日本自動車工業会は、2015年度に実施した乗用車市場動向調査の結果を取りまとめました。

本調査は、単身世帯を含む全国の一般世帯における乗用車の保有、今後の購入意向などを隔年毎に調査し、需要の質的変化の見通しに役立てようとするものであります。
今年度は保有状況・使用実態・今後の購入意向等について時系列の動きに主眼を置きました。
また、トピックとして次世代自動車・先進安全技術・次世代技術・若年層に注目しました。

【調査結果】

時系列調査結果

I.乗用車市場動向

1)乗用車世帯保有率・複数保有率
 乗用車世帯保有率は80.6%。地方圏で高く、独身期と高齢期で低い傾向は変わらず
・15年の乗用車世帯保有率は80.6%。乗用車複数保有率は36.5%。
・乗用車世帯保有率は地方圏で高く、独身期と高齢期で低い傾向は変わらず。
・乗用車複数保有率は首都圏周辺部と地方圏周辺部・郡部で高く、独身期と高齢期で低い傾向は変わらず。

2)車保有と利便性・必要性との関係
 首都圏及び地方圏都市部では車の保有は利便性よりも必要性との関係が強く、地方圏周辺部及び郡部では利便性との関係も強い
・首都圏及び地方圏都市部では、保有率は不便と感じる比率(利便性)よりも必要と感じている比率(必要性)と近く、必要性との関係が強い。地方圏周辺部及び郡部では、利便性との関係も強い。
・複数保有率との相関は利便性と必要性に差はない。

3)車種タイプ・車型別保有率
 軽の増加傾向、軽を含めた複数保有も増加傾向とダウンサイジングが継続
・「大・中・小型」の減少傾向、「軽乗用車」の増加傾向が続いており、市場全体ではダウンサイジングが継続しているといえる。
・また、排気量でも、「660cc 以下」の増加、「1701cc 以上」の減少傾向が継続。
・「軽」は地方圏周辺部・郡部、低年収層、家族成熟期で高い傾向は変わらず。
・複数保有の組み合わせでは「軽同士」「軽+大衆車」の軽を含めたスモールカーの組み合わせが増加傾向。一方、「大・中・小型車」との組み合わせは減少傾向。

4)非保有とその理由
 非保有理由は経済的要因が上位。低年齢層で購入意向がやや高い
・四輪自動車の非保有世帯は全体の17%。首都圏中心部、独身期・高齢期で高い傾向。
・現在非保有理由は、保有中止世帯、保有未経験世帯とも経済的要因が上位。
・非保有世帯の今後の購入意向は6%。独身期や長子が中学生以下の世帯で意向がやや高い。

II.乗用車ユーザーの特性と使用状況
1)ユーザー層の特性
 高齢層比率は安定。女性層の増加が継続し、主運転者のほぼ半数を占める
・主運転者の世帯ライフステージは高齢期が1/4を占める。続柄は家計の中心者が約6割。
・主運転者における女性比率は5割弱。60 歳以上の高齢層が1/3を占める。

2)使用状況
 「買物・用足し」中心の使用は変わらず。維持費は約5割が負担感を感じている
・主使用用途は「買物・用足し」が4割強。月間走行距離は350kmと減少傾向。
・維持費の「負担感大きい」計は52%。「車検代」「自動車税」「自動車重量税」「任意保険料」は7割以上が負担を感じている。
・実燃費は7~12km/lが4割強。

III.購入状況
1)購入形態と流入・流出構造
 ダウンサイジングが継続
・軽は上級クラス+RVからの流入が4割程度。
・小型車は下級クラス移行とワゴン・RV移行が4割弱。
・現保有車の購入決定者は主運転者が74%。購入のきっかけは「手放した車が一定基準に達した(車検時期が来たり、走行距離が一定に達した等)」等、前保有車の経年変化が上位。

2)前保有車の保有期間
 保有長期化傾向は変わらず。
・前保有車の保有期間は6.9 年。前保有新車では7.5 年、10 年超の長期保有者が25%を占める。
・首都圏に比べ、地方圏で保有期間が長い傾向は変わらず。

IV.今後の保有・購入動向
1)保有意向と保有期間
 減車意向・保有長期化意向が継続
・今後の買い替え・保有意向は、「買い替える時期は未定」が6割台。「5年以内買い替え予定」は2割に止まる。
・保有台数の意向は、減車意向が増車意向を上回る状況が継続。
・減車意向の理由は身体的要因及び経済的要因。
・現保有車の保有予定期間は新車で7 年超が約7割。前保有車よりも長期保有意向。

2)購入意向
 ダウンサイズ意向が継続。次世代エンジン意向は約3割
・大・中・小型・大衆はダウンサイズ意向が継続。軽は引き続き同サイズ意向。
・排気量では現保有車「661~1700cc 新車」から「1701cc 以上新車」への意向は1割強。「660cc 以下新車」への意向が1 割強。
・車体サイズでは、「今より小さい車を買う予定」が「今より大きい車を買う予定」を上回る傾向は継続。
・次世代エンジン(ハイブリッド+プラグインハイブリッド+電気)意向は34%。
・買い替え予定車型別では大・中・小型・大衆で次世代エンジン意向が高い。

トピック調査結果

1.次世代自動車への意識
ハイブリッド車と電気自動車は6割を超える認知。他の次世代自動車の認知は伸び悩む
・「ハイブリッド車(HV)」「電気自動車(EV)」の「名前+特徴」認知は全体では6割を超え、男性では6割、女性でも5割を超える。
・一方、「プラグインハイブリッド車(PHV)」「燃料電池車(FCV)」「クリーンディーゼル車」の認知は3割程度に止まり、女性では2割に満たないレベル。
・次世代エンジン車の受容層(購入を検討したい+やや検討したい計)はHVで5割弱、EV及びPHVでは約2割。FCVは1割に満たないレベル。
・次世代自動車内における購入検討順位の1位は「HV」、以下「EV」「PHV」と続く。
・各次世代自動車の購入検討した理由を見ると、「HV」はガソリンで走れて、環境負荷が少ない点。「EV」は家庭用コンセントで充電でき、最先端の技術である点。「PHV」はいざというときガソリンで走れ、家庭用コンセントで充電でき、長距離走行が可能な点。

2.先進安全技術車に対する意識
運転を続ける上での不安をカバーする「予防安全技術」の魅力度が高い。60 歳以上で魅力度が高い傾向は変わらず
・運転を続ける上での不安点は「視力低下」「注意力低下」「反応速度低下」。特に60 歳以上で高い。
・先進安全技術で魅力度の高い技術は「歩行者の検知・保護支援システム」「前方障害物衝突防止支援システム」「誤発進防止システム」。
・年齢でみると、60 歳以上で各先進安全技術とも魅力度が増す傾向。

3.次世代技術に対する意識
1)自動運転車に対する意識
 自動運転車に関心があると答えた人は約4割
・関心があると答えた人は約4割。男性40~60 代で関心が高い。
・望む技術は「自動ブレーキ」が約6割。「高速道路自動運転」が約3割。
・期待することは「安全性が高まる」「渋滞が緩和される」「利便性が高まる」。

2)超小型モビリティに対する意識
 5割弱が超小型モビリティを認知。購入・利用意向者は2割強
・認知は5割弱。男性が5割強、女性が4割。
・期待することは「小回り性」「駐車スペース性」。
・望む機能は「2 人乗り」「原付並み速度」「日常の買物が積載可能」「ドアがある」。
・想定される活用シーンは「日常の買物・用足し」が中心。

3)コネクテッドカーに対する意識
・欲しい機能は「口頭で目的地やニュース検索できる機能」「リアルタイム渋滞情報」「ロードアシスタントサービス」
・車の中での主な通信手段は「スマートフォン」。60代以上では3割以上が車の中で通信しない。

4.若年層分析(四輪非保有者)
車関心層は3割程度。3割は全く関心なし。
・関心が高いのは「男性既婚」「男性単身」。女性の関心度はやや低い。

車購入意向層は4割強。非意向層が5割を超える。
・購入意向が高いのは「女性既婚」「同居家族のいる男性」「世帯保有あり層」と関心層とはやや異なる層。
・買いたくない理由は「買わなくても生活できる」「今まで以上にお金がかかる」「車以外に使いたい」。特に車の必要性が低いことが理由。

車については利便性向上のメリットを認識している一方で経済的負担感によるデメリットも強く感じている
・「ガソリンや駐車場代など維持にお金がかかる」「購入するのに多くのお金がかかる」「重いものでも楽に運べる」「行動範囲が広げられる」がイメージ上位。
・車購入意向層ではポジティブなイメージも高い一方で、経済的ネガティブなイメージも高く、買いたい気持ちはあっても購入には至っていない一因と思われる。

貯蓄に積極的な堅実消費志向
・今後増やしたいものは消費よりも貯蓄。
・消費に対する意見でも「貯金が増えていくことが単純にうれしい」「買物でローンや借金はしたくない」が高く、堅実的。
・車購入意向層は全体に比べ消費意識は高いものの、貯蓄志向も高く、無理をしてまで車を購入する考えはない模様。


【調査概要】
調査地域:全国(沖縄県を含む)
調査対象:単身世帯を含む一般世帯
対象回答者:
 自動車保有世帯では直近購入車の主運転者
 非保有世帯では運転免許保有者または家計の中心者
標本抽出方法:層化二段抽出法
調査方法:訪問面接、留置併用
調査実施時期:2015年8月19日~9月17日
※トピック「若年層分析」にあたって、Web調査を追加実施している。

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[日本自動車工業会]
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