高校生活と進路に関する調査(全国の高校3年生対象) 

2015年11月18日
ベネッセホールディングスの社内シンクタンク「ベネッセ教育総合研究所」は、2015年3月に、全国の高校3年生を対象として、「高校生活と進路に関する調査」を行いました。

本調査は、東京大学社会科学研究所とベネッセ教育総合研究所の共同研究「子どもの生活と学び」研究プロジェクトにおける第1回親子調査に先立ち、プレ調査として実施したものです。「子どもの生活と学び」研究プロジェクトは、小学1年生から高校3年生までの子どもの成長と自立のプロセスを明らかにすることを目的としています。今回の調査は、その一環として、高校卒業段階の高校3年生が「高校生活を振り返ってどれくらい成長実感を持っているのか」、また、「何が成長実感に影響するのか」、「どれぐらい主体的に進路選択を行っているのか」について調べ、明らかにしました。

<主な調査結果>

【成長実感について】

1.高校生活を振り返って、「自分は成長した」と回答した高3生は約9割(「とてもあてはまる」+「まああてはまる」)。多くの高3生が成長を実感している。一方で、成長を実感していない高3生が約1割いる。

2.成長を強く実感した高3生には、以下の特徴がみられた。(数値は、「自分は成長した」に「とてもあてはまる」と回答した割合)
●高校生活での活動に積極的: 「学校の授業」「友だち付き合い」などに「積極的だった群」(とても積極的」+「まあ積極的」)ではいずれも5割前後。
●「人の考え方や話でわくわくした経験や体験」をしている: そのような体験が「多い群」では6割。
●「自分で何か目標を設定して達成」している: 目標の設定・達成について「あてはまる群」(とてもあてはまる」+「まああてはまる」)では6割弱。
●主体的に進路を選択している: 自分の進路について「真剣に考えた」「自分から進んで情報を収集した」「自分の意思で進路を選択した」と回答する傾向が強い群(「進路選択主体性・高群」)では7割弱。

【進路選択の主体性について】

3.将来に対する希望では、全体の7割が「社会のために貢献したい」(「とてもあてはまる」+「まああてはまる」、以下同様)と回答している。一方で、実際に高校生活を振り返って、「社会問題について真剣に考えた」と回答したのは4割にとどまった。

4. 「社会問題への関心」を持ち、行動している(「自分にできることをしている」、「自分にできることを考える」)高3生ほど、より主体的に進路選択を行っている。

5.「進路選択の主体性」と「どのような職業に就くか」を意識した時期の関連をみると、主体的に進路選択を行った高3生ほど、より早い時期から「どのような職業に就くか」を意識している傾向がみられた(「小学生のころ」+「中学生のころ」の割合:「進路選択主体性・高群」4割、「進路選択主体性・低群」2.5割)。

本調査では、高3生の約9割が、高校生活を振り返って「自分は成長した」と回答しています。その背景を分析したところ、高校生活の積極性や様々な知的経験や体験、目標を設定して達成すること、進路選択における主体性などが成長実感につながっていることが明らかになりました。高校生が身近な生活のなかで様々な人の考え方にふれたり、目標を意識したりしながら、主体的に進路選択をすることが大切であることを示す結果です。

また、高校時代は、自分の将来や学ぶ意味、意義を深く考える時期です。社会問題に対する関心を持つことは、自身が社会とどう関わっていくのかを考える契機になります。本調査では、将来について、全体の7割の高校生が「社会のために貢献したい」と考えるものの、高校生活のなかで「社会問題について真剣に考えた」と答えたのは4割にとどまるという実態も浮き彫りになりました。一方で、社会問題に対する関心が高い高校生は、自分の意思で進路を選択するといった自立した行動がとれる傾向にありました。学校や地域、家庭で、社会問題に対する高校生の関心を高めるような働きかけをする必要があるといえそうです。


【調査概要】
名称:「高校生活と進路に関する調査」
調査テーマ:高校3年生の学習や生活、進路選択についての意識と実態
調査方法:郵送法による自記式質問紙調査
調査時期:2015年3月~4月上旬
調査対象:全国の高校3年生(2015年3月時点)
(配布数:735 有効回収数:483 有効回収率:65.7%)*東京大学社会科学研究所・ベネッセ教育総合研究所 共同研究「子どもの生活と学び」研究プロジェクトの調査モニター対象。

詳しいリサーチ内容はネタ元へ
[ベネッセ教育総合研究所]
 マイページ TOP