第23回全都市「住みよさランキング」(2016年) 

2016年06月21日
東洋経済新報社は、全国の市を対象に「住みよさランキング」を毎年公表しております。このたび、2016年6月20日現在の813都市(全国790市と東京23区)を対象にした最新結果がまとまりましたので、発表いたします。
なお、「住みよさランキング」は1993年以来、今回で23回目の公表(2011年は非公表)となります。

総合評価1位は印西(千葉)、2位は長久手(愛知)で前回と変わらず
 2016年の「住みよさランキング」総合評価1位は印西市(千葉)で、2012年から5年連続のトップとなりました。2位は長久手市(愛知)で、2年連続2位となりました。3位は砺波市(富山)で昨年の8位から順位を5つ上げて、トップ3入りを果たしました。

 印西市は、北総線の延伸と千葉ニュータウン区域の拡大とともに発展してきた千葉県北西部にある比較的新しい市です。東京都心まで約40㎞、人口は2015年国勢調査(速報)で約9.2万人です。人口の半数以上が千葉ニュータウン区域に在住する典型的なベッドタウンです。人口、世帯数ともに増加し続けています。「利便度」が3位、「快適度」が15位で、この2部門が全国トップクラスの評価を得ています。「安心度」が641位と下位にありますが、他の4部門の評価が相対的に高く、総合トップの座を守りました。
 東京区部の20%通勤圏であり、指標③で補正(*)を行っています。
(20%通勤圏による補正と、その対象となる指標(指標①~④)についてはP4をご参照ください)。

 2位の長久手市(愛知)も、昨年と同じく2位の座を維持しました。
 長久手市は、2012年に単独で市制施行した愛知県内で最も新しい市です。名古屋市の東部に隣接する典型的なベッドタウンです。人口は10年前より1万人以上も増加しており、2015年国勢調査(速報)では約5.7万人でした。「快適度」は全国1位、「富裕度」が25位、「利便度」は26位と、3部門で全国トップクラスの評価となっています。
 名古屋市の20%通勤圏に該当し、指標②で補正を行っています。

 3位の砺波市(富山)は昨年8位から順位を5つ上げて、トップ3入りを果たしました。
砺波市は、富山県の西部に位置する人口約4.9万人の市です。県庁所在地の富山市と隣接、小矢部市との境界付近で3つの自動車道が結節する交通の要衝です。「利便度」10位、「住居水準充実度」19位の2部門が寄与し、トップ3入りを果たしました。

■「安心度」は倉吉(鳥取)、「利便度」は野々市(石川)、「快適度」は長久手(愛知)が昨年に続き1位
 カテゴリー別で見ると、「安心度」は、倉吉市(鳥取)が昨年に引き続き1位でした。2位は阿蘇市(熊本)、3位は安芸高田市(広島)でした。トップ10に九州の市が7市もランクインしています。
 「利便度」は野々市市(石川)が昨年に引き続き1位でした。2位は新宮市(和歌山)、3位は印西市(千葉)でした。
 「快適度」は長久手市(愛知)が昨年に引き続き1位でした。2位は福津市(福岡)、3位は名取市(宮城)でした。
 「富裕度」は浦安市(千葉)と千代田区、中央区、港区、新宿区、文京区、目黒区、世田谷区、渋谷区、杉並区、武蔵野市(以上、東京)の11市区が同率の1位でした。
 「住居水準充実度」は、指標の年次更新がないため、昨年と順位の変動はありません。1位珠洲市(石川)、2位氷見市(富山)、3位村山市(山形)でした。(付属資料3)

■「北海道・東北」は名取(宮城)、「近畿」は草津(滋賀)、「中国・四国」は下松(山口)、「九州・沖縄」は合志(熊本)が昨年に続き1位
 地域ブロック別で見ると、「北海道・東北」は名取市(宮城、総合4位)、「関東」は印西市(千葉、総合1位)、「甲信越・北陸・東海」は長久手市(愛知、総合2位)、「近畿」は草津市(滋賀、総合20位)、「中国・四国」は下松市(山口、総合18位)、「九州・沖縄」は合志市(熊本、総合43位)が1位でした。全ブロックで1位は昨年と同じでした。(付属資料4)
 なお、今回のランキングを算出する際に用いた採用指標の年次(時点)は、いずれも2015年以前のものであるため、今年4月に発生した熊本地震の影響はありません。

※今回から東京23区をランキングの対象に
 昨年までのランキングでは東京23区全体を東京区部としてまとめて扱いランキングを集計していましたが、今回から、23区の各区をランキングの集計対象に加えるよう変更しました。東京23区の最上位は千代田区の83位でした。なお、「富裕度」の「財政力指数」、「地方税収入額(人口当たり)」の2指標については、東京23区の場合、他市と比較可能な数値がないため、除外して算出しております。


住みよさランキングとは
▼東洋経済が公的統計をもとに、現状の各市が持つ“都市力”を「安心度」「利便度」「快適度」「富裕度」「住居水準充実度」の5つの観点に分類し、採用15指標について、それぞれ平均値を50とする偏差値を算出、その単純平均を総合評価としてランキングしたもの。

住みよさランキング算出方法
▼対象
全国813都市(全国790市と東京23区)。(2016年6月20日現在のすべての市区が対象)

▼算出指標
[安心度]
○病院・一般診療所病床数(人口当たり)/2014年10月:厚生労働省「医療施設調査」
○介護老人福祉施設・介護老人保健施設定員数(65歳以上人口当たり)
             /2014年10月:厚生労働省「介護サービス施設・事業所調査」
○出生数(15~49歳女性人口当たり)/2014年度:総務省「住民基本台帳人口要覧」
○保育施設定員数-待機児童数(0~4歳人口当たり)/2014年10月:厚生労働省「社会福祉施設等調査」、2014年4月:厚生労働省「保育所関連状況取りまとめ」
[利便度]
○小売業年間商品販売額(人口当たり)/2014年:経済産業省「商業統計」
○大型小売店店舗面積(人口当たり)/2015年4月:東洋経済「全国大型小売店総覧」
[快適度]
○汚水処理人口普及率
/2015年3月:国土交通省・農林水産省・環境省「汚水処理人口普及状況」、各都道府県資料
○都市公園面積(人口当たり)/2014年3月:国土交通省調べ
○転入・転出人口比率/2012~14年度:総務省「住民基本台帳人口要覧」
○新設住宅着工戸数(世帯当たり)/2012~14年度:国土交通省「建築着工統計」
[富裕度]
○財政力指数/2014年度:総務省「市町村別決算状況調」
○地方税収入額(人口当たり)/2014年度:総務省「市町村別決算状況調」
○課税対象所得額(納税者1人当たり)/2014年度:総務省「市町村税課税状況等の調」
[住居水準充実度]
○住宅延べ床面積(1住宅当たり)/2013年10月:総務省「住宅・土地統計調査」
○持ち家世帯比率/2013年10月:総務省「住宅・土地統計調査」

▼評価方法
15指標それぞれについて平均値を50とする偏差値を算出し、それらを平均して「安心度」「利便度」「快適度」「富裕度」「住居水準充実度」の部門ごとの評価、および総合評価を行っている。特異数値による過度の影響を避けるため、各指標の偏差値は最高を75、最低を25に調整して算出。また、市町村合併のあった市については、転入・転出人口比率など整備不能なデータを除いて算出している。

▼20%通勤圏補正(*)
生活圏の広域化に対応するため、『2010年国勢調査』の従業地集計データを用いて「20%通勤圏」データを算出し、他市の「20%通勤圏」となっている市については、偏差値を算出する際に補正を実施している。具体的には、
1.採用15指標のうち、生活圏の広域化の影響が考えられる4指標が補正の対象。
――「安心度」指標:①病院・一般診療所病床数(人口当たり)、
②介護老人福祉・保健施設定員数(65歳以上人口当たり)、
「利便度」指標:③小売業年間商品販売額(人口当たり)、
④大型小売店店舗面積(人口当たり)        ――
2.補正の方法は、A市に住む就業者の20%以上がB市に勤務している場合(A市はB市の20%通勤圏)、上記4指標については、それぞれA市とB市の数値を比較し、高いほうの数値をA市の水準として採用(B市の数値のほうが高ければ、B市の数値をA市の数値として扱う)。

詳しいリサーチ内容はネタ元へ
[東洋経済新報社]
 マイページ TOP