熊本地震における訪日外国人旅行者の避難行動に関する調査 

2016年04月27日
サーベイリサーチセンターは、「熊本地震における訪日外国人旅行者の避難行動に関する調査」を実施しました。

【調査の背景】

2016年4月14日に発生した前震および4月16日に発生した本震を中心とする「熊本地震」において、今回被災した訪日外国人旅行者が「どのような避難行動をとったか」「避難時に困ったことは何か」などを明らかにし、さらに増加が見込まれる訪日外国人旅行者に対する災害発生時の情報発信方法や、今後、大規模地震が発生した際の受入環境のあり方を探ることを目的として、調査を実施しました。

【調査結果の概要】

▼地震の発生で困ったことは・・・「外国人向けの避難マニュアルがない」「今後の旅行日程が想定できない」
・全体では、地震発生時に困ったことは「外国人向けの地震避難マニュアルが無く行動が理解できなかった」が36.5%と最も多く、外国人向け避難マニュアル整備の必要性を示唆した。
・「今後の旅行日程がどうなるのか想定ができなかった」33.9%「すべての日程が狂い多額の負担が生じた」29.6%と続き災害後の旅行行程のフォローも重要となってくる。

▼役立った情報源は・・・「母国のWEBサイト」が主な情報源に
・全体では、「母国のWEBサイト」40.9%が主な情報源となっており、各国のメディアに情報発信することで日本滞在中の外国人旅行者に情報が届くことがうかがえる。
・「宿泊先の従業員」27.8%「同行の日本語ができる人」「日本のテレビ・ラジオ」ともに20.9%と続き「日本語の防災行政無線・広報車・消防車など」は4.3%にとどまった。

▼地震災害発生時の対応としてのニーズは・・・要望は「母国語のマニュアル」「わかる言語での避難誘導」「交通情報が説明できる案内所」
・全体における地震災害発生時の要望は、「母国語のマニュアルを配布してほしい」62.6%が最も多かった。
・「避難誘導などわかる言語でしてほしい」58.3%や、「交通・飛行機の情報など説明できる案内所を設置してほしい」39.1%などの要望もあがった。

【前震・本震発生時に熊本・大分滞在者】
▼被災地滞在者の避難行動は・・・避難しなかった訪日外国人旅行者は4割以上
・地震発生後の避難場所では、「近隣の公民館等公共施設」14.7%が最も高く、「近隣の学校」「ホテルの駐車場」11.8%と続く。
・「避難しなかった」と回答した割合は44.1%にのぼった。

▼地震発生時に滞在していたホテルでは「避難誘導があり理解できた」は約3割
・地震発生時のホテルでの避難誘導の有無とその理解度では、「避難誘導があり理解できた」32.4%、「避難誘導はあったが日本語で理解ができなかった」11.8%、「避難誘導はわからないが他の客が避難するのをみた」8.8%、「避難誘導はなかった」44.1%であった。

▼到着時の避難についての事前説明は「あった」が2割未満、事前説明があればスムーズに避難できたと思う割合は6割以上
・ホテルチェックインの際の避難についての説明の有無では、「あった」と答えた人の割合は17.6%であった。
・到着時の説明が「なかった」「わからない」と答えた人のうち、64.3%が事前の説明があればスムーズに行動「できたと思う」回答し、10.7%が「たぶんできたと思う」と回答した。

<自由回答抜粋>
・地震の後、暖かいタオルやお水などを用意してくれました。博多までのタクシーも呼んでくれました。別府のホテルのスタッフさんに感動しました。(香港/女性/40代)
・スーパーには商品がない。食べ物も少ない。部屋に戻れない。すごく怖いから予定より早く帰国することにした。(中国/男性/50代)
・地震時、ホテルの中に日本語の地震のお知らせがあるけど、日本語が分からないから、どうすればいいかわからなかったです。(香港/女性/40代)
・地震のため、買った電車チケットが使えなくなった。他のチケットに変えるため、窓口に行ったら、窓口のスタッフに対応してもらえなかった。(台湾/女性/50代)


【調査概要】
調査地点:福岡空港国際線ターミナル 出発ロビー
調査対象:2016年4月14~22日の間いずれかに九州地方に滞在した訪日外国人旅行者
調査方法:外国語の話せる調査員による質問紙を用いた面接聞き取り調査
調査内容:地震発生時の滞在地/宿泊施設の避難誘導について/地震発生時に困ったことなど
有効回答:115サンプル(うち前震・本震発生時に熊本・大分滞在者34サンプル)
調査期間:2016年4月21日(木)~4月22日(金)

詳しいリサーチ内容はネタ元へ
[サーベイリサーチセンター]
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