電力小売市場意識調査2015 

2015年10月20日
プライスウォーターハウスクーパースは、日本全国の一般家庭における消費者を対象に実施した「電力小売市場意識調査2015」の結果を発表(調査期間: 2015年8月6日~8月14日、Webによるアンケート形式、有効回答件数:1,100件)。

本調査は、当社内の専門組織「電力システム改革支援室」が、電力の小売全面自由化を前に、一般家庭における電力会社の乗り換えに関する意識を把握することを目的に実施したものです。2013年から3年連続で実施し、電力需要家の住環境、年齢、家族構成、世帯年収などの属性を背景として、「電力料金割引率」と「電力会社乗換率」に関する相関関係や、原子力発電を利用しない供給サービスへの関心、クリーンエネルギーのみによる供給サービスへの関心、電力小売自由化後の契約変更や契約変更ルート、料金メニューの利用意向などを調査しています。

政府が2016年4月から電力の小売全面自由化を決定したことで、大手電力会社以外の事業者から電気を購入できるようになり、競争によって多様なサービスや価格が実施されることが予想されています。本年10月8日には第一弾の小売電気事業者登録が始まり、登録事業者数は40件にのぼります。申請登録の審査完了後に電力小売事業の事前営業が開始可能となることから、今後消費者はさまざまな情報の中から選択を迫られることになります。

【主な調査結果】

本調査の結果、月平均の電気料金が現在より安い電力会社を見つけた場合に、電力の購入先の変更を検討する消費者の割合は、現行電気料金より5%の割引率で9.0%であり1割に満たない結果となりました。さらに、10%の割引率では30.1%、15%の割引率では43.0%の消費者が変更を検討するという結果でした。

過去の調査結果(2013年、2014年)と比較すると、電力購入先である電力会社変更の検討意識は、電気料金の割引率によらず全体的に低下しています。これは、さまざまな要因が考えられますが、特定規模需要における新電力シェアは経年的に上昇傾向を示し2015年3月時点で6%を超えており、マンション高圧一括受電などにより既に電力購入先を切り替えた家庭があることが理由の1つと考えられます。

一方、電力小売自由化後に「電力会社を変更する可能性がある」と回答した消費者は、95.4%にのぼっています。そのうち、電力会社変更の決め手としては、「電力料金の低減」(月額料金がこれまでの契約より安くなる)と回答した消費者が最多の86.3%であるものの、「電力料金の低減のみが変更の決め手である」という消費者は24.8%にとどまっています。このことから、電気料金以外に複数の要素を組み合わせて電力会社変更の決め手と考える消費者が多いことが分かります。

さらに、電力会社変更の決め手のうち「電気料金の低減」を除く上位5項目について、月額電気料金、電気料金の割引意向との関係を分析したところ、月額電気料金が低い消費者や電気料金の割引意向が低い消費者は、「ポイント提携サービス」を好む傾向が見られました。一方で、月額電気料金が高い消費者や電気料金の割引意向が高い消費者は、「サポート、アフターサービスが良い」や「契約手続きが簡単にできる」を好む傾向が見られます。

電力小売自由化後に電力会社を変更する方法としては、「Webのみで変更する」と回答した消費者が最多でした(42.1%)。一方で、月額電気料金が高い消費者では、Webサイト以外の方法を利用した契約変更意向の比率が高い傾向となりました。

以上の結果から、顧客の価値観やライフスタイルに基づく分析が、各事業者の顧客獲得や囲い込みにおいて有効である可能性が示唆されました。

なお、既に電力自由化が行われている英国では、自由化直後の数年間は電力会社乗換率が高い時期である「プライムタイム」を迎えましたが、その後顧客流動性は低下し、3年後には停滞期となりました。今後、日本も同様に自由化直後からの数年間が「プライムタイム」となり、各事業者にとって顧客獲得の最大の機会となることが考えられます。


プライスウォーターハウスクーパース株式会社「電力小売市場意識調査結果2015」

【調査概要】
・調査期間:2015年8月6日~8月14日
・調査対象:日本全国の一般家庭における消費者
・調査方法:Webによるアンケート方式
 男女均等割付
 20代、30代、40代、50代、60代以上の5段階で均等割付
 電力会社10社各社に対して110件ずつ割付
・有効回答件数:1,100件(総配布件数:55,837件、総回収件数:3,012件)

詳しいリサーチ内容はネタ元へ
[PwC]
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