障害者雇用及び特例子会社の経営に関する実態調査 

2015年11月26日
野村総合研究所(NRI)と、NRIが設立した特例子会社NRIみらいは、2015年8月下旬から9月上旬にかけて、上場企業を対象とする「障害者雇用に関する実態調査」(以下、「上場企業向け調査」)と、特例子会社を対象とする「障害者雇用及び特例子会社の経営に関する実態調査」(以下、「特例子会社向け調査」)を実施しました。

障がい者の就職件数と求職件数は、過去10年間ともに増加し続けています。平成26年6月1日現在、実数で約34万人の障がい者が雇用されており、平成26年度における年間のハローワークによる就職件数は84,602件でした(平成27年版障害者白書より)。
現在、民間企業における障がい者の法定雇用率は2.0%ですが、厚生労働省によると、それを達成している企業は44.7%(平成26年6月1日現在)です。一方、障がい者差別の禁止や合理的配慮を求める「障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律(障害者雇用促進法)」の施行期日が、平成28年4月1日と迫っています。さらに、平成30年以降は、法定雇用率の算定基礎に精神障がい者が加わることによって、法定雇用率が上昇することが見込まれています。

上場企業向け調査と特例子会社向け調査は、これらの状況を踏まえ、障がい者雇用の実態や問題点の把握を目的として行ったものです。主な結果は、以下のとおりです。

【調査結果】

■ 特例子会社を持たずに自社で障がい者を雇用しているのは、上場企業の74.2%
回答した上場企業のうち、特例子会社を持たずに障がい者を自社で雇用している企業は74.2%でした。特例子会社と自社の双方で障がい者を雇用している割合は9.7%、特例子会社のみで雇用している企業は1.4%でした。障がい者を自社、特例子会社のいずれにおいても雇用していない会社が14.7%あります。

■ 自社で障がい者を雇用する上場企業の約5割が、質・量ともに障がい者の採用に課題
特例子会社を持たずに自社で障がい者を雇用する上場企業のうち、量的な観点からみて、障がい者を十分採用できているかという質問に対して、「とてもそう思う」「どちらかといえばそう思う」と答えた企業はそれぞれ16.1%、34.8%であり、「どちらかといえばそう思わない」「そう思わない」と答えた企業は33.5%、15.5%でした。質的な観点からの同様な質問については、「そう思う」「どちらかといえばそう思う」と答えた上場企業は、10.6%、44.7%でした。いずれの面でも、約半数の企業が採用上の問題を感じています。
一方、回答を寄せた特例子会社の約8割は、量的な観点からみて、障がい者を十分採用できているかという質問に対して、「とてもそう思う」(30.9%)、「どちらかといえばそう思う」(48.9%)と答えています。質的な観点からの採用状況もほぼ同様の傾向であり、特例子会社を持たず自社で障がい者を採用する上場企業の方が、量的、質的観点から障がい者の採用に対して、課題を抱えている様子がうかがえます。

■ 自社で障がい者を雇用する上場企業では、障がい者社員のうち約6割が身体障がい者
自社で障がい者を雇用する上場企業において、働いている障がい者の59.0%が「身体障がい者」、29.4%が「知的障がい者」、11.6%が「精神障がい者」でした。また、障がいのある社員のうち、「身体障がい者」の占める比率が90%以上の企業が38.3%でした。
一方、特例子会社においては、社員の30.3%が「身体障がい者」、57.7%が「知的障がい者」、11.9%が「精神障がい者」でした。このように、自社で障がい者を雇用する企業における雇用は身体障がい者が多く、特例子会社では知的障がい者が半数以上の割合で働いています。


※1 特例子会社:
障害者の雇用に特別な配慮をし、法律が定める一定の要件を満たした上で、障害者雇用率の算定の際に、親会社の一事業所と見なされるような「特例」の認可を受けた子会社のことを指します。特例子会社は別法人のため、障がい者のニーズやスキルに応じた環境整備や制度設計が可能です 。厚生労働省の調査によると、平成26年5月末日現在、391社あります。


【調査概要】
調査名: 障害者雇用に関する実態調査(「上場企業向け調査」)
調査期間:2015年9月4日~9月25日
調査方法:配達・回収とも郵送
調査対象:上場企業 3217社
有効回答数:217社(6.7%) 

調査名:障害者雇用及び特例子会社の経営に関する実態調査(「特例子会社向け調査」)
調査期間:2015年8月25日~9月18日
調査方法:配達・回収とも郵送
調査対象:特例子会社 306社
有効回答数:142社(46.4%)

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