子どもの生活と学びに関する親子調査2015(小学1年生から高校3年生の親子対象) 

2016年03月14日
東京大学社会科学研究所とベネッセホールディングスの社内シンクタンク「ベネッセ教育総合研究所」は、2014年に「子どもの生活と学び」の実態を明らかにする共同研究プロジェクト(親子パネル調査※)を立ち上げました。子どもの生活や学習の状況、保護者の子育ての様子を複数年にわたって調査し、それらが子どもの成長とともに、どのように変化するのかを明らかにするものです。

※「子どもの生活と学び」研究プロジェクト・親子パネル調査
小学1年生から高校3年生までの親子(約2万1千組の調査モニター)に対して、毎年1回以上の定期的な調査を行い、子どもの成長のプロセスや成長に必要な環境・働きかけを明らかにする。

今回報告する「子どもの生活と学びに関する親子調査2015」は、その第1回調査(Wave1)であり、小学1年生から高校3年生の親子約1万6千組のデータを分析しています。12学年にわたる親子の実態を捉えることができる大規模調査は、国内では類を見ないものであり、子どもの成長・発達、子育て・教育のあり方を考えるうえでの貴重なデータとなります。

第1回調査では、小学1年生から高校3年生までの親子について、「生活」をはじめ、「学習」「人間関係」「親子のかかわり」などを調査し、社会で活躍するためのベースとなる「自立」の基礎が、どの成長段階でどのくらい身についているのか、その実態や課題を分析しました。

子どもが自立するうえでは、学習面で成果を上げるだけでなく、自分で生活する力を高めることや精神的に大人になっていくことも必要です。本プロジェクトでは、毎年調査を重ねることで、親子の「成長・発達」のプロセス(因果関係)や「自立」を促す要因を明らかにしていきます。

【主な調査結果】

1.半数の保護者が「子どもが大人になったとき自立できるか不安である」と回答。とくに、男子の保護者で不安が高い。

●51.2%の保護者が「子どもが大人になったとき自立できるか不安である」に「あてはまる」(とても+まあ)と回答(小1~高3生全体)。どの学年でも約半数の保護者が不安を感じている。
●性別でみると、男子の保護者で不安が高く(「あてはまる」男子55.4%、女子47.0%)、小5~中1生では10ポイント以上の差が開く。男子のほうが生活習慣の自立の程度が低いことや保護者の期待が高いことが影響していると考えられる。

2.保護者の悩み・気がかりのナンバー1は「整理整頓・片づけ」。小学生の保護者は「友だちとのかかわり」、中・高校生では「学校の成績」「進路・学校選び」や「携帯電話やスマートフォンの使い方」に悩む保護者が増える。
●「整理整頓・片づけ」の選択率は、どの学校段階でも5割を超え、中・高校生でも低下しない。
●小学生の保護者は、「友だちとのかかわり」「家庭学習の習慣」のほか、「ゲームのしかた」「テレビの見方」など生活習慣にかかわる気がかりが多い。
●中学生の保護者は、「学校の成績」「進路・学校選び」など学習関連の選択率が上がる。悩み・気がかりの選択数は中学生の保護者がもっとも多く、多様な悩みを感じている。
●高校生の保護者も学習関連の悩みが数多くあがっている。3割以上が「教育費」を選択しており、経済的な負担の大きさをあらわしている。「携帯電話やスマートフォンの使い方」は半数を超える。  

3.「将来の目標がはっきりしている」を肯定する子どもは半数程度。中学生がもっとも低く、高校3年生で6割になる。
●「将来の目標がはっきりしている」(「あてはまる」[とても+まあ])の比率は、小4~6生で5割強。中学生で4割台に低下し、高3生で6割になる。夢見る小学生と現実的な進路選択を行う高校生の「はざま」の中学生(とくに男子)で、将来像を持つのが難しい様子がうかがえる。
●「難しいことや新しいことにいつも挑戦したい」(「あてはまる」[とても+まあ])の比率は5~6割台で、学校段階が上がるとともに低下する。「自分でできることは自分でする」(「あてはまる」[とても+まあ])の比率は、どの学年も8割強と高い。

4.保護者から「励まし・応援」を受けている子どもは、将来の目標や行動力を持っている傾向が強い。
●どの学校段階でも、保護者から「励まし・応援」などの働きかけを受けている子どもは、将来の目標や行動力などを持っている傾向が強い(「あてはまる」の比率が高い、15~30ポイント差)。一方、「何でも口出し」という働きかけを受けている子どもは、「自分でできることは自分でする」の比率が低い。
●どの学校段階でも、ふだんからさまざまな活動を行っている保護者の子どもほど、挑戦する気持ちや行動力を持っている傾向が強い(「あてはまる」の比率が高い、5~10ポイント差)。

今回の調査では、小1~高3生のいずれの学年でも、約半数の保護者が「子どもの将来の自立への不安」を感じていることがわかりました。その理由には、生活習慣の自立が十分でないこと、友だち関係や将来の進路に対する悩みや気がかりが多いことなど、さまざまな要因が影響していると考えられます。とくに男子の保護者では、それが強くあらわれています。
子どもたちは、いずれの学年でも8割強が「自分でできることは自分でする」と回答しています。その一方で、「将来の目標がはっきりしている」はおよそ5割、「難しいことや新しいことに挑戦したい」も5~6割台であり、迷いながら成長する子どもたちの姿が見られます。 
このような子どもの状況に対して、保護者をはじめ周囲の大人は、どのようなサポートができるでしょうか。今回の調査では、「励まし・応援」を受けている子どものほうが、将来の目標や行動力などを持っていることがわかりました。大人は、それぞれの子どもの自立の段階やスピードを見極めながら、肯定的なかかわりによって、子どもの自立を多面的に促したいものです。また、保護者自身がさまざまな活動を行っている子どものほうが行動力を持っている傾向も見られるため、大人自身が、生活をより豊かにすることも重要だと考えられます。


【調査概要】
名称:「子どもの生活と学びに関する親子調査2015」
調査テーマ:
 【子ども調査】 子どもの生活と学習に関する意識と実態
 【保護者調査】 保護者の子育て・教育に対する意識と実態
調査方法:郵送およびインターネットによる自記式質問紙調査 ※回答者がどちらかを選択。
調査時期:2015年7~8月
調査対象:全国の小学1年生~高校3年生の子どもとその保護者(小学1~3年生は保護者のみ回答)
配布数:21,569(子ども16,065)、有効回収数:16,776(子ども11,982)
有効回収率:77.8%(子ども74.6%)
*本研究プロジェクトの調査モニター対象。

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