中小企業における マイナンバー制度への取組み状況調査 

2015年10月05日
大阪シティ信用金庫は、マイナンバー制度への取組み状況等につき、家族以外に従業員のいる企業を対象に調査を実施。

【調査結果】

1.理解と準備
(1) 自社のやるべきこと

― 「分からない」が 72.1%
はじめに、マイナンバー制度については説明不足との指摘もあるが、その内容のうち自社のやるべきことは分かっているか、すべての企業に聞いた。

全体として見ると、「①よく分かっている」と答えた企業は 2.3%にとどまった。また、「②ある程度分かっている」と答えた企業が 25.6%あり、これら「分かっている」とする企業の合計は 27.9%と 3 割弱である。これに対し、「③あまり分からない」と答えた企業が 53.5%と多く、また「④ほとんど分からない」と答えた企業も 18.6%あり、これら「分からない」とする企業の合計は 72.1%となる。

マイナンバー制度は来年 1 月の運用を控え、この 10 月以降、順次番号の通知が始まるが、以上のとおり中小企業では未だ理解が進んでいない。
業種別に見ると、「分かっている」と答えた企業はサービス業が 39.3%で最も多く、小売業が14.9%で最も少ない。
従業者規模別に見ると、「分からない」とする企業は 50 人以上層で 45.2%であるのに対し、10 人未満層では 80.2%にのぼる。

(2) 準備について
― 「何もしていない」が 83.2%
運用が近づいているマイナンバー制度への準備について、すべての企業に聞いた。

全体として見ると、「①既に着手していることがある」と答えた企業は 2.8%とほとんどなく、「②(着手していないが)具体的に予定していることがある」も 14.0%にとどまった。これに対し、「③今のところ何もしていない」と答えた企業が 83.2%で圧倒的に多い。
業種別に見ると、「③今のところ何もしていない」と答えた企業は小売業が 92.5%で最も多い。
従業者規模別に見ると、「③今のところ何もしていない」とする企業は規模が小さくなるほど多くなっており、50 人以上層の 49.1%に対し、10 人未満層では 92.7%にのぼる。

(3) 準備の内容
― 「社内勉強会」が 52.5%
前項(2)で、「着手していることあり」「予定していることあり」と答えた企業(16.8%、183 社)に対し、その内容を複数回答で聞いた。

全体として見ると、「①社内勉強会」と答えた企業が 52.5%で最も多いが、これは全企業のわずか 8.8%である。次いで、「②給与計算ソフトなどシステムの改変」が 39.9%(全企業の 6.7%)と多かった。このほか「③規程の作成」は 27.3%(同 4.6%)、「④その他の安全管理措置の策定」が 15.3%(同 2.6%)だった。

2.実行見通し
(1) 真正な番号の収集

― 「できる」と「何とかできる」が 78.7%
10 月以降、個人のマイナンバーや法人ナンバーの通知が始まり、従業員や支払先など法人の真正な番号を収集しなければならないが、そのことを示したうえ、うまくできると思うか実行見通しについて、すべての企業に聞いた。

全体として見ると、「①問題なくできると思う」と答えた企業は 27.5%で、「②難しそうだが何とかできると思う」が 51.2%と多かった。一方、「③(大変な困難が予想され)自信がない」と答えた企業が 21.3%あった。
業種別に見ると、「③自信がない」と答えた企業は運輸業(29.1%)、小売業(26.9%)、製造業(25.8%)がそれぞれ 20%台後半であるのに対し、卸売業(12.6%)、サービス業(13.4%)、建設業(17.0%)は 10%台となっている。
従業者規模別に見ると、「③自信がない」と答えた企業は規模が大きくなるほどやや多く、10人未満層の 20.0%に対し、50 人以上層では 28.3%となっている。

(2) 個人番号の厳格管理
― 「自信がない」が 48.7%
収集した個人のマイナンバー情報については、とくに厳格な管理が求められているが、そのことを示したうえ、うまくできると思うか実行見通しについて、すべての企業に聞いた。

全体として見ると、「①問題なくできると思う」と答えた企業は 13.3%で、「②難しそうだが何とかできると思う」とする企業が 38.0%だった。一方、「③自信がない」と答えた企業が 48.7%あった。
従業者規模別に見ると、「③自信がない」と答えた企業は規模が小さくなるほど多く、50 人以上層の 39.6%に対し、10 人未満層では 51.6%となっている。
前項(1)で真正な番号収集については「問題なくできる」(27.5%)と「何とかできる」(51.2%)は併せて 78.7%にのぼった。しかし、その集めた番号データの厳格管理については 5 割近い企業が本項で「自信がない」と答えており、マイナンバー制度は実際の運用に不安が残る。

3.負担とリスク等
(1) 手間による経営への負担

― 「かなり大きい」「極めて大きい」が 87.7%
マイナンバー制度について、手間(労力と時間)による精神面や実務面など経営への負担をどう思うか、すべての企業に聞いた。

全体として見ると、「①負担はさほど大きくないと思う」と答えた企業は 12.3%である。これに対し「②負担はかなり大きいと思う」が 57.1%と多く、更に「③負担は極めて大きく経営に支障が生じると思う」と答えた企業が 30.6%あり、これら「負担は大きい」とする企業の合計は 87.7%にのぼる。
従業者規模別に見ると、「③負担は極めて大きく経営に支障が生じると思う」と答えた企業は規模が大きくなるほど多く、10 人未満層が 28.3%であるのに対し、50 人以上層では 43.4%となっている。従業員数が多くなるほど、経営に支障が生じる懸念は強まるようだ。

(2) 重い刑罰のリスク
― 「仕方ない」と「厳しすぎ」が拮抗
収集した個人のマイナンバー情報が万一漏洩した場合、状況によっては重い刑罰を科せられる大きなリスクがあるが、それについて「当然」ないし「厳しすぎ」のいずれと思うか、すべての企業に聞いた。

全体として見ると、「①当然であり仕方がない」と答えた企業が 24.3%だったのに対し、「③厳しすぎて重圧を感じる」とする企業も 24.3%と同割合あり拮抗した。また、「②どちらとも言えない」と答えた企業が 51.4%と過半数だった。

(3) サービス会社との契約
― 「契約する予定」は 1.1%
最後に、マイナンバー情報の収集・保管・運用・廃棄等の代行サービスを行う会社と契約を結べば、手間による負担やリスクを一応は回避することができるが、そうしたサービス代行会社と契約することを考えているか、すべての企業に聞いた。

全体として見ると、「①契約する予定」と答えた企業はわずか 1.1%でほとんど無かった。これに対し、「②今のところ決めかねる」とする企業は 41.3%で、「③契約しない」とする企業が57.6%と多かった。
やはり、中小企業では手間による負担やリスクが増えることよりも、固定経費が増えることの回避を優先するものと思われる。
従業者規模別に見ると、「①契約しない」とする企業は規模が小さくなるほど多く、50 人以上の 43.4%に対し、10 人未満では 63.2%となっている。


【調査概要】
調査時点:2015 年 9 月 1 日~11 日
依頼先数:1,144 社
有効回答数:1,088 社
有効回答率:95.1% 但し、家族以外の従業員がいる企業のみ対象
調査対象:大阪シティ信用金庫取引先企業(大阪府内一円)
調査方法:聞き取り法

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[大阪シティ信用金庫]
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