国土交通省は、建設業における女性の活躍に関する取組の実態や意見等についてのアンケート調査を実施し、結果をとりまとめました。
調査方法は、建設業5団体等(※)を通じて、会員企業等に回答するよう依頼

【調査の目的】

もっと女性が活躍できる建設業を目指して、建設業への女性の入職促進や就労継続等に向けた環境整備を官民挙げて推進していくための基礎資料とするため、建設業における女性の活躍に関する取組の実態や意見等を調査した。

【主な調査結果】

現在の就業者数、及び採用人数に占める女性比率(職種別)
就業者に占める女性の割合を見ると、全体では 13.0%であり、技術者では 4.5%、技能者では4.2%となっている。
なお管理職では、女性の比率は 2.5%である。

1.会社としての取組姿勢

問 1_女性活躍支援に向けた取組の有無(単一回答)
女性の活躍を推進する取組状況を見ると、「現在、取組を行っていないし、当面は行う予定もない」が 35.7%、「現在、取組を行っていないが、今後行う予定である」が 34.7%、「取組を行っている」が 29.6%であり、ほぼ同数を占めている。
「現在、取組を行っていないが、今後行う予定である」と「取組を行っている」を合わせた割合は64.3%となり、半数を大きく超えている。

問 2_採用や登用に関する数値目標の有無(単一回答)
女性の活躍について、採用や登用に関する自主的な数値目標の設定状況を見ると、「設定していないが、今後設定する予定である」が 59.6%であり、「設定していないし、今後も方針を立てる予定はない」が 23.4%、「設定している」が 16.4%となっている。
「設定している」と「設定していないが、今後設定する予定である」を合わせた企業の割合は、全体で7割強に達している。

2.個々の制度等について

問 3-1_継続就業に関する自社の制度の導入状況(複数回答)
継続就業に関する制度の導入状況を見ると、「産前・産後休業制度を設けている」が 94.5%、「育児休業制度を設けている」が 86.8%、「介護休業制度を設けている」が 82.3%などとなっている。
「子育て・介護に係る法定を上回る短時間労務制度を設けている」も 57.0%と半数を超えている。

問 3-2_継続就業に関わる制度を導入していない理由(複数回答)
継続就業制度を導入していない理由としては、「その他」(主な内容は「該当者がいないので必要がない」、「法定通り実施しているから」、「状況に応じて柔軟に対応」などである)が 50.0%であり、「制度の導入方法が分からない」が 26.6%となっている。

問 3-3_継続就業に関わる制度の導入予定(単一回答)
今後、継続就業制度を導入する予定については、「ない」が 41.1%、「ある」が 39.1%とほぼ同数を占めている。

問 3-4_出産/育児休業/復帰した女性の人数
出産者のうち、育休を取得した者の割合は、技術者で 99.1%、技能者で 90.9%、事務系職員で98.8%となっている。
また、復職した割合は、技術者で 65.4%、技能者で 54.5%、事務系職員で 68.0%となっている。
一方、復職せずに退職した割合は、技術者で 33.7%、技能者で 36.4%、事務系職員で 30.8%である。

問 3-5_育児・介護休業取得者への対応(複数回答)
育児・介護休業取得者への対応については、「特に補充を行わず、同じ部門の他の社員で対応した」が 43.5%であり、「その他」(新しく社員を採用したなど)が 28.9%、「パート・契約社員等を代替要員として補充した」が 22.4%となっている。「社内の他の部門から人員を異動し補充した」は 12.8%である。

3.職場環境について

問 4_職場づくり(制度面)の取組状況(複数回答)
制度面での取組状況を見ると、「セクシャルハラスメント対策を実施している」が 47.9%、「表彰制度がある」が 25.7%、「結婚・育児にあたっての転勤や配置転換時の配慮がある」が 23.8%、「その他の制度や工夫がある」が 21.9%「フレックスタイム制度がある」が 15.1%、「女性の意欲や就業意識を高めるための研修がある」が 15.1%、「結婚・出産に対応した再雇用制度がある」が 14.3%などとなっている。

問 5_職場づくり(設備面)の取組状況(複数回答)
設備面での取組状況を見ると、「会社に女性専用トイレを設置している」が 74.3%であり、「女性専用更衣室を設置している」が 53.8%、「女性に適した安全保護器具を用意している」が 27.4%、「現場に女性専用トイレを設置している」が 19.8%「洗面所、シャワー室を設置している」が 15.5%などとなっている。

4.課題対応等について

問 6_女性活躍を推進するうえでの問題や課題(複数回答)
女性活躍を推進するうえでの問題や課題としては、全体では「体力が必要な工程が多く、女性の担当業務が限られる」が 52.7%、「女性は時間外労働等させにくいイメージがある」が 38.7%、「家庭との両立をフォローアップするための人員の余裕がない」が 36.3%、「休業中の代替要員の確保が困難」が 34.7%などとなっている。
従業員規模別に見ると、300 人未満の企業は全体とほぼ同じ傾向であるが、300 人以上の企業では、「家庭との両立をフォローアップするための人員の余裕がない」が 51.5%、「女性のための職場環境整備にはコストがかかる」と「男性社員、管理職、経営者の理解が不足」が 37.9%となっている。

問 7_女性活躍を支援するために効果的だと思う取組(複数回答)
女性の活躍支援のため効果的だと思う取組としては、全体では「家庭との両立を配慮した労働時間の見直し」が 56.7%、「女性に適したハード環境の整備の導入」が 49.0%、「家庭との両立を配慮した休暇取得制度の整備」が 43.0%などとなっている。
従業員規模別に見ると、300 人未満の企業は全体とほぼ同じ傾向であるが、300 人以上の企業では、「将来が描けるロールモデルづくり」が 51.5%、「経営者や男性上司向けの研修」が 43.9%、となっている。

問 8_女性就業者を増やすために効果的だと思う取組(複数回答)
女性就業者を増やすために効果的な取組としては、「積極的な採用・雇用」が 44.9%、「産休・育児休業制度の充実」がほぼ同率の 43.6%、「会社案内、HPで活躍の女性を紹介」が 37.0%、「学校教師に建設業の周知を進める」が 33.5%などとなっている。
従業員規模別に見ると、300 人未満の企業では「積極的な採用・雇用」と「会社案内、HP で活躍の女性を紹介」が 4 割を超えている。一方、300 人以上の企業では、「会社案内、HP で活躍の女性を紹介」が 74.2%、「長時間労働の是正」が 69.7%、「積極的な採用・雇用」が 65.2%となっている。

5.女性活躍推進に関わる意見や感想など

問 9_「くるみんマーク」の認知度(単一回答)
「くるみんマーク」の認知状況については、「知らない」が 58.6%、「知っている(認定は受けていない)」が 37.2%、「知っている(認定を受けている)」が 3.8%である。
従業員規模別に見ると、「知っている(認定を受けている、受けていないを含む)」が「1~29 人」では 28.6%、「30~99 人」では 50.9%、「100~299人」では 79.2%、「300 人以上」では 95.4%となっている。
※くるみんマークとは次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画を策定し、目標を達成するなど一定の基準を満たし、厚生労働大臣の認定を受けた場合に、企業が使用できるマークのこと。

問 10_自社にとって女性活躍を推進することの意味(複数回答)
女性活躍を推進することの意味としては、「企業(業界)のイメージアップ」が 65.5%、「就職希望する女性の増加」が 40.4%、「企業におけるダイバーシティ推進の契機」が 39.1%などとなっている。


【調査概要】
・調査方法:
 ・建設業5団体等(※)を通じて、会員企業等に回答するよう依頼
 ・回答は特設のホームページへの入力、又は調査票のFAXにより回収
(※)
(一社)日本建設業連合会 (一社)全国建設業協会 (一社)全国中小建設業協会 (一社)建設産業専門団体連合会 (一社)全国建設産業団体連合会(建設業5団体)
(一社)住宅生産団体連合会 (一社)JBNジャパン・ビルダーズ・ネットワーク 全国建設労働組合総連合
・調査期間:平成27年度10月1日(木) ~ 平成27年10月23日(金)
・回収数:1,588件

詳しいリサーチ内容はネタ元へ
[国土交通省]
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