ダイバーシティに関する潜在意識調査(20代~60代のビジネスパーソン対象) 

2016年03月17日
P&G(プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン)の、啓発組織「P&G ダイバーシティ&インクルージョン啓発プロジェクト」(※)は、一般のビジネスパーソン2,000名を対象とした「ダイバーシティに関する潜在意識調査」を実施いたしました。

社会の少子高齢化や市場のグローバル化、消費者ニーズの多様化など、日本を取り巻く環境が目まぐるしく変化する中、各企業には、これまで以上に、柔軟に個々の多様性を経営に活用する「ダイバーシティ経営」の推進が求められています。しかし一方で、ダイバーシティに関する数値目標の設定や、諸制度の導入をおこなったにも関わらず、女性活用が思うように進まなかったり、男性社員が育児休暇などの制度を取得しにくかったりと、日本企業におけるダイバーシティ推進にあたっては、特にインクルージョン(受容と活用)の分野で、まだまだ課題も見受けられます。
そしてこのたび、P&Gでは、日本企業のダイバーシティ経営の“現状把握”と“課題の顕在化”を目的に、ダイバーシティに関するビジネスパーソンの潜在意識を調査いたしました。

※2016年3月に発足した啓発組織。P&Gが経営戦略の一環として取り組んでいる「ダイバーシティ&インクルージョン(性別や年齢、国籍や価値観といった個々の多様性を、単に尊重するだけでなく、受け入れ、活用することでビジネスを発展させること)」を対外的に推進し、日本企業のダイバーシティ経営の更なる発展に貢献していくことを目的とする。

【調査結果のハイライト】

■「自分の勤務先には何かしらダイバーシティ制度がある」と回答した人の約半数が、自社のダイバーシティ推進を「遅れている」と認識。ダイバーシティの“制度はあるが、風土がない”実態が浮き彫りに
全体の65.8%の人が「自分の勤務先では何かしらダイバーシティ推進のための制度・施策がある」と認識していたが、そのうち約半数(47.0%)の人が、「自分の勤務先は、ダイバーシティへの理解や取り組みが遅れている」と回答。最大の理由として、「ダイバーシティが企業文化として根付いていない」(42.6%)が挙った。社内の“風土づくり”が、ダイバーシティ推進の課題として浮き彫りに。

■ダイバーシティ推進のカギを握るのは「管理職の理解・努力」
「ダイバーシティ推進のために重要なこと」としては、「管理職の理解・努力」(55.3%)がトップで、「社内ダイバーシティ支援制度の充実」(52.5%)を上回った。ダイバーシティ推進にあたっては、制度の充実よりも管理職に求める役割が大きいことが明らかに。

■「ダイバーシティ」という言葉の認知率は75.5%。「ダイバーシティ&インクルージョン」となると、わずか21.6%と、約8割の人が「知らない」現状だが、意味が分かると高い支持率
「ダイバーシティ」という言葉自体は、75.5%の人が「意味も含めて知っている」または「聞いたことはある」と回答。一方、「ダイバーシティ&インクルージョン」となると、知っている人は21.6%に留まった。しかし、「ダイバーシティ&インクルージョン」の意味を理解すると、約6割の人が、「共感できる」と回答した。

【調査結果】

ダイバーシティの認知に関する設問
3/4 の人が「ダイバーシティ」を認知。一方、「ダイバーシティ&インクルージョン」の認知率は低いが、意味を理解すると、それに対する支持率は高い。


「ダイバーシティ」という言葉自体は、75.5%の人が「意味も含めて知っている」または「聞いたことはある」と回答。
一方、「ダイバーシティ&インクルージョン」となると、知っている人は 21.6%に留まった。
「ダイバーシティ&インクルージョン」の意味を説明し、理解すると、約 6 割の人が「共感できる」と回答した。

ダイバーシティへの理解・取り組みに関する設問
約半数の人が、「自社はダイバーシティ推進が遅れている」と認識。理由としては「ダイバーシティが企業文化として根付いていない」が最多で、“制度はあるが風土がない”実態が浮き彫りに。また、ダイバーシティ推進に最も重要なのは「管理職の理解・努力」。


全体の 65.8%の人が、「自分の勤務先では何かしらダイバーシティ推進のための制度・施策に取り組んでいる」と認識していると回答。一方、何も実施していない(もしくは実施していると認識できていない)という回答も 3 割を越えた。

「自分の勤務先が取り組んでいる、ダイバーシティ推進のための制度・施策」の具体的な内容としては、「積極的な女性登用」(35.0%)が最多で、「障がい者雇用」(33.0%)、「時短勤務」(30.8%)、「育児休暇」(29.4%)と続いた。
一方、「ダイバーシティに関する研修/トレーニング」を実施している企業はわずか 8.2%で、ダイバーシティへの取り組みとしては「女性推進」や「社員支援制度の導入」が先行しており、ダイバーシティ推進のメリットや重要性を社員に理解させるための取り組みには、まだまだ着手できていない企業が多いことも明らかになった。

「ダイバーシティへの理解や取り組み」の進捗度としては、自分自身・勤務先・日本社会のいずれにおいても、「進んでいない」が「進んでいる」を大きく上回った。特に日本社会に対しては、約 7 割もの人が「進んでいない」と感じており、「進んでいる」と感じている人は、わずか8.3%だった。

また、自分の勤務先が何かしらダイバーシティに関する制度や施策を「実施している」と回答した人においても、約半数の 47.0%の人が自社のダイバーシティ推進について「進んでいない」と回答しており、「実施していない」と回答した人と比べても、「勤務先のダイバーシティへの理解や取り組み」への実感に差はほとんど見受けられず、ダイバーシティの“制度はあるが風土がない”実態が浮き彫りになった。

自分の勤務先において、ダイバーシティへの理解や取り組みが「進んでいる」と感じる理由としては、「社内のダイバーシティ支援制度が充実している」が 55.6%と最も多く、「女性の雇用・登用に積極的」が 41.6%で続いた。一方、「企業文化として、ダイバーシティが根付いている」は 5.3%に留まっており、ダイバーシティ推進が進んでいると感じられている企業においても、“ダイバーシティある風土”までは実感されていない結果となった。

自分の勤務先において、ダイバーシティへの理解や取り組みが「進んでいない」と感じる理由としては、「企業文化として、ダイバーシティが根付いていない」が 42.6%と最も多く、「社内のダイバーシティ支援制度が充実していない」(34.3%)を上回る結果に。また「社内のダイバーシティ支援制度を活用しにくい雰囲気がある」(27.8%)との回答も目立ち、ダイバーシティ推進にあたっての課題を、企業文化や雰囲気といった、社内の“風土“の面に感じている人が多く見受けられた。

「ダイバーシティを推進するために重要なこと」としては、「管理職の理解・努力」(55.3%)がトップで、「社内ダイバーシティ支援制度の充実」(52.5%)や、「経営者の理解・努力」(49.8%)を上回った。ダイバーシティ推進のカギは、制度の充実だけでなく、管理職に求める役割の大きさが明らかになった。

ダイバーシティ推進によるメリットに関する設問
「ダイバーシティ推進によるメリット」を感じる人は 4 割程度に留まる。感じるメリットとしては「女性が働きやすい職場環境」「多彩な人材が集まる」「社内のモチベーション(雰囲気)の向上」が上位だが、「業績の向上」をメリットと感じる人は限定的。


自分の勤務先でのダイバーシティ推進によるメリットを感じる人は 41.5%に留まり、半数以上の人が、メリットを感じない(もしくは、わからない)と回答。

勤務先がダイバーシティを進めるメリットとして、「女性が働きやすい環境になる」(60.4%)に加え、「多様な人材が集まる」(41.6%)や、「社内のモチベーションが高まる」(40.7%)といった回答が多く挙ったが、「業績向上につながる」と考える人は、まだまだ少数派だった。ダイバーシティと経営の関連性はまだ浸透していない現状が見て取れる。

育児に関する設問
過半数の男性が「男性も、もっと育児や家事に参加すべき」と感じているものの、男女間ではまだまだ意識に差が。自分や部下、上司の育児制度活用についても、全体的に女性の意識が高く、男性は低い。


「男性も、もっと育児や家事に参加すべきか」という質問に対し、過半数(55.5%)の男性が「そう思う」と回答。一方、女性は同じ問いに対し、約 7 割(69.6%)の人が「そう思う」と回答しており、男女間にまだまだ意識差が見受けられた。

もし自分や配偶者が子供を出産したと仮定した場合、男性の 43.0%もの人が、育児休暇や時短勤務、在宅勤務といった育児支援制度を「活用する」と回答も、女性は74.3%と、こちらもまだまだ顕著な差。

自分や配偶者が子供を出産した場合でも、育児支援制度を「活用しない」理由としては、「制度は活用したいが、現在の仕事内容や立場を考えると活用することが難しそう」が男女ともトップ。また、男性では「自分が制度を活用しなくても、育児に支障はないと思う」と回答した人が 30.9%と、女性(12.6%)に比べ、回答比率が高かった。

【全体/男性/女性】
・制度は活用したいが、現在の仕事内容や立場を考えると活用することが難しそう
 32.6%/34.7%/26.1%
・自分が制度を活用しなくても、育児に支障はないと思う
 26.5%/30.9%/12.6%
・制度は活用したいが、収入面への影響が気がかり
 23.9%/23.2%/26.1%
・制度は活用したいが、自分の勤務先では、育児に関する制度を活用しにくい雰囲気が社内にある  17.2%/17.5%/16.2%
・制度は活用したいが、評価や昇進などキャリア面への影響が気がかり
 16.7%/17.2%/15.3%
・外部サービス(ベビーシッター、保育園など)を活用すればいいと思う
 11.5%/10.9%/13.5%
・他の家族や親族などにサポートしてもらえばいいと思う
 10.9%/10.9%/10.8%
・その他
 3.9%/2.3%/9.0%

自分の上司や部下が、育児支援制度を活用することに対して、男性回答者では「女性上司」と「女性部下」で、“支持率の差”が 6.6%あったが、女性回答者ではその差はわずか 1.4%。男性は、女性上司には男性的な働き方を求めている人も見受けられる一方、女性は立場に関係なく、上司や部下の育児に対して、より協力的な傾向が見て取れた。

自分の男性上司や男性部下が、育児支援制度を活用することに対して「支持しない」理由としては、「自分や周囲への業務負担が増える」が全体で44.7%と最も多く、特に女性では50.2%と、半数以上の人が理由に挙げている。

【全体/男性/女性】
・自分や周囲への業務負担が増える
 44.7%/39.7%/50.2%
・企業の労働力が低下する
 28.6%/30.4%/26.5%
・必要なときに連絡が取れないと不都合
 26.1%/22.8%/29.7%
・社内で取得者がほとんどいない
 22.3%/23.4%/21.1%
・育児は女性が中心にするべき
 17.1%/19.2%/14.7%
・その他
 2.2%/1.9%/2.5%

社内格差に関する設問
女性の 3 人に 1 人が、勤務先がダイバーシティを推進したことによる“不平等感”や“社内の軋轢”を感じている。最も多かった意見は、女性では「時短勤務や育休取得者の増加により、自分や他の社員への業務負担が増えた」、男性は「必要以上の女性優遇」。


女性の3人に1人(33.0%)が、「自分の勤務先で、ダイバーシティが推進されたこと」によって、不満や不平等感、社内の軋轢などを感じていると回答。一方、男性では19.9%に留まっている。

「ダイバーシティ推進によって感じる不満や不平等感、社内の軋轢」の具体例としては、「時短勤務や育児休暇の取得者が増加したことで、自分や他の社員への業務負担が増えた」という意見が最も多かった。
一方、男女別で見ると、男性では、「業務負担の増加」よりも「女性など、特定の人が必要以上に優遇されていること」と回答した人が多く、全体的な傾向としては、男性は「女性など特定の人への優遇」に対して、女性は「欠員による自分へのしわ寄せ」に対して、それぞれ不満や不平等感を抱いている人が多い結果となっている。

ジェンダーに関する設問
4 人に 1 人が、勤務先でジェンダー(社会的な性差)を感じると回答。男女ともに「昇進や評価、給与など待遇面での男性優遇」が最多。


25.5%の人が、「自分の勤務先で、ジェンダー(社会的な性差)を認識させられたこと」が「ある」と回答。特に女性では、3割を越えた(32.2%)。一方、男性は18.7%と、男女の意識差が見受けられた。

自分の勤務先でジェンダー(社会的な性差)を認識させられた具体的な内容としては、男女ともに「昇進や評価、給与など待遇面での男性が優遇されている」が最多。その他の回答として、男性側では「性別役割分業の意識が根強い」、女性側では「女性は重要な仕事を任せてもらえない」といった声も目立った。男女とも、総じて“自分への不利益となること”に対してより敏感に反応している傾向が見られた。


【調査概要】
調査方法:インターネット調査
実施期間:2016 年 2 月 12 日(金)~2 月 15 日(月)
調査機関:株式会社クロス・マーケティング
調査対象:従業員数301名以上の企業で働く20代~60代のビジネスパーソン2,000名(男女1,000名ずつ)

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