アサツー ディ・ケイ(ADK)では、著しく変化するメディア環境の現状を捉えなおし、メディアと生活者の変化を予測する「メディア環境予測プロジェクト」を発足。この度、「2020年メディア環境予測レポート」をまとめましたので、お知らせいたします。

【レポートトピックス】

2020年までに新たな形で完成するメディア・エコシステム(生態系)とは?

コンテンツがメディア(デバイス)間の垣根を越えて自由に行き来する時代に
スマートフォンの一層の浸透、第5世代高速通信の商用サービス開始、家庭での4K/スマートテレビの普及などにより、ネットの利用環境がこれまで以上に向上。多くのメディア企業が自らのコンテンツをデジタル化し、ネットを通じて提供するようになるため、既に起き始めている「メディアとコンテンツの分離」、つまりテレビ・新聞・雑誌・PCなどのコンテンツが元々のメディアから離れて自由に行き来し、さまざまなデバイスで見られるということが一般化します。

いつでも、どこでもメディアコンテンツを楽しむライフスタイルが定着
メディアコンテンツがさまざまなメディア(デバイス)からアクセスできるようになるため、生活者はますます自分の好きな時間・場所・手段でそれらを楽しむようになります。その際、利用の中核となるのはやはりスマートフォン。特に若い人を中心にして、あらゆるコンテンツをスマートフォンで楽しむスタイルが定着します。一方で人口の多い高齢者層は従来のスタイルでマスメディアを楽しみますが、4K/スマートテレビに買い換える人が増加し、テレビを通じたネット利用(動画視聴)が定着していきます。

メディアのエコシステム(生態系)が新しい形として完成・定着
デジタル化したコンテンツがメディアを越えて流通し、生活者が自由自在にそれを視聴・閲覧する――こうした新しいメディアのエコシステム(生態系)は、インターネット登場以来変貌を遂げてきたメディアのあり方の変化の到達点と言え、2020年以降、企業はこうした環境を前提にコミュニケーション戦略等を考えていく必要があります。

【2020年メディア環境予測レポート 一部抜粋】

2020年のメディア環境

【マスメディア】
2020年に向けては、従来型メディアとネットメディアの連携がより一般化。同ーのコンテンツを多様なメディア(デバイス)で楽しむことも、一つのデバイスで多様なコンテンツを楽しむこともできる環境が整備されるなど、メディアの工コシステム(生態系)が大きく変化する。また次世代テレビの普及が大きく進み、4Kテレビは4割近く普及する。

・テレビ・新聞・雑誌など従来型メディアのコンテンツの多くは、ネット上でもコンテンツ単位で流通し、場所やデバイスを選ばず視聴・閲覧できるようになる。

・高画質・大容量など付加価値の高いテレビ番組コンテンツを、ネット経由で視聴できる環境が整う。視聴可能なデバイスはテレビはもちろんPCでも、スマートフォンでも、タブレットでも楽しめるようになる。

・テレビ・新聞・雑誌の従来型メディアとネットメディアの連携を促進するインフラ環境が整備され、例えば、テレビ番組に連動した詳細な情報が並行してネットで提供されるようになる。これらは若者を中心に利用されるようになる。


【ネットメディア】
スマートフォンの普及率は2020年には75%に高まり、ネット利用デバイスの中核として存在感を高める。同時に通信速度も現在より3倍以上となりパケットあたりの通信料金低下も期待できるため、スマートフォンを基盤にしたさまざまなビジネスやサービス(「App Economy」)が花聞く。

・スマートフォンの普及や機能の高度化により、スマートフォンがインターネット利用の中核デバイスとなる。並行して通信ネットワークの高速・大容量化も進むが、現在と比べ通信料金が低下したり無料wifi網が発達したりするので、動画など大容量コシテンツもパケット量の問題をあまり気にすることなく、時間や場所を選ばずに楽しめるようになる。

・スマートフォン利用によって生じた新たな経済活動を「App Economy」というが、メディア領域に関しても、これまでにないような新たなメディア体験が得られるアプリが登場していく。

・2020年までの動きで最も注目すべきは動画コンテンツ。多様で質の高い動画コンテンツが、放送局などプ口から生活者(アマチュア)まで、さまざまなプレーヤーによってネット上に大量に供給されるようになる。利用者にとっては魅力的な状態だが、一方で玉石混交のコンテンツがあふれることになる。


2020年の生活者のメディア接触行動

若年層【20-34歳】

・スマートフォンを中核としたメディア接触行動
スマートフォン自体の高性能化、無線通信の高速化などにより、スマートフォンの利便性が向上。1台で何でもこなせる存在として、特にこの年代にとっての中核メディアとなる。

・スマートフォンでの動画視聴
YouTubeなど無料で視聴できるコンテンツは当然のこと、テレビコンテンツや有料で提供される映画などのコンテンツも時間や場所を選ばずスマートフォンで視聴するようになる。

・ながらテレビ視聴
テレビを見る際スマートフォンを片手に視聴する行動も拡大する。「ながら視聴者」向けに番組に関連した情報を提供する、テレビ局のセカンドスクリーンサービスもこの年代を中心に次第に活用されるようになる。

・複数のソーシャルメディアの活用
ソーシャルメディアの利用が活発なのもこの年代の特徴だが、ソーシャルメディアは相手や用途に応じて複数を使い分けるようになる。プライベート会話(チャット)、多数の人への情報公開、フォトや動画によるコミュニケーション、少額のユーザー間の金銭授受まで、さまざまな用途でソーシャルメディアが活用される。

・新聞・雑誌コンテンツへのスマートフォンを通じた接触
新聞・雑誌のコンテンツはネットでも提供されるようになるため、この年代は紙媒体よりも、専用アプリ等スマートフォンを通じて見るようにになる。漫画も電子媒体(電子コミック)で見る人が増加する。

中年齢層【35-49歳】

・多メディア活用
この年代は、前後の世代と比較し、テレビ、新聞など既存マスメディアからモバイルを含むネットメディアまで多様なメディアをバランスよく使いこなす。
新聞・雑誌については、新聞の情報への信頼度や欠かせない情報源として考えている割合が40歳前半頃を境に変化する。これ以上の年齢層では宅配で新聞を読むが、それより下は紙を読まないライフスタイルが主流になる。またYahoo!ニュースやアプリを利用したり、雑誌アプリ経由で雑誌を記事単位で読むことも、この年代を中心に広がる。
この年代の女性は子供のいる専業主婦の方が独身者、有職者よりもテレビ視聴時間が長い。ただ、今後この年代を中心にして女性の就業率が上昇していくため、昼間家にいない世帯が増え、この年代の昼間のテレビ視聴が減少する可能性がある。

・アプリ活用のショッピング
この年代は消費支出の大きい年代だが、仕事や子育てなどで時間がない人が多い。そのため、さまざまなアプリが登場する中で、ショッピングをサポートするアプリを使いこなすようになる。
例えば、ECアプリやクーポン等のアプリはもちろんのこと、購入したものを記録しておき店頭での買い物時に今何を買うべきか教えてくれるようなアプリも登場する。
オムニチャネルなどリテール側の対応も進むため、生鮮食料品から高額品までこれまで以上に幅広いものを購入する。

高年齢層【50歳以上】

・4Kテレビの利用
オリンピック開催が近づくと高画質なテレビを求める人が増加する。ちょうど2011年に地デジ放送開始に伴って購入されたテレビが買い替え時期を迎えており、4K+インターネット接続機能を備えたスマートテレビを買い求める人が増える。その購買層の中心は日頃テレビ視聴時間が長く、資産にも余裕がある高齢者層だ。
オリンピックですべての競技がインターネット中継されることなどをきっかけに、新しいテレビにネットをつないで動画を楽しむ人が急激に増加する。放送波のライブ視聴、録画番組の再生、DVDやブルーレイの再生に加えて、「テレビでネット動画を楽しむ」という習慣がこの年代を中心に根付き始める。

・既存メディア活用
テレビについては、4K+スマートテレビの普及などもあり、視聴時間は相変わらず長く、この年代にとってのメディア行動の中核であり続けるのは間違いない。ただ録画視聴などが増加し、ライブ視聴は少しずつ減少する可能性が高い。
新聞やラジオは、生活者全体の中でこの年代が利用の中核である。特に新聞は購読習慣を持つ人が多いため、広告媒体としても有効に機能する。新聞・雑誌に対する信頼感も揺がず、紙媒体は依然として重要なメディアとなっている。
一方、若者層と違いスマートフォンの利用は限定される。多機能性を使いこなしきれない面もあるが、小さな画面を見続ける限界もある。ただし、例えば通信販売の広告を見て、電話ではなくPCやモバイルを使って注文するような行動は増加する。PCやタブレット経由のインターネット利用も増加していく。

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