味の地域差に関する調査2015 

2015年10月05日
日本能率協会総合研究所は、全国の男女個人、及び主婦を対象に、2回にわたって、『味の地域差に関する調査2015』を実施。本調査は、味の地域差を明らかにする総合的な調査ですが、この中から、下記のような実態が明らかになりました。

【主な調査結果】

◆「甘い味」好き年々増加。「苦い味」苦手な人は6割弱で高止まり。

◆北海道・東北ではみそラーメン、東海ではこってり味のうどん、四国でうどんメニュー、九州でとんこつラーメンが人気。

◆東北、北陸・新潟では和食の一汁三菜メニューが人気。中国、四国ではテーブルクッキングが人気。

◆首都圏以北と北陸・新潟では「中濃ソース」、中京圏以西では「ウスターソース」プラス各種ソース。

◆男性が好きな「焼肉のたれ味」、女性の好きな「バジル味」は好きな人が増加中。


【調査結果】

◆「甘い味」好き年々増加。「苦い味」苦手な人は6割弱で高止まり。

抽象的な味について16の選択肢を挙げ、好き嫌いを聞きました。好きな味は「甘い味」「うま味のある味」「和風だしのきいた味」「コクのある味」の順で、半数以上の人が好きと答えています。嫌いな味は「苦い味」「激辛味」が半数以上と双璧で、3位の「酸っぱい味」29%と大きく離れています。

そのうち、基本の五味について、時系列の推移をみたのが図表1です。
「甘い味」は好きな人が3人に2人と一番多く、10年前から微増を続けています。一方、嫌いな人は6%に過ぎず、減少傾向です。
次いで好きな人が多いのが「うま味のある味」です。6割強の人が好きと答えており、時系列でほとんど変化がなく、嫌いな人はほとんどいませんでした。
「しょっぱい味(塩味)」は44%が好きと答えています。12年から15年で好きな人が4ポイント増加し、嫌いな人が4ポイント減少しています。
「酸っぱい味」は好きな人26%、嫌いな人29%と、好みが分かれます。
「苦い味」は好きな人6%に対し、嫌いな人58%と、嫌い・苦手とする人の方が圧倒的に多いという結果でした。「苦い味」は09年から12年にかけて嫌いが10ポイント以上増加し、15年でもその高水準が続いています。特に、男女とも20代・30代で苦手な人が多く、急増していました。

◆北海道・東北ではみそラーメン、東海ではこってり味のうどん、四国でうどんメニュー、九州でとんこつラーメンが人気。

ラーメンの好きなスープの味や、和風・中華めん類の好みについて聞きました。「焼きそば:ソース味」が全体で64%の人が好きと答えて最も多く、次いで「ラーメン:しょうゆ味のスープ」が6割以上、「ラーメン:みそ味のスープ」「温かいうどん:関西風薄い色のかけ汁」が5割台で続きました。

この中から、各地域で全体より5ポイント以上高い上位3項目をピックアップし、めん類の好みの地域差を見ました。
トップの「焼きそば:ソース味」は好みの地域差がほとんどなく、全体より5ポイント以上高い地域がないので、どの地域のランキングにも登場しません。2位の「ラーメン:しょうゆ味のスープ」は北関東・甲信、首都圏でトップ、3位の「ラーメン:みそ味のスープ」は北海道、東北でトップでした。
4位の「温かいうどん:関西風のかけ汁」は関西以西の地域ではランクインしており、特に関西では7割超えと人気でした。四国では、「温かいうどん:関西風のかけ汁」以下、「ぶっかけうどん」「冷たいうどん」がベスト3で、“うどん”人気の高さが目立っています。
北陸・新潟では「冷たいそば」「冷たいうどん」「冷たいそうめん」と冷たいめん類が好まれ、東海では「カレーうどん」「みそ煮込みうどん」とこってり味のうどんが好まれていました。
九州では「ラーメン:とんこつスープ」が7割を超えているのも特徴的です。

◆東北、北陸・新潟では和食の一汁三菜メニューが人気。中国、四国ではテーブルクッキングが人気。

好きなメニューを主食以外の41項目でみると、「刺身」が71%と7割を超えてトップ、次いで「から揚げ・竜田揚げ」「ハンバーグ」「みそ汁」「天ぷら・かき揚げ」「焼き肉・鉄板焼き」「ギョーザ」「お好み焼き」「すき焼き」「ステーキ」「卵焼き」「しょうが焼き」「焼き鳥」が6割台で続きます。この6割以上の人が好きと答えた上位メニューを見ると、13項目中8項目が肉主体のメニューでした。

この中から、各地域で全体より5ポイント以上高い上位3項目をピックアップし、おかずの好みの地域差を見ました。
「納豆」が北海道、東北でランクイン、4位以下も首都圏以北で好きな人が目立っています。
東北では「焼き魚」「和風漬物」もランクインし、ごはんに魚の主菜と小鉢などのおかず数品が食卓に並ぶ和食の一汁三菜メニューが人気なようです。北陸・新潟でも「焼き魚」「和風漬物」「野菜の煮物」と、東北同様、和食の一汁三菜メニューが人気でした。
北関東・甲信では「ステーキ」「野菜サラダ」「茶碗蒸し」、首都圏では「ハンバーグ」「ギョーザ」「スープ」と洋風・中華風が中心です。
関西では該当したメニューは「冷やっこ」のみでしたが、週に1回以上食べるメニューでは「すまし汁・お吸い物」が全体より5ポイント以上高く、「お好み焼き」が1割を超えていました。
一方、中国では「焼き肉・鉄板焼き」、四国では「寄せ鍋など鍋料理」「おでん」がランクインし、食卓をみんなで囲むテーブルクッキングメニューが人気でした。
九州で「ポテトサラダ」「肉じゃが」とジャガイモメニューがランクインしたのも特徴的です。

◆首都圏以北と北陸・新潟では「中濃ソース」、中京圏以西では「ウスターソース」プラス各種ソース。

10地域の主婦を対象に、普段料理によく使う調味料を聞きました。全体では「ケチャップ」「こしょう」が9割を超えて双璧、次いで「つゆの素・めんつゆ」「マヨネーズ」が8割以上、「ごま油」「穀物酢」「かつお風味のだしの素」「オリーブオイル」「サラダ油」「焼肉のたれ」「濃口しょうゆ」が7割台と、これらの調味料はどの家庭でもよく使われているものです。

各地域で全体より5ポイント以上高い上位5項目をピックアップし、家庭で使われている調味料の地域差を見ました。
全体で3位の「つゆの素・めんつゆ」は、北海道と宮城・福島では9割を超えて1位です。以下、「ごま油」は宮城・福島で、「穀物酢」は関東以北で、「かつお風味のだしの素」は宮城・福島と北関東・甲信で8割以上でした。「焼肉のたれ」は福岡で8割を超え、「濃口しょうゆ」は阪神圏と福岡で8割前後と、特によく使われているのも特徴となっています。
全体の上位の中では、「ケチャップ」「こしょう」「マヨネーズ」「オリーブオイル」「サラダ油」は目立った地域差はなく、全国的によく使われています。
各地域の上位5項目を見ると、ソース類が多く挙がっています。首都圏以北と北陸・新潟では「中濃ソース」、中京圏以西では「ウスターソース」プラス「お好み焼きソース」「濃厚・トンカツソース」などの各種ソースが使い分けられているのが特徴となっています。
一方、元々地域性が高いとされてきた みそやしょうゆは、「淡口しょうゆ」が四国で、「辛口みそ:淡色(信州みそ等)」「辛口みそ:赤(越後みそ等)」が北陸・新潟でランクインしています。ランク外でも、「豆みそ」は中京圏で、「麦みそ」は岡山・広島、四国、福岡でよく使われています。しかしながら年々減少傾向となっており、その地域でどの家庭でも普通に使われている、主流の調味料というわけではなくなっているようです。

◆男性が好きな「焼肉のたれ味」、女性の好きな「バジル味」は好きな人が増加中。

調味料系の選択肢41項目を挙げ、好きな味・風味を聞きました。全体では「しょうゆ味」が64%とトップ、以下「かつおだしの味」「塩味」「みそ味」「マヨネーズ味」が5割以上で続きます。

男女の差が10ポイント以上あった項目をピックアップしました。10項目のうち、「カレー味」「焼肉のたれ味」の2項目は男性の方が好きな人が多く、特に「焼肉のたれ味」が好きな人は3年前と比較して全体で7ポイント、男性では11ポイント増加していました。
女性の方が好きな人が多かった残り8項目は、「コンソメ味」「チーズ味」「ホワイトソース味」「トマト味」とやわらかい洋風の味が多く挙がりました。「バジル味」が好きな人は、3年前と比較して全体で7ポイント、女性で10ポイント増加したのも特徴的です。


【調査概要】
《味嗜好編》
全国10地域の20~50代の男性・女性を対象に、2015年5月28日(木)~6月2日(火)にFAX調査を実施。有効回収数2,085人(発送数2,800人・有効回収率74.5%)
《料理編》
全国10地域の30~50代の主婦(既婚女性)を対象に、2015年6月3日(水)~9日(火)にFAX調査を実施。有効回収数1,577人(発送数2,100人・有効回収率75.1%)

詳しいリサーチ内容はネタ元へ
[日本能率協会総合研究所]
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