2015年 今年の一皿 

2015年12月07日
ぐるなび総研は、2015年11月9日に発表した6つのノミネートワードの中から、もっとも今年の日本の世相を反映し象徴する『2015年 今年の一皿』に「おにぎらず」を選定したことを、2015年12月7日に発表。

「今年の一皿」は、その年に話題になったことに加え、社会の動きと関係が深く、世相を反映し、さらに食文化の記録として後世に受け継ぐ価値があることを基準に選定します。日本の食文化を人々の共通の遺産として保存するために2014年にスタートし、今回で2回目を迎えます。

『2015年 今年の一皿』は、ぐるなびが運営する飲食店情報検索サイト「ぐるなび」の月間5,200万人のユニークユーザーと1,354万人のぐるなび会員に対する調査から、食に関するキーワードを複数選出し、さらにメディア関係者の審査を経て、「おにぎらず」「スーパーフード」「なまずの蒲焼」「のどぐろ」「クラフトビール」「ジャパニーズウイスキー」をノミネートワードとして発表。この中から、ぐるなび総研が『2015年 今年の一皿』を最終決定しました。

2015年 今年の一皿

「おにぎらず」
講談社・週刊「モーニング」に連載中の「クッキングパパ」コミック第22巻に「にぎらずにできるおにぎり」として掲載された。海苔の上にご飯を敷き、その上に具材を乗せて海苔の四隅を中心にあわせるような形で包み、半分に切ったもの。中身がきれいに見える点が今までのおにぎりと異なる。

【選定理由】
■今年は訪日外国人の数が過去最多となるインバウンド隆盛の年であり、一方で海外ではイタリアで開催されたミラノ国際博覧会で日本の食文化の魅力と多様性を発信。また、環太平洋経済連携協定(TTP)の大筋合意等、日本の食材・食文化の世界発信に向けて動き出した年といえる。そのような背景の中、日本に古くから伝わるおにぎりが「にぎらずにできる」という逆転の発想で新鮮な驚きを伴って受け入れられ、家庭や流通に食文化革命を起こした。

■「家庭の食」を通して世間に浸透した「おにぎらず」だが、今年に入って「外食」においても広がりを見せ、飲食店のメニュー導入数が急増した。またレシピ本が多数販売された他、各メーカーから専用の海苔や、専用の機器が発売されるなど波及効果は大きく、市場も拡大した。

■日本人の「米ばなれ」が問題視される中、斬新なアイディアで米の可能性を広げ、日本人に欠かせない食材であることを再認識するきっかけを作った。同時に、簡単であること、美しいこと、衛生的であることに加え、にぎらないため具材の大きさや形を選ばないことからそのバリエーションも多く、自由な発想で楽しめること等が人々を惹きつけ、定番メニューとして定着する兆しを感じる。また、年々注目度を増すブランド米との相乗効果が期待され、日本産の米の国内外における消費の活性化も期待できる。

ノミネートワード

「スーパーフード」

栄養バランスに優れ、栄養価が高い食品を指す。海外のモデルが愛用していることからココナッツオイルを筆頭に、チアシード(シソ科の植物「チア」の種子)、キヌア(ヒユ科アカザ亜科の植物)等が次々と注目された。

【選定理由】
■より体に良いものを摂取しようという食品に対する消費者の意識が高まる中、特にココナッツオイルは幅広い世代に支持され輸入食材店等で在庫切れが続出するほど需要が伸びた。オリーブ油やアマニ油に次いで新しい油として注目され、その味や香りの良さはもちろん、食用以外に様々な用途があることも話題になった。

■チアシードに関しては昨年は飲食店での取扱い量がほとんどなかったが、今年に入って急増し、幅広い業態においてドリンクやデザート、サラダにも取り入れられた。

「なまずの蒲焼」

絶滅危惧種として指定されたニホンウナギ等の代用として、土用の丑の日にうなぎの味に近づけるよう養殖したなまずの蒲焼が登場し話題となった。

【選定理由】
■昨年のニホンウナギやアメリカウナギ、クロマグロが絶滅危惧種に指定されたことに続き、今年は大衆魚とされていたアジ、イワシ、ホッケまでが漁獲量が減ったことが話題となった。水産資源の枯渇化が問題になりつつある中、「代用」という新しい売り出し方が注目された。

■うなぎの代用として脚光を浴びたものの、もともと日本の各地域において栄養価の高い水産資源として郷土料理等で親しまれてきた。近年、国内の養殖技術もさらに向上しているため、蒲焼以外にも天ぷら、鍋、刺身などさまざまな調理法を通じてなまずが本来もつ淡泊なうまみが広く認知されることで、食材としてさらに活用される可能性を感じる。

「のどぐろ」

アカムツ(スズキ目スズキ亜目ホタルジャコ科に属する暖海性魚類)は北陸地方、山陰地方などが主な産地として有名。高級魚として扱われ、「のどぐろ」の名称で呼ばれることもある。

【選定理由】
■昨年、世界的に有名なテニスプレイヤーが試合を終えた際のインタビューで「日本に帰国したら食べたい」と発言したことからはじまり、今春の北陸新幹線開通に伴い金沢をはじめとする北陸グルメが注目されたことで再び脚光を浴び、その魅力が広く知られるきっかけとなった。取扱い飲食店数は昨年対比で1.5倍、ユーザーのぐるなびサイトにおける検索数も7倍に伸びており、その需要の高まりとともに、水産資源保護の観点もあわせて課題であると言える。

「クラフトビール」

小規模なビール醸造所でビール職人が造る高品質なビールを「手工芸品(Craft)」に例えて、クラフトビールと呼ぶ。

【選定理由】
■1990年代に酒税法の改正でビール製造の規制緩和がきっかけとなり、「地ビール」ブームが起きた。

■それから約20年が経過してクラフトビールという名でブームが再来し、今年はビール大手各社も相次ぎ参入、各地でビアフェスタも多く開催された。取扱い飲食店数は昨年対比で2.4倍に伸びた。

■国内のビール市場が縮小を続ける中で、職人が造り出す高品質かつ多種多様なクラフトビールは、じっくりと味わい、地域性や色・風味を楽しむという付加価値商品を追い求める消費者のニーズにマッチし、市場を活性化する切り札になる可能性を感じる。

「ジャパニーズウイスキー」

日本で生産されるウイスキー。 1870年ごろから日本でウイスキーが作られはじめ、1924年に販売用の生産が開始された。ここ数年のハイボールブームによりウイスキー自体の需要が高まっていた。

【選定理由】
■その存在が広く認知されるきっかけとなった連続ドラマが高視聴率となる中、ジャパニーズウイスキーが相次いで世界的な賞を受賞したことで、あらためて日本人の丁寧なものづくりと、その品質の高さが世界に評価されたことが話題となった。また、取扱い飲食店数は昨年対比で1.6倍※に伸びた。

■ニーズが急増したことで人気の銘柄の年代物が相次いで在庫切れになったことも、さらなる注目を集めた。

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[ぐるなび]
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