産業用ロボット導入の急拡大が世界の製造業の競争力に与える影響についての調査 

2015年02月12日
経営コンサルティングファームであるボストン コンサルティング グループ(以下、BCG)は、産業用ロボット導入の急拡大が世界の製造業の競争力に与える影響についての調査結果を発表しました。高機能ロボットの普及により、人件費削減や生産性向上が見込まれるのみならず「安価な労働力を求めて生産拠点を移転する」「大規模工場で生産コストを低く抑える」などの今までの製造業の常識が覆されつつあると考えられます。

産業用ロボット導入の急拡大による人件費削減率は、主要輸出国 25 カ国平均で 16%と予測 (2025 年)

高機能ロボットが幅広く導入されることで、主要輸出国25カ国の製造業の人件費は、2014年から2025年にかけて平均で16%低下すると予測されます。人件費の削減率が最も高いのは韓国で33%、次いで日本25%、カナダ24%、アメリカ22%、台湾22%、イギリス21%、ドイツ21%と続きます。これにより、労働者1人当たりの生産性は10~30%向上し、世界の製造業のコスト競争力にも影響を与えると考えられます。

産業用ロボットへの投資額の伸び率は現在の年 2~3%から、今後 10 年間で年 10%へと急増。ロボット購入台数の 8 割を、中国、アメリカ、日本、ドイツ、韓国が占める

購入台数の8割を上位5カ国が占める現在の傾向は今後10年間続くとみられます。

産業用ロボット急拡大の要因は低コスト化/高機能化。今後は中小企業でのロボット普及も進むと考えられる

ロボット導入のコストは急低下しています。例えば、スポット溶接ロボットの導入・運用にかかる費用は、2005年の18.2万ドルから2014年には13.3万ドルと、27%低下し、2025年までにはさらに22%低下すると推定されます。
一方、ロボットの機能(スピード、対応の柔軟さなど)は、毎年約5%の向上が見込まれます。長年、ロボット導入の大きな障壁となっていた価格と機能の制約が急速に改善されることにより、今後5~10年の間に、大企業だけでなく中小企業にもロボット導入が進むと考えられます。

自動車/輸送機器、コンピュータ・電子製品、電機製品・部品、機械の 4 産業を中心に導入が進み、2025 年のロボット稼働台数の約 75%を占める

ロボットが急速に普及するタイミングは、賃金、生産性、労働規則、業務内容などの要素に左右されるため、国や産業により異なります。平均的には、ロボットの導入・運用のコストが従業員を雇うコストよりも15%以上低くなった場合に、ロボットの導入が急速に進むと推定されます。
現在、ロボットの導入台数が最も多いのは自動車/輸送機器業界です。アメリカの自動車業界のスポット溶接のコストは、ロボットを使うと8ドル/1時間、労働者が行うと25ドル/1時間となっており、既にロボットの普及が急速に進むポイントを超えています。

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[ボストン コンサルティング グループ]
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