が52.2%で最も多い回答でした。

 『電力自由化』の認知を年代別で見ると、「特徴も知っている」の回答割合は年代が上がるごとに多くなっており、「名前だけ知っている」を合わせた認知者の割合も、年代が上がるごとに高くなる結果となりました。

 『新電力会社』の認知について聴取したところ、最も多い回答は「社名を知っている会社が1社以上ある」(44.8%)となり、電力自由化が始まったこともあり全体の4割以上の方が新電力会社を1社以上知っている結果となりました。2015年調査の同設問では「社名を知っている会社が1社以上ある」は8.2%であり、36.6ポイント増加しました。また、『新電力会社』を「全く知らない」は22.5%となり、2015年調査の63.4%から40.9ポイント減少しました。各社の宣伝や電力自由化に関する報道などに触れ、新電力会社についても認知が高まったものと考えられます。

 新電力会社への乗り換え状況について聴取したところ、「導入していない」が85.4%で最多となりました。「導入している(既に新電力会社に乗り換えた)」は10.4%と約1割にとどまり、2015年調査と比較しても4.2ポイントの増加であることが分かりました。電力自由化の認知は9割以上となったものの、電力自由化の本格スタートから約2ヶ月半後の調査時点では、新電力会社への乗り換えはあまり進んでいない現状が明らかになりました。

2. 新電力会社への乗り換え意向は17.4%(2015年比5.5ポイント減少)となった。
乗り換え検討者が比較材料とする情報は「価格の安さ」「電力供給の安定性」「乗り換えキャンペーンの有無」。

 新電力会社に乗り換えをしていない方へ、今後の乗り換え意向を聴取しました。「乗り換えをしたい」と「やや乗り換えをしたい」を合わせた「乗り換えしたい意向」は17.4%で、2015年調査の22.9%と比較すると5.5ポイント減少しました。また、「乗り換えをしたくない」、「あまり乗り換えをしたくない」を合わせた「乗り換えしたくない意向」は、34.3%で、2015年調査の17.7%から16.6ポイント増加しました。「どちらともいえない」の割合は11.1ポイント減少しています。乗り換え検討のためのさまざまな情報収集を経て、乗り換えの意思決定が一段落した結果が明らかになりました。

【乗り換えをしたい理由】
・電気料金が安くなればよい。また、付加サービスの発生にも期待している。(46歳・男性/大阪府)
・自由化することで、社会全体で価格とサービス競争が起こり、消費者にメリットが発生していくはずだから。(59歳・女性/神奈川県)
・原子力を使わないクリーンなエネルギーに変更したい。(38歳・女性/京都府)
・新鮮さがあり、期待できそう。(33歳・男性/茨城県)

【乗り換えをしたくない理由】
・手続きが面倒だから。(57歳・女性/千葉県)
・うちの使用量だと、安くならないから。(29歳・女性/神奈川県)
・安全・安心、安定供給ができるのか不安だから。(59歳・女性/奈良県)

 新電力導入者および乗り換え検討者が、新電力会社への乗り換え検討にあたり比較した点(表7参照)では、最も高いのは「価格の安さ」(84.8%)。次いで「電力供給の安定性」(37.3%)、「乗り換えキャンペーンの有無」(28.4%)、「企業の規模」(23.3%)と続きました。
 2015年調査と比較すると、トップはいずれも「価格の安さ」となりました。「電力供給の安定性」は回答ポイント差が大きく31.4ポイント減少しました。どの会社を選んでも電力供給の安定性に違いがないことが分かり、比較時に重視しなくなった方が増えたと考えられます。いずれにしても、新電力会社のサービスに対する生活者の理解が深まった結果の表れであると考えられます。新電力会社は、ポイント付加や単身世帯でもお得なプランなどのサービスを提供することで、乗り換えに至らなかった導入検討者へ訴求できるものと考えられます。

3.新電力会社乗り換え時の検討社数は「2~3社」(54.3%)との回答が最も多い。また乗り換え時の検討期間は回答の多い順に「1ヶ月以上~3ヶ月未満」(23.9%)、「1週間未満」(21.2%)となった。
また既に新電力会社に乗り換えた方の、乗り換えの決め手は「価格の安さ」。一方、乗り換え検討中にネックとなった(なっている)のも「価格」となった。

 新電力会社に乗り換えた方の乗り換え時の検討社数は、「2~3社」との回答が最も多く、半数以上が2~3社を候補として検討したようです。

 新電力会社への乗り換え検討者と新電力導入者の乗り換え時の検討期間として最も多い回答は、「1ヶ月以上~3ヶ月未満」(23.9%)、次いで「1週間未満」(21.2%)となりました。

 新電力会社へ乗り換えた方に、乗り換えの決め手について聴取したところ、「価格の安さ」(67.1%)が、次点の「電力供給の安定性」(9.7%)に7倍近くの差をつける結果となりました。

 また、乗り換えのネックとなる点について聴取したところ、「価格」(51.0%)、次いで「電力供給の安定性」(35.0%)、「乗り換えに掛かる手間(時間・費用)」(24.5%)と続きました。
 乗り換えを躊躇する要因としても「価格」は最重要ポイントであることが分かりました。ネックとなる点では「乗り換えに掛かる手間(時間・費用)」が24.5%と、4人に1人の割合で回答しています。乗り換えに掛かる手間を考えると腰が重くなってしまう方も多いようです。新電力会社各社が、乗り換え手続きをスムーズにするシステムを導入したり、時間や費用がかからないことを生活者に訴求したりすることが、今後新電力会社への乗り換えが進むきっかけになると考えられます。

4. 電力使用量・使用料金を「毎月見ている」が半数以上。年代が上がるごとに「毎月見ている」の割合が多くなる。確認方法は、「検針票(紙)のみ」が全体の6割弱となった。Web明細サービスの利用は若年層よりも年配層の方が利用率が高く、年配層はさまざまな方法で情報を取得していることが分かった。

 月々の電力使用量や使用料金を気にして見ているか聴取したところ、全体で最も多いのは「毎月見ている」(50.8%)でした。次いで「気になった時だけ見ている」(24.1%)となり、年代別で見ると、20代以下は「見ていない」の割合が32.8%と、全体よりも高い結果となりました。

 電力の使用量、使用料金の確認方法は、全体で最も多い回答は、「検針票(紙)のみ」(57.5%)となりました。次いで「Web明細サービスのみ」(21.1%)、「検針票とWeb明細サービス」(20.8%)となっています。年代別では、20代以下は「検針票(紙)のみ」の割合が全体よりも高くなっています。若年層は自宅に届けられる紙の検針票で電力使用量や料金を確認する方が多いようです。一方で年代が上がるほど「検針票とWeb明細サービス」、「Web明細サービスのみ」を合わせたWeb明細サービスを利用する方の割合が多い傾向が明らかになりました。年配層はさまざまな方法で情報を取得していることがうかがえます。


【調査概要】
・調査手法 : 株式会社ネオマーケティングによるWebアンケート方式で実施
・対象者 : 18歳以上の男女
茨城県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、山梨県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県にお住まいの方
・有効回答数 :5,000名(関東在住2,500名/関西在住2,500名)
・実施期間:2016年6月15日(水)~ 2016年6月16日(木)

【参考】
2015年調査:2015年1月9日(金) ~ 2015年1月13日(火)
18歳以上の男女、上記エリア各10,000名、計20,000名を対象に実施

詳しいリサーチ内容はネタ元へ
[トッパン・フォームズ]
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