アクセンチュアの調査によると、消費財メーカーはデジタル・コマースを全面的に活用しなければ、アジア・パシフィック地域において見込まれる3,400億ドルの新たな市場を新規参入者に奪われるリスクがあることが明らかになりました。

アクセンチュアが発表した新たなレポート「The future is now: understanding the new Asian consumer」の予測によると、世界の消費財市場は2020年までに最大で7,000億ドルの成長が見込まれ、約50%にあたる3,400億ドルは中国、インドネシア、インド、タイ、シンガポールといったアジア各国から創出されることが分かりました。中国だけでも、アジア市場の約60%に相当する2,000億ドルの成長が見込まれています。

本レポートでは、アジア・パシフィック地域における小売市場が2018年までに10兆ドルを超え、その約4分の1をデジタル・コマースが占めると予測しています。しかし、ネット小売業者やオンライン市場による影響力が増す一方で、アジア・パシフィック地域のデジタル・コマース市場では、食品メーカーをはじめとした消費財メーカーが十分にシェアを獲得できていないことも判明しています。

また、アリババ(Alibaba)のような創造的破壊者は、消費者の嗜好や変化するニーズへの理解を深めながら新たなサービスを考案することで、バリューチェーンの再定義と消費者を中心に据えた改革を実行しています。本レポートでは、消費財メーカーが成長機会を捉えて、新規参入者による脅威に対抗するためのステップを提示しています。

・eコマース・プラットフォームと連携し、新たな消費者や市場との接点を作る

・業界横断のeコマースを活用して、価値を最大化させる

・オンラインとオフラインにまたがる統合マーケティング戦略を軸にしたブランド構築に投資する

・「モバイル・ファースト」戦略を推進する

・消費者との信頼関係構築を担うソーシャル・プラットフォームとeコマース戦略を統合する

・クラウドソーシングを活用した製品テストや開発の機会を探る

・あらゆる接点での顧客体験価値を向上させるために、ビッグデータから得られたインサイトを活用する


デジタル・コマースにおける消費財メーカーの勝機
消費財市場では、デジタル変革の先進事例が増え続ける一方で、その変革の度合いは多くの消費者にとってまだ十分ではありません。本レポートによると、消費者は商品購買に至るプロセスに満足していないことが明らかになっています。今日の消費者は、購買意思決定を支援するユニークな顧客体験や、一人ひとりの嗜好に合わせたかたちで即座に要望に応えてくれるレコメンデーション、さらにはお気に入りのブランドと常につながり合えるようなことを一つのプラットフォーム上で実現できることを求めています。こうした消費者の願望は、伝統的な消費財メーカーが今後訪れる成長機会を捉える大きなチャンスとなります。消費財メーカーは、より強化されたデジタル・コマースの提供に注力することで、購買プロセスにおいて消費者が直面している理想と現実のギャップを埋めることができ、消費者が求めるシームレスな購買体験を提供することができます。


アクセンチュアのIoTセンター・オブ・エクセレンス
本調査は、シンガポールにあるIoT(インターネット・オブ・シングス)センター・オブ・エクセレンスが実施しました。IoTセンター・オブ・エクセレンスは、市場における専門性や各業界の先進事例、次世代のテクノロジーや消費者調査などを集約して提供しており、デジタル変革や経営戦略、ITやセールス、マーケティングなどの領域において、企業が従来と異なる視点で今後のあるべきビジネスの姿を捉えて変革を実現できるように支援しています。

調査方法
アクセンチュアは本レポートの作成にあたり、定量的・定性的な調査を広範に実施しました。eコーマスでの商品やサービスの購入に関する消費者の嗜好性、ペインポイント(問題点)、動機を理解するために、中国、インドネシア、シンガポールの消費者が参加するオンラインコミュニティを形成し、2015年12月から2016年1月まで調査しました。またアクセンチュアでは、消費財業界における主要メーカー数社の上級役員に対してインタビューを行ったほか、既存の文献なども調査して本レポートを作成しました。

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[アクセンチュア]
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