平成27年度商店街実態調査 

2016年03月22日
中小企業庁では、3年に1度、全国の商店街に対し、景況や直面している問題、取り組んでいる事業等について調査を実施しております。この度、調査結果を「平成27年度商店街実態調査」としてとりまとめました。

【調査目的】

近年の商店街を取り巻く環境は、大型商業施設の進出などによる購買機会の多様化や少子化による人口減少などにより厳しい状況が続いています。
本調査は、こうした商店街の景況や空き店舗の状況、商店街が抱える課題など商店街の実態を明らかにし、今後の商店街活性化施策の基礎資料とすることを目的としております。

【調査結果のポイント】

1.商店街の概要について

1-1 商店街の全体の店舗数
商店街の平均店舗数は54.1店です。前回調査(平成24年度調査、以下同じ)の平均店舗数(52.9店)と比べると1.2店増加しました。
商店街タイプ(*)別には、「近隣型商店街」が44.5店(前回調査比:+1.5店)、「地域型商店街」が59.7店(同比:▲2.1店)、「広域型商店街」が86.8店(同比:+4.4店)、「超広域型商店街」が126.7店(同比:▲13.7店)となりました。前回調査と比べると、全体の平均店舗が増加する中で、「地域型商店街」と「超広域型商店街」が減少となりました。

* 商店街タイプについて
①近隣型商店街 最寄品※中心の商店街で地元主婦が日用品を徒歩又は自転車などにより買物を行う商店街
②地域型商店街 最寄品及び買回り品※が混在する商店街で、近隣型商店街よりもやや広い範囲であることから、徒歩、自転車、バス等で来街する商店街
③広域型商店街 百貨店、量販店を含む大型店があり、最寄品より買回り品が多い商店街
④超広域型商店街 百貨店、量販店を含む大型店があり、有名専門店、高級専門店を中心に構成され、遠距離から来街する商店街
※ 最寄品:消費者が頻繁に手軽にほとんど比較しないで購入する物品。加工食品、家庭雑貨など。
※ 買回り品:消費者が 2 つ以上の店を回って比べて購入する商品。ファッション関連、家具、家電
など。

1-2 商店街におけるチェーン店舗数
商店街内に立地するチェーン店舗(*)数の平均店舗数は4.1店です。前回調査の平均店舗数(4.2店)と比べると0.1店減少しました。
商店街タイプ別には、「近隣型商店街」が2.6店(前回調査比:▲0.2店)、「地域型商店街」が4.2店(同比:▲0.7店)、「広域型商店街」が11.6店(同比:+1.0店)、「超広域型商店街」が17.2店(同比:▲0.7店)となりました。前回調査と比べると、「広域型商店街」のみが増加となりました。
最近3年間のチェーン店舗数の変化についてみると、「増えた(16.5%)」と回答した商店街が「減った(5.1%)」と回答した商店街を11.4ポイント上回りました。
なお、1商店街に占めるチェーン店舗の割合(チェーン店舗率=チェーン店舗数合計(10,014店)/商店街の全店舗数(137,251店)は7.3%となり、前回調査(7.8%)と比べると0.5ポイント減少しました。

*「チェーン店舗」とは、ブランドや営業等が多数の店舗で統一的に管理された店舗のこと。
スーパー、コンビニエンスストアのほか、ファーストフード店、ドラッグストア店等が該当する

1-3 商店街の業種別店舗数の割合(業種構成)
商店街の業種別店舗数の割合は、「飲食店(30.0%)」、「衣料品・身の回り品店等(22.9%)」、「最寄品小売店(16.4%)」の順に多くなっています。
最近3年間の業種別店舗数の変化をみると、「増えた」と回答した店舗では、「飲食店(22.8%)」、「サービス店(10.1%)」、「最寄品小売店(7.3%)」の順に多くなっています。一方、「減った」と回答した店舗は、「衣料品、身の回り品店等(18.9%)」、「最寄品小売店(16.9%)」、「飲食店(12.7%)」の順に多くなっています。
また、業種別店舗で「増えた」から「減った」を差し引きすると、「飲食店」のみが10.1ポイント増加しました。

1-4 商店街の空き店舗の状況
商店街の空き店舗(*)数の平均店舗数は5.3店です。
空き店舗率(*)は13.17%となり、前回調査より1.45ポイント減少したものの、前々回調査時(平成21年度)より引き続き10%を超えました。
最近3年間の1商店街あたりの空き店舗数の変化をみると、「増えた」(31.9%)と回答した商店街が、「減った」(13.1%)と回答した商店街を18.8ポイント上回っています。

*「空き店舗」とは、従前は店舗であったものが、現状空きスペース(空き地、空きビル、空き倉庫等)になっているものとした。
*「空き店舗率」(%)=商店街の空き店舗数の合計/商店街の全店舗数の合計

空き店舗が埋まらない理由〔A.地主や家主等貸し手側の都合によるもの〕については、「所有者に貸す意思がない(39.0%)」、「店舗の老朽化(34.6%)」、「家賃の折り合いがつかない(29.2%)」の順に多くなっています。
空き店舗が埋まらない理由〔B.テナント等借り手側の都合によるもの〕については、「家賃の折り合いがつかない(33.8%)」、「商店街に活気・魅力がない(33.6%)」、「店舗の老朽化(26.9%)」の順に多くなっています。
なお、空き店舗の今後の見通しは、「増加する」と回答した商店街が全体の42.6%を占めています。

1-5 商店主の退店(廃業)の状況
最近3年間に退店(廃業)した店舗数は、「0店」と回答した商店街が18.3%あるものの、1店以上の退店(廃業)数は、「2店(17.0%)」、「3店(16.1%)」、「1店(14.3%)」の順に多くなっており、1店から3店までで全体の47.4%を占めています。
退店(廃業)した理由は、「商店主の高齢化・後継者の不在」が66.6%を占め、続いて「他の地域への移転」が23.8%、「同業種との競合」が12.9%、「商店街に活気がない」が12.8%となっています。

1-6 商店街組織の専従事務局員の有無
商店街活動の担い手である商店街組織の70.8%は、専従事務局員(パート、アルバイトを含む)が「0名」の状態です。
1名以上の専従事務局員を置いている商店街を組織形態別にみると、「商店街振興組合」は42.7%、「事業協同組合」は48.4%、「任意団体」は7.4%となっています。「任意団体」にはほとんど専従事務局員はいないという状態です。

1-7 商店街組織の会員(組合員)数と会費未納入店舗の割合
商店街組織を形成する会員(組合員)数の平均は、41.2人です。前回調査の平均会員(組合員)数(42.0人)と比べると0.8人減少しました。
商店街組織形態別には、「商店街振興組合」が52.1人(前回調査比:▲3.2人)、「事業協同組合」が40・5人(同比:▲5.6人)、「任意団体」が31.7人(同比:▲3.0人)となっています。
商店街組織への会費の未納入率は2.0%と、ほとんどの会員(組合員)は会費を納めています。
会費の未納入率を商店街タイプ別にみると、「近隣型商店街」が2.1%、「地域型商店街」が2.0%、「広域型商店街」が2.1%、「超広域型商店街」が0.7%となっています。
また、商店街に立地するチェーン店舗の会費の未納入率は2.8%となっています。

2. 商店街の景況と来街者の動向について

2-1 商店街の最近の景況
商店街の最近の景況は、「繁栄している」が2.2%、「繁栄の兆しがある」が3.1%となりました。
一方、「衰退している」が35.3%、「衰退の恐れがある」が31.6%、「まあまあである(横ばいである)」が24.7%となりました。
前回調査と同様「衰退している」と回答した商店街が最も多いが、前回調査より7.9ポイント減少となり、「繁栄している」、「繁栄の兆しがある」はそれぞれ前回調査より1.2ポイント、0.8ポイント増加となりました。

2-2 最近の商店街への来街者の動向
最近3年間の商店街への来街者数の変化については、「減った」と回答した商店街は56.6%で、前回調査(「減った」72.6%)と比べると16.0ポイント減少しました。一方、「増えた」と回答した商店街は11.2%で、前回調査(「増えた」6.7%)と比べると、4.5ポイント増加しました。
来街者が「増えた」要因の上位5つについて前回調査と比べると、「集客イベント等の実施」が11.3ポイント、「商店街の情報の発信(PR)」が7.6ポイント増加しています。
一方、「減った」要因について同様に前回調査と比べると、「近郊の大型店の進出」が3.8ポイント減少した一方、前回調査の最大要因であった「魅力ある店舗の減少」は4.0ポイント増加となりました。

3. 商店街の問題と取組状況について

3-1 商店街の抱える問題
現況の商店街が抱える問題は、「経営者の高齢化による後継者問題(64.6%)」、「集客力が高い・話題性のある店舗・業種が少ない又は無い(40.7%)」、「店舗等の老朽化(31.6%)」、「商圏人口の減少(30.6%)」が上位を占めました。
上位3つまでの回答について、過年度調査の経過と比較すると「経営者の高齢化による後継者問題」や「魅力ある店舗が少ない」、「集客力が高い・話題性のある店舗・業種が少ない又は無い」といった、個店に対する問題は共通しており、「経営者の高齢化による後継者問題」は年々増加しています。

3-2 経営者の後継者難に対する商店街の取組状況
商店街が抱える問題のうち、最も大きな問題である商店街の後継者対策への取組については、「対策は講じていない」と回答した商店街が90.0%となり、取組状況は極めて低いものとなっています。一方、後継者対策に取り組んでいる商店街においては、「研修を実施している」が3.8%、「外部から後継者を募集している」が2.4%の順に多くなっています。
「研修を実施している」と回答した商店街は、組織形態別には「商店街振興組合(5.5%)」、商店街タイプ別には「広域型商店街(7.7%)」と「超広域型商店街(7.7%)」が最も多くなっています。
また、「外部から後継者を募集している」と回答した商店街は、組織形態別には「商店街振興組合(3.1%)」、商店街タイプ別には「超広域型商店街(7.7%)」が最も多くなっています。

3-3 商店街の予算規模
商店街の予算規模については、「50万円未満」が14.8%、「50万円~100万円未満」が10.6%、「500万円~1000万円未満」が10.1%の順に多くなっています。
3年前との比較では「増えた」が8.6%、「減った」が32.2%となっています。

年間予算における収入の割合は、「組合員・会員からの賦課金・会費」が65.3%と最も多く、「事業収益」が14.6%、「国、自治体からの補助」が13.9%となっています。支出の割合は、「イベント事業費」が31.2%、「組合運営・管理等」が30.3%、「ハード管理費」が21.1%の順に多くなっています。

3-4 個店の魅力向上のための取組状況
商店街が抱える問題のうち、魅力ある店舗の減少は大きな問題のひとつです。魅力ある店舗を形成するための個店の改善策・活性化策について、商店街の取組状況は、「一部でも行った」と回答した個店での取組は、「店舗改装・店内レイアウトの変更」が37.6%、「販売促進(POP・ディスプレイ・チラシ等)の強化」が35.9%、「パソコン・ITの活用」が32.2%の順に多くなっています。
また、「繁栄している」と回答した商店街の個店での取組をみると、「店舗改装・店内レイアウトの変更」、「販売促進(POP・ディスプレイ・チラシ等)の強化」、「パソコン・ITの活用」などの回答が上位を占めています。

3-5 空き店舗の発生に対する商店街の取組状況
空き店舗の発生に対する商店街の取組は、46.5%の商店街が「特に関与していない」との回答であり、前回調査(45.6%)と比べると0.9ポイント増加しました。
空き店舗の発生に対する取組を行っている商店街では、「創業者支援(小売未経験者のチャレンジショップ等による店舗開業)の場として活用(前回調査6.7%→今回調査9.3%、2.6ポイント増加)」、「家賃補助、改装費などの補助(同:6.4%→7.7%、1.3ポイント増加)」、「空き店舗情報の積極的な発信による新規出店の促進(同:11.5%→12.1%、0.6ポイント増加)」などの取組が増加しています。

3-6 商店街の地域(各種団体等)との連携状況
商店街の後継者不足、新たな担い手の不足などを補完し、地域住民のニーズに対応した取組や地域の伝統文化の継承、安心・安全などの取組を行うためには、地域の各団体等の連携の促進がますます重要な課題となっています。
商店街の地域の各種団体との地域連携の状況についてみると、全体の75.4%の商店街が地域の各種団体との連携を行っていると回答しています。
具体的な連携先は、「商工会・商工会議所(70.5%)」と「自治会・町内会・婦人会(63.5%)」、「他の商店街(47.8%)」の順に多くなっています。

4. 現在、商店街が取り組んでいる具体的な各種事業について

4-1 商店街が実施しているソフト事業
商店街が取組中のソフト事業は、「祭り・イベント(66.0%)」、「防災・防犯(44.1%)」、「共同宣伝(マップ、チラシ等)(40.9%)」、「環境美化・エコ活動(38.0%)」が上位を占めています。
また、検討中のソフト事業は、「高齢者向けサービス(19.9%)」、「勉強会・学習会(15.1%)」、「防災・防犯(12.7%)」、「子育て支援サービス(12.6%)」、「携帯電話等(ツイッター等SNSを含む)を活用した情報発信(12.6%)」が主なものとなっています。

4-2 商店街が実施しているハード事業
商店街が実施しているハード事業は、「街路灯の設置(LED 化を含む)(57.6%)」、「防犯設備(カメラ等)の設置(27.2%)」、「カラー舗装など歩行空間の整備(26.4%)」が上位を占めています。
また、検討中のハード事業は、「防犯設備(カメラ等)の設置(18.1%)」、「商店街内でのwi-fi 設備(10.8%)」、「案内板、統一看板(9.8%)」、「バリアフリー(9.6%)」が主なものとなっています。

4-3 繁栄していると回答した商店街が実施しているソフト/ハード事業
繁栄している商店街が取組中のソフト事業は、「祭り・イベント(87.8%)」、「防災・防犯(75.6%)」、「環境美化、エコ活動(70.5%)」が上位を占めています。繁栄している商店街と衰退している商店街との取組の格差をみると、「携帯電話等(ツイッター等SNS を含む)を活用した情報通信(29.6ポイント)」、「環境美化、エコ活動(27.4ポイント)」、「勉強会・学習会(27.3ポイント)」が上位を占めています。
また、ハード事業は、「防犯設備(カメラ等)の設置(76.9%)」、「街路灯の設置(LED 化を含む)(76.3%)」、「カラー舗装など歩行空間の整備(61.5%)」が上位を占めています。繁栄している商店街と衰退している商店街との取組の格差をみると、「商店街内でのwi-fi 設備(35.5ポイント)」、「防犯設備(カメラ等)の設置(33.2ポイント)」、「カラー舗装など歩行空間の整備(30.4ポイント)」が上位を占めています。


【調査概要】
調査地域:全国
調査対象:商店街(商店街振興組合、事業協同組合、任意団体)
調査方法:郵送による発送・回収およびインターネットによる回収
調査時点:平成27年11月1日(日)現在
調査票発送数:8,000
調査票の回答:調査票回答件数 3,262(回答率40.8%) うち有効回答件数3,240(有効回答率40.5%)

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