ダブルケアに関する調査2015(大学生以下の子どもを持つ母親対象) 

2015年12月22日
ソニー生命保険と横浜国立大学 大学院国際社会科学研究院 相馬 直子准教授、ブリストル大学(英国) 社会・政治・国際学研究科 山下 順子講師は、2015 年 8 月 19 日~8 月 21 日の 3 日間、全国の大学生以下の子どもを持つ母親に対し、初の全国規模での「ダブルケアに関する調査」をインターネットリサーチで実施し、1,000 名の有効サンプルの集計結果を公開しました。(調査協力会社:ネットエイジア株式会社)

※ダブルケアとは、子育てと介護に同時に携わることを指す

​【調査結果トピックス】

ダブルケアの経験率 30代では4人に1人以上がダブルケアは身近な問題

『ダブルケア』という言葉を聞いたことがあるのはダブルケア当事者の5人に1人だが、全体では8.1%

ダブルケア未経験者の7割が「親・義親の介護の相談先を知らない」

「ダブルケアに負担感を感じた」ダブルケア経験者の約9割

ダブルケアの3大負担は 「精神」「体力」「経済」

ダブルケアラーの実感「公的な介護サービス」、「公的な子育て支援サービス」不十分が8割半

ダブルケアで大変な時に支えてくれた 「夫」がトップ、他方「支えてくれた人はいない」が1割半

必要だと思うダブルケアラーへの支援 「介護も育児も合わせて相談できる行政窓口」9割

「ダブルケア当事者がつながる場を、ネット上でつくる」も6割半が必要と回答


【調査結果】

ダブルケアの経験率 30代では4人に1人以上がダブルケアは身近な問題

“子育て”と“親(または義親)の介護”が同時期に発生する状況を表す言葉として『ダブルケア』という言葉がありますが、どのくらいの人がダブルケアに直面したことがあるのでしょうか。

全国の大学生以下の子どもを持つ母親1,000名(全回答者)に、“ダブルケアとは『子育てと親・義親の介護が同時期に発生する状況』である”と説明をし、自身のダブルケアの状況について聞いたところ、「現在ダブルケアに直面中」は3.3%、「過去にダブルケアを経験」は4.0%、「現在直面中で、過去にも経験がある」は0.9%で、以上を合計した経験率は8.2%となりました。また、「数年先にダブルケアに直面する」は14.4%と、今後、ダブルケアを経験する人が増加していくことがうかがえます。

さらに、これまでにダブルケアを経験している人(現在直面中の人を含む)と数年先に直面するという人の割合を合計すると22.6%となり、ダブルケアが身近な問題である人は5人に1人以上となりました。 年代別にみると、ダブルケアの当事者になる方の割合は30代が他の世代に比べ高く、予備軍も含めると、27.1%と4人に1人がダブルケアを経験すると推測されます。

<全国初のダブルケア認知度調査>
『ダブルケア』という言葉を聞いたことがあるのはダブルケア当事者の5人に1人だが、全体では8.1%


ダブルケアが身近な問題である人は、全体で5人に1人(22.6%)、30代では4人に1人以上(27.1%)であることがわかりましたが、どのくらいの人が『ダブルケア』という言葉を耳にしたことがあったのでしょうか。

全回答者(1,000名)に、『ダブルケア』という言葉を聞いたことがあるか質問したところ、「ある」8.1%、「ない」91.9%となり、大学生以下の子どもを持つ母親のほとんどが『ダブルケア』という言葉を耳にしたことがないことがわかりました。

『ダブルケア』という言葉を聞いたことがある人の割合をダブルケアの状況別(※)にみると、ダブルケアの経験がある人では20.7%と5人に1人の割合となりましたが、数年先のダブルケアに直面する人では13.9%、ダブルケアに直面していない人では5.7%でした。ダブルケアを経験している人はダブルケアの認知度が少なくない様子がうかがえましたが、ダブルケアを経験していない人ではダブルケアを聞いたことがある人はまだ一握りのようです。

ダブルケア未経験者の7割が「親・義親の介護の相談先を知らない」

まだまだダブルケアに直面していない人が多い現状ですが、では、親・義親の介護が必要になった場合の相談先を知っている人はどのくらいいるのでしょうか。

ダブルケアを経験したことがない918名(数年先にダブルケアに直面する144名・ダブルケアに直面していない774名)に、親・義親に介護が必要になった時の相談先を知っているか聞いたところ、「相談先を知らない」69.7%、「相談先を知っていると思う」30.3%となりました。介護に困った時などは地区の窓口や専門家に相談することも大切です。事前に相談先を知っておくと心強く感じられるのではないでしょうか。

「ダブルケアに負担感を感じた」ダブルケア経験者の約9割
ダブルケアの3大負担は 「精神」「体力」「経済」


次に、子育てと親(または義親)の介護の『ダブルケア』に直面したことがある82名に、ダブルケアの負担について聞きました。
ダブルケアに直面したことがある82名に、ダブルケアの負担感はどのくらいか聞いたところ、「負担である」40.2%、「どちらかといえば負担である」47.6%で『負担である(計)』は87.8%となり、大多数の人がダブルケアに負担感を覚えていることがわかりました。一方、「あまり負担でない」は11.0%、「負担でない」は1.2%で『負担でない(計)』は12.2%でした。

具体的には、どのような負担が有るのでしょうか。
ダブルケアに直面したことがある82名に、ダブルケアで何が負担に感じるか(感じたか)複数回答で聞いたところ、「精神的にしんどい」が最も多く80.5%、次いで、「体力的にしんどい」73.2%、「経済的負担」69.5%が続き、精神的、体力的、経済的に負担を感じている人が多いことがわかりました。
また、それら3つの負担に続き、「子どもの世話を十分にできない」62.2%、「親/義理の親の世話を十分にできない」51.2%が多くなりました。子育てと親・義親の介護を同時期に行わなければならないダブルケアでは、どちらかの世話にしわ寄せがいってしまうケースもあるようです。

ダブルケアラー(ダブルケア当事者)の実感
「公的な介護サービス」、「公的な子育て支援サービス」は不十分が8割半


そして、ダブルケアに直面したことがある82名に、公的な介護サービスや公的な子育て支援サービスについて聞きました。
まず、ダブルケアに直面したことがある82名に、ダブルケアラーにとって公的な介護サービスは現状で十分だと思うか聞いたところ、「十分だと思う」は2.4%、「どちらかといえば十分だと思う」は11.0%で『十分だと思う(計)』は13.4%、「あまり十分でないと思う」が47.6%、「十分でないと思う」が39.0%で『十分でないと思う(計)』は86.6%でした。
次に、ダブルケアラーにとって公的な子育て支援サービスは現状で十分だと思うか聞いたところ、「十分だと思う」は3.7%、「どちらかといえば十分だと思う」は12.2%で『十分だと思う(計)』は15.9%、「あまり十分でないと思う」が42.7%、「十分でないと思う」が41.5%で『十分でないと思う(計)』は84.2%でした。介護と育児。それぞれ一つでも大変です。ダブルケアラーを支えるための公的サービスが求められているようです。

ダブルケアで大変な時に支えてくれた 「夫」がトップ、「支えてくれた人はいない」が1割半
必要だと思うダブルケアラーへの支援 「介護も育児も合わせて相談できる行政窓口」9割 「ダブルケア当事者がつながる場を、ネット上でつくる」も6割半が必要と回答


いったい誰に支えられているのでしょうか?
また、ダブルケアに直面したことがある82名に、ダブルケアで大変な時、支えてくれた人はだれか複数回答で聞いたところ、「夫(パートナー)」41.5%が最も多く、次いで、「親・義理の親」24.4%、「ケアマネージャー」19.5%、「親戚」と「友人」いずれも17.1%が続きました。他方、「支えてくれた人はいない(いなかった)」は15.9%でした。ダブルケアでは、孤立感を抱えるケースが少なくないといわれますが、ダブルケアの経験がある人や同じ境遇の人が集まり、想いを共有できるような場が必要なのではないでしょうか。

最後に、全回答者(1,000名)に、ダブルケアラーへの支援について、5つの内容を提示し、必要だと思うか、必要ではないと思うか聞いたところ、『必要だ(計)』は、「介護も育児も合わせて相談できる行政窓口」では90.5%、「ダブルケア経験者が、地域で直接相談にのってくれる」と「ダブルケアに直面していない人も、ダブルケア当事者も参考となる子育てと介護をテーマとしたハンドブック」では81.1%となりました。ダブルケアについて相談できる場所やダブルケアについての情報が得られるようなものの必要性が高いようです。

また、「ダブルケア当事者がつながる場を、地域でつくる(例:地域でのおしゃべり会)」では『必要だ(計)』が76.2%、「ダブルケア当事者がつながる場を、ネット上でつくる(例:フェイスブックやミクシィ等)」では66.7%でした。多くの人がダブルケアラーがつながり、支え合う場が必要だと考えているようです。


「ソニー生命調べ」

【調査概要】
調査タイトル:ダブルケアに関する調査2015
調査対象:ネットエイジアリサーチのモニター会員を母集団とする全国の大学生以下の子どもを持つ母親
調査期間:2015年8月19日~8月21日
調査方法:インターネット調査
調査地域:全国
有効回答数:1,000サンプル
調査協力会社:ネットエイジア株式会社

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