ビジネスマンのモチベーション調査(企業理念の浸透と業績との関連についての考察) 

2015年10月14日
ブランドコンサルティング会社の株式会社リスキーブランドは、同社のリサーチ&コンサルティングプログラム「MOTIVATE(TM)」の一環として実施した「ビジネスマンのモチベーション調査/2015年」から、企業理念の浸透と業績との関連についての考察を発表。

調査は、従業員数10名以上の日本企業(外資系含む)に正社員として勤める19歳から64歳までの全国のビジネスマン男女2,084名(派遣、アルバイト、試用期間中などの人や公務員や団体職員は除く)を対象に2015年6月に行われました。

【調査結果】

■企業理念が浸透している会社で働いているビジネスマンの割合

約半数のビジネスマンが「明文化された企業理念がある」、約2割が「決まった文章や言葉はないが(不文律として)企業理念がある」とそれぞれ答え、合計すると約7割のビジネスマンが会社に企業理念があると答えました。一方で1割が「会社の企業理念は存在しない」、約2割が「あるかどうかわからない」とそれぞれ答え、合計すると約3割が会社の企業理念とは関係なく仕事をしていることがわかりました。

なお、企業理念は企業によって呼称が異なる場合があるため、企業理念についての回答者の認識を統一するために、アンケートでは下記の文章を提示したうえで企業理念についての考えを測定しました。

「あなたの会社の企業理念についてお聞きします。企業理念とは、会社の存在意義や目的、あるいは経営哲学や思想などが示された、その会社の基本的な価値観のことです。企業理念は会社によって呼び名が異なることもあり、経営理念・社是・ビジョン、ミッションといった名称で呼ばれることもあります。」

■企業理念が浸透している会社で働いているビジネスマンの割合

企業理念が「企業活動のすべてに深く浸透している」と答えたビジネスマンは3.4%、「概ね浸透している」と答えたビジネスマンの23.3%と合わせると、ビジネスマン全体の26.7%の会社では企業理念が浸透していることが分かりました。
一方で、「言葉だけで、あまり浸透していない」(16.4%)と「(企業理念とは)矛盾した言動・商品・サービスをよく目にする」(3.3%)を合わせると、ビジネスマン全体の19.7%の会社では、企業理念が浸透/機能していません。「ない/あるかどうかわからない」を合わせると、約半数のビジネスマンが企業理念とは無関係に働いていることが分かりました。

■理念が浸透している会社の業績

企業理念の浸透度合いと、収益性・成長力・社風との関連をみてみると、企業理念が浸透している会社は(浸透していない会社と比べて)2.3倍の確率で儲かっており、2.6倍の確率で成長しており、4.3倍の確率で社内に活気があることが分かりました。
グラフ(Chart3 参照)は、企業理念の浸透度合いによってビジネスマンを3つに区分し、それぞれが勤務する会社の評価を示したものです。3つの区分のうち、『浸透している』は、企業理念の社内への浸透度合いが「企業活動のすべてに深く浸透している」と「概ね浸透している」と答えたビジネスマン(N=556)を、『どちらともいえない』は、浸透度合いは「どちらともいえない」と答えたビジネスマン(N=499)、『ない/浸透していない』は、「会社の企業理念は存在しない」、「あるかどうかわからない」または、企業理念はあるが「言葉だけで、あまり浸透していない」「(企業理念とは)矛盾した言動・商品・サービスをよく目にする」と答えたビジネスマン(N=1,029)を示します。
まず『収益性』をみてみると、「浸透している」と答えたビジネスマンが勤務する会社の54.9%が儲かっていることが分かりました。この値は「ない/浸透していない」と答えたビジネスマンの会社(24.2%)の約2.3倍に上ります。
一方で企業理念が「ない/浸透していない」と答えたビジネスマンが勤務する会社の約4分の1は赤字であることが分かりました。

次に『成長力』をみてみると、「浸透している」と答えたビジネスマンが勤務する会社の58.8%が過去5年間で会社の業績が伸びていることが分かりました。
この値は「ない/浸透していない」と答えたビジネスマンの会社(22.4%)の約2.6倍に上ります。一方で企業理念が「ない/浸透していない」と答えたビジネスマンが勤務する会社の3割弱はこの5年間の業績は下降傾向にあることが分かりました。

最後に『社風』をみてみると、「浸透している」と答えたビジネスマンが勤務する会社の54.1%は活気があることが分かりました。この値は「ない/浸透していない」と答えたビジネスマンの会社(12.6%)の約4.3倍に上ります。一方で企業理念が「ない/浸透していない」と答えたビジネスマンが勤務する会社の4割弱は社風に活気がないことが分かりました。

本分析だけでは企業理念の浸透が収益性・成長力・社風に寄与するという因果関係を示すものではありませんが、少なくともこれらの間には強い相関関係があることが分かりました。特に、企業理念の浸透と会社の「活気」には極めて強い相関があることが分かりました。
本調査を通じて、7割のビジネスマンは企業理念がある会社に勤務しているが、その内の約半数のビジネスマンが、企業理念が事実上存在しない(ない/あるかどうかわからない/企業理念はあるが浸透していない/『企業理念』とは矛盾した企業活動を行っている等)会社に勤務していることが分かりました。
今現在、企業理念が「企業活動のすべてに深く浸透している」会社に勤務しているのはビジネスマンの3.4%に過ぎません。言い換えれば、企業理念の浸透によって、日本企業はまだまだ大きな成長余力を秘めていると言えそうです。


【調査概要】
企画/実施母体:株式会社リスキーブランド
調査手法:オンライン調査(実査担当:マイボイスコム株式会社)
標本抽出:マイボイスコム株式会社保有の調査パネルより条件に合致した対象者をサンプリング
調査時期:2015年6月
調査地区:全国

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[リスキーブランド]
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