世界の自動車用樹脂市場に関する調査 2015 

2015年10月02日
矢野経済研究所は、世界の自動車用樹脂市場の将来需要に関して調査を実施した。

<自動車用樹脂市場とは>
本調査における自動車用樹脂とは、主に熱可塑性樹脂でかつ自動車での使用量の多いPP、PA、ABS、PE、PC、POM、PBT、変性PPE、PPS を指す。自動車用樹脂市場は、自動車の内装やエンジンルーム・燃料・機構部品、外板・外装、その他電装品等に使用される自動車用樹脂の使用量(万t)を、樹脂メーカーの販売数量ベースで算出した。

【調査結果サマリー】

◆2014年の世界の自動車用樹脂市場を802万t と推計
2014年の世界の自動車用樹脂市場を802万t(メーカー販売数量ベース)と推計する。内訳はPPが440万t、PAが108万t、ABSが82万t、PEが52 万t、PCが37万t、POMが33万t、PBTが32万t、変性PPEが12万t、PPSが6万tである。

◆自動車販売台数伸長に伴って樹脂需要が増加、部品の薄肉・小型化等がもたらす樹脂需要量への影響は軽微に留まる見通し
自動車の樹脂化は軽量化という観点で見るとある程度進展したと言え、今後は自動車市場の拡大に伴って樹脂需要の増加が見込まれる。ただし1台あたりの樹脂使用量の少ない新興国向けや小型車の比率が上昇していくと、その伸び幅が縮小することになる。そのほか各使用部品での薄肉化や小型化等が進展していくことで樹脂目付量が減少し、自動車販売台数の伸びほどの樹脂需要量が期待できない可能性がある。ただしこれらマイナス要因がありつつも、自動車販売台数の伸びに伴い、今後も樹脂需要は拡大していくと予測する。

◆自動車の樹脂化による「軽量化+α」のメリットを訴求し、新規需要を創出
今後新たな用途として期待されているのは、自動車のバックドアやフェンダー等の外板や、カーシートフレーム等の構造部材、窓ガラス等である。これらの部位は樹脂目付量が比較的多く、樹脂化できれば大きな樹脂需要に繋がる。ただしこれらの部品は、ハイテン(高張力鋼板)やアルミ、マグネシウム、炭素繊維強化プラスチック等と競合する部分である。樹脂は他材料と比較して剛性が不足するため、軽量化という意味では魅力度が低い。また樹脂を採用するには鋼板とは別の新たな製造ラインを建設する必要もある。軽量化だけでなく、一体成形による部品点数・工数削減や、デザイン性や安全性の向上等、樹脂化することによる「軽量化+α」のメリットを訴求していく必要があると考える。


【調査概要】
調査期間:2015年6月~9月
調査対象樹脂:PP、PA、ABS、PE、PC、POM、PBT、変性PPE、PPS
調査対象企業:自動車メーカー、樹脂メーカー、研究開発機関等
調査方法:当社専門研究員による直接面談、電話・e-mail によるヒアリング、ならびに文献調査併用

詳しいリサーチ内容はネタ元へ
[矢野経済研究所]
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