第5回「格付ロジック改定によるRM格付変動の影響」調査 

2016年07月26日
リスクモンスター(リスモン)は、2016年6月に実施した格付ロジック改定によるRM格付変動を集計いたしましたので、その結果を発表いたします。

【調査概要】
・調査名称:第5回「格付ロジック改定によるRM格付変動の影響」調査
・調査方法:RM格付の遷移状況調査
・調査対象企業:2015年11月22日時点でRM格付がA~F格である1,498,216社

【調査結果】

[1]決算情報以外の定性情報の分析を強化!
2016年6月19日(日)に実施しました「格付ロジック改定」に伴う格付変動への影響を調査したところ、87,305件に格付変動が生じました。また、そのうち格上げとなった企業数は、45,013件、格下げとなった企業は42,292件あり、2ランク以上の変動が生じた企業は、全体で9,015件となりました。
今回の格付ロジック改定においては、企業の財務内容の開示率が低い中、決算情報以外の定性情報の分析を強化しました。具体的には、開示姿勢、資本背景、取引金融機関などの定性項目について、業種や地域ごとの倒産動向を捉えることができるよう分析を強化しています。また、金融緩和などの政府の経済政策が一巡し、日本経済が潮目を迎える中、為替変動や国内の株価推移の不安定感などの影響により倒産に結びつく分析指標に変化が見られることから、倒産分析を強化しています。格付変動状況としては、高格付評価であるA・B格が増加する一方で、C~F格が減少しており、全体的に低格付企業が底上げされる結果となりました。

[2]業種別の好不況が鮮明に!
業種ごとの格付遷移状況では、総合工事業、繊維工業、織物・衣服・身の回り品小売業、機械器具小売業、その他の小売業、政治・経済・文化団体などでF格が増加、格下げ傾向となる一方で、職別工事業、設備工事業、飲食料品卸売業、建築材料,鉱物・金属材料等卸売業、飲食店、医療業、社会保険・社会福祉・介護事業などにおいて、F格が減少し、上位格付が増加、格上げ傾向となっています。

[3]営業キャッシュフローの改善は継続!
財務分析上で資金繰りに大きな影響を与えると考えられる借入返済年数別の格付遷移状況を調査したところ、全ての区分でF格が減少し、A格が増加しました。借入償還力が高い企業において上位格付へ遷移したほか、F格で返済原資の乏しい企業においても格上げ傾向となりました。これは、直近決算にて赤字計上により償還原資が乏しくなったものの、一方で営業キャッシュフロー上では資金創出が認められ、借入状況等も考慮した結果、資金繰り上の懸念が少ないと判断された先が多かったものと考えられます。

【総評】
今般の格付ロジック改定においては、定性分析を強化しました。また、昨今の経済要因を考慮し、資金繰り分析に注力しました。今回の調査結果により、概ね格付ロジック改定の趣旨に沿った格付変動となっていることが確認されたといえます。
リスモンデータ工場としましては、今後も定期的な格付ロジック改定を実施し、時勢に合った分析手法を取り入れることで、より高い倒産判別精度を目指し、安全な取引の拡大による経済への貢献に努めていく所存です。

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