学生モニター調査結果(2016年1月発行) 

2016年01月18日
DISCOは、2017年3月卒業予定の全国の大学3年生(理系は大学院修士課程1年生含む)を対象に、1月の就職意識に関する調査を行いました。(調査時期:2016年1月1日~6日、回答数:1084人)。

【調査結果サマリー】

1.就職先企業を選ぶ際に重視する点
○「将来性がある」46.4%、「給与・待遇が良い」41.9%、「福利厚生が充実している」39.4%
○「給与・待遇」「福利厚生」は前年調査より増加し、労働条件重視の傾向強まる

2.就職活動準備に関して
○「学内ガイダンスに参加」75.7%、「業界研究・企業研究」74.9%、「自己分析」74.7%の順
○「就職準備イベントに参加」が前年同期より増えるなど、早めの対策を重視

3.現時点の志望業界
○志望業界が「明確に決まっている」27.0%。11 月調査より5.8 ポイント増。「決まっていない」は17.4%
○志望業界1 位「銀行」、2 位「水産・食品」、3 位「医薬品・医療関連・化粧品」。上位は11 月調査と変わらず

4.エントリーを決めている企業
○「エントリーしようと決めている企業がある」8 割強(85.4%)
○具体的な社数は平均12.5社。5社以下が半数弱(47.8%)だが、20社以上が1割強(13.9%)

5.ベンチャー企業への関心
○ベンチャー企業への就職に関心があるのは、全体の2 割強(24.9%)。前年と同水準
○ベンチャー企業に限定したイベントに「参加したい」、全体の6 割強(62.2%)

6.「雰囲気がよい」と感じる職場
○「ワークライフバランスを重視している」63.3%、「役職や年齢に関係なく自由に物が言える」61.9%、「アットホーム」「部門間の交流やコミュニケーションが盛ん」56.5%

7.就職後のキャリアプラン
○「一つの定年まで」49.4%。9 年ぶりに半数未満に低下

【調査結果】

1.就職先企業を選ぶ際に重視する点

就職先企業を選ぶ際に重視する点を31項目の選択肢の中から5つまで選んでもらった。最も多いのは前年調査と同様「将来性がある」で、半数近くが選んだ(46.4%)。次いで「給与・待遇が良い」(41.9%)、「福利厚生が充実している」(39.4%)と続くが、どちらも前年調査よりポイントが増えている。他に、
「休日・休暇が多い」も20.6%から26.5%へと大きくポイントを伸ばしており、労働条件にこだわる傾向が強まっていることがわかる。大手企業を中心に引き続き採用意欲は高く、学生優位の売り手市場が予想されていることに加え、社会問題化しているブラック企業への警戒感などから、待遇重視の姿勢がよりはっきりと表れている。
一方、「仕事内容が魅力的」「社会貢献度が高い」などは年々ポイントが低下している。一昨年のデータと比較すると、「仕事内容が魅力的」は34.8%から23.5%へと、この2年で10ポイント以上(11.3ポイント)減った。「社会貢献度が高い」は同じく29.5%から20.4%へと9.1ポイント減少。就職環境の改善に伴い、学生の企業選びの基準は少しずつ変化している様子が見て取れる。

2.就職活動準備に関して

1月1日時点で「就職活動の準備を始めた」と回答した学生は全体の98.7%で、11月の前回調査(97.3%)から微増した。
準備として行った内容は、「学内のガイダンスに参加」が75.7%で最も多かった。次いで「業界研究・企業研究」(74.9%)、「自己分析」(74.7%)と続く。「業界研究・企業研究」は前年同期調査では3位だったが、今年は3.8ポイント増えて2位となった。他に「就職情報会社主催の就職準備イベントに参加」も46.4%から4.1ポイント増えて過半数に達している(50.5%)。3月の就職活動解禁の前に、できるだけ多く業界や企業を知っておこうとの意向が読み取れる。選考開始時期が8月から6月へと2カ月早まる分、早めの対策が重要と捉えているのではないだろうか。
逆に、ポイントが減っているのは「今年就職活動をした先輩に話を聞いた」(49.7%→45.0%)や「学内の企業説明会に参加」(44.2%→40.6%)などであった。

3.現時点の志望業界

1 月1 日時点での志望業界の決定状況は、「なんとなく決まっている」という学生が最も多く55.5%で、「明確に決まっている」学生は11 月調査(21.2%)より5.8 ポイント増の27.0%と、就職活動準備が徐々に進んでいることがわかる。前年同時期(24.2%)よりもややペースが早い。
現時点での志望業界を40業界の中から5つまで選んでもらったところ、「銀行」が26.4%で最も多く、次いで、「水産・食品」21.0%、「医薬品・医療関連・化粧品」18.4%と続く。上位業界の顔ぶれは11月調査と変動は見られない。文理男女別に見ても、11月調査と大きな変動はなく、文系は男女とも「銀行」が首位で、理系は男子が「電子・電機」、女子は「医薬品・医療関連・化粧品」が最も多かった。

4.エントリーを決めている企業

就職活動解禁(3 月1 日)まであと2 カ月というタイミングで、どの程度志望企業を定めているのかを知るために、エントリーをしようと決めている企業の有無を尋ねてみた。「エントリーしようと決めている企業がある」と回答したのは全体の85.4%に上り、前述したように、企業研究がかなり進んでいることを裏付ける。理系よりも文系で数値が高く、より早く決める傾向が見られる。
具体的にエントリーを決めている企業の数については、平均すると12.5社。志望企業決定状況と同様に、文系が多い(文系男子14.1社、文系女子13.4社)。
全体の分布を見てみると、5 社以下が半数弱(47.8%)を占めるものの、一方で21 社以上という割合も1 割を超えており(13.9%)、学生によってばらつきが見られる。

5.ベンチャー企業への関心

就職先としてのベンチャー企業への関心度合いを尋ねた。「とても関心がある」が3.6%、「ある程度関心がある」が21.3%で、4 人に1 人がベンチャー企業への就職に関心があると回答した(24.9%)。前年の同期調査(25.3%)と同水準であった。一方で、「まったく関心がない」が14.9%から17.4%へと増加。就職先企業を選ぶ際に重視する点(前述)で、「大企業である」のポイントが増えていたこととも合致する(18.9%→20.4%)。
ベンチャー企業への就職に関心を持っている学生に、その理由を重ねて尋ねた。上位3 項目は、「企業として独自の強みがある」(44.4%)、「やりたいことができる」(38.9%)、「企画力・オリジナリティに優れている」(38.5%)の順。これらの項目は前年調査とのポイント差は少ないが、「若いうちに実力をつけたい」は39.8%から31.1%へ(8.7 ポイント減)、「成長のスピードが速い」は36.6%から25.2%へ(11.4 ポイント減)と、大きく減少しているのが目立つ。早くから活躍できる環境や成長できる機会を求める割合が減ったことから、学生の安定志向が強まっていることが推測できる。

次に、ベンチャー企業に限定した就職イベントへの参加意向を尋ねた。全体の62.2%が「参加したい」と回答し、ベンチャー企業への就職に関心のある学生の割合(24.9%)を大きく上回った。参加してみたいイベントの内容としては、「ベンチャー企業の雰囲気を理解できるイベント」が58.5%と圧倒的に多く、「興味のあるベンチャー企業の人の話が聞けるイベント」(32.8%)、「新たなベンチャー企業と出会えるイベント」(26.9%)と続く。就職活動解禁前ということもあり、様々な企業との接触機会を望んでいることが想像できる。
参考までに、「ベンチャー企業と聞いて思い浮かぶ会社」について具体的に社名を挙げてもらったところ、下記のような結果となった。新興企業というよりは人気IT 企業が名を連ねる。すでにベンチャーと呼ぶには無理のある企業も多く、学生の考えるベンチャー企業は実態とズレていることも多いようだ。

6.「雰囲気がよい」と感じる職場

職場の雰囲気は、企業選びの重要な要素の1 つである(前述)。そこで、「雰囲気がよい」と感じる職場について尋ね、前年調査と比較してみた。最も多くが選んだのは「ワークライフバランスを重視している」(63.3%)で、女子が男子を上回るが(女子70.6%、男子57.3%)、男子も過半数が選んでおり、もはや男女共通の認識と言える。前年調査で1 位だった「役職や年齢に関係なく自由に物が言える」(61.9%)は2位となった。次いで、「アットホーム」「部門間の交流やコミュニケーションが盛ん」(56.5%)、「オフィス環境がきれい」(50.4%)、「物分かりのいい上司がいる」(45.8%)と続く。
快適なオフィスで、風通しのよい人間関係の中、バランスよく働ける職場を求める学生が多いようだ。

■就職活動に関して思うこと
○まだまだ売り手市場。6月がピークになると、公務員との併願が厳しくなるので、ライバルは多少減ると思う。<文系男子>

○事前に準備をしていれば、そこまで苦しくなることはないと思う。 <文系女子>

○理系学生はインターンシップに参加する時間がなく、文系学生との就活格差が生まれているように感じます。<理系男子>

○解禁日が6 月に早まり、一層企業研究の重要性が増したと思う。動き出しが早い人と遅い人で二極化している。<文系男子>

○自分の中で、焦る気持ちとなんとかなるだろうという気持ちがあり、なかなか本腰を入れて取り組めていない。仕事に関してもかなり甘い考えを持っていることを自覚しているが、やはりハードな仕事は避けたいという思いが強い。 <文系女子>

○友達の中でもベンチャー企業などの面接に行く人が出てきて、少々焦りが出てきた。けっこうな割合で冬のインターンシップに参加していて、自分も参加しなくてはと思った。 <文系男子>

○現在、インターンシップやOBOG 訪問などをしていますが、6 月の本選考までにできれば内定をとりたいです。研究開発職や製造系の職種を目指していて、その軸がブレないようにがんばります。 <理系男子>

○年末年始で中だるみがあったので、これから本格的に気持ちを入れ替えたいと思っています。 <理系女子>

7.就職後のキャリアプラン

現時点で考える就職後のキャリアプランを尋ねた。「一つの会社に定年まで勤めたい」という回答が49.4%で最も多いものの、前年調査(55.3%)より5.9 ポイント減少。9 年ぶりに半数を割り込んだ。代わりに「一つの会社にこだわらず、転職などでキャリア・アップを図りたい」という回答が33.1%へと増加した。転職想定組が3 割を超えるのは2007 年卒者以来のことだ。
過去のデータを振り返ると、就職環境が厳しい時期は「一つの会社に定年まで」が増加し、新卒での就職を一生ものと捉える傾向が強まり、就職環境が好転すると減少する傾向が見られる。2008 年のリーマン・ショック後の氷河期には6 年にわたり「一つの会社に定年まで」は6 割弱で推移してきたが、売り手市場と言われてきたここ数年は徐々に減少し、今回半数を下回った。就職環境の改善は、このような意識の変化にも影響を与えているようだ。


【調査概要】
調査対象: 2017年3月卒業予定の大学3年生(理系は大学院修士課程1年生含む)
回答数: 1084人(文系男子351人、文系女子340人、理系男子244人、理系女子149人)
調査方法: インターネット調査法
調査期間: 2016年1月1日~6日
サンプリング: キャリタス就活2017 学生モニター

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