「2015年度 退職給付サーベイ」調査 

2015年09月18日
人事・組織コンサルティング会社マーサーの日本法人であるマーサー ジャパンは、日本における退職給付制度に関する市場調査「退職給付サーベイ-Retirement Benefit Survey(RBS)」の2015年度の調査結果を発表した。

退職給付サーベイについて
本サーベイは、実施時点で各参加企業の新入社員に適用される退職給付制度について調査・分析を行ったものである。

退職給付水準については、各参加企業から受領した人事データを基にマーサーが給付モデルを設定しているため、整合性の高い比較が可能となっている。加えて、総人件費における 退職給付制度の費用についても、「マーサー総報酬調査(TRS)」と共同し定義の一貫した分析を行っている。 本サーベイの結果に基づき、給付水準・制度種類・給付算定式・給付形態・年金タイプ等の一般的な切り口に加え、業界別・年齢別の自己都合減額の割合やDCの割合といった多様な統計データを、クライアント企業のニーズに合わせて提供することが可能になった。

また、本サーベイに付随して確定拠出年金制度(企業型)実施企業について、従業員拠出の可否や投資教育の実施状況等についての調査も行っている(「DCアンケート」)。

参加企業概況
中小企業向け確定拠 出年金制度や、運用リスクを事業主と加入者で分け合うハイブリッド型制度といった新型の退職給付制度の創設を前に、退職給付制度の見直しの有無を見極めるべく、2015年度の退職給付サーベイの参加企業は206社となり、昨年度の109社から100社近くの大幅な増加となった。

各業種で数社ずつ日系企業の参加があったが、外資系企業の参加が多数となっている。また解散を決めた総合型の厚生年金基金の加入企業が、解散後の制度導入の参考のため参加したケースが多く見られたため、それらの基金の属する業種で参加企業が増加している。

実施制度の割合
参加企業の実施制度の割合の推移は以下のようになった:
注) 以下の1~3はそれぞれ、2014年度退職給付サーベイ(%)、2015年度退職給付サーベイ(%)、増加割合(%)をあらわす

退職一時金制度
  1) 50%
  2) 55%
  3) +5%
確定給付企業年金制度
  1) 48%
  2) 40%
  3) ▲8%
厚生年金基金制度
  1) 10%
  2) 13%
  3) +3%
確定拠出年金制度(企業型) ・中小企業退職金共済制度
  1) 51%
  2) 49%
  3) ▲2%
特定退職金共済制度
  1) 5%
  2) 4%
  3) ▲1%
前払い制度
  1) 2%
  2) 4%
  3) +2%
* 1社で複数の制度を実施している企業があるため、合計は100%を超える

上述の通り、解散を決めた厚生年金基金に加入している企業が多数参加したため、厚生年金基金の実施企業割合が増加となっている。また、退職一時金制度について、詳細にみると2000年以前より制度変更のなかった企業が多く参加したため、実施企業割合が増加している。

DCアンケート結果
上述の確定拠出年金 制度の従業員拠出の実施状況についてのアンケート結果として、約43%(54社中23社)が実施との回答を得た。厚生労働省の2015年6月末時点の調査 によると、従業員拠出の実施事業主の割合は約28%(5,118社中1,414社)となっており、これに比べ高い割合となっている。理由としては、参加企業の多くが外資系企業であり、従業員拠出の掛金をもとに事業主掛金が決まる401k制度と同様の発想が根本にあり、むしろ従業員拠出があるのが自然、という考え方の浸透がみられる。

確定拠出年金法や法令解釈通知で努力義務として示されている導入時教育・継続教育の実施については約44%(54社中24社)が導入時教育のみの実施に留まっていることがわかった。しかし、アンケート回答企業の約85%(53社中45社)が、現行の投資教育(導入時教育・継続教育)の状況については改善が必要と考えている。 今後中小企業向けの簡易型の確定拠出年金制度の創設が予定されているが、マンネリ化を防ぎつつ、実施事業所に負担のない投資教育の形式が望まれる。

退職給付サーベイ総括
本サーベイのリリースに当たり、マーサージャパン年金コンサルティング部門コンサルタントであり、本サーベイの責任者を務めた坂元琢治は、次のように述べている。
「業種ごとに平均年齢、平均勤続年数、報酬水準等の特徴に応じた退職給付制度が選択されていることが、今年度の本サーベイ結果分析により示されています。 今後、退職給付制度の選択肢が増えることが予定されている中、更に業種ごとの特徴が反映されていくことでしょう。その中で退職給付制度の性質上頻繁に見直 しが発生するわけではないことを鑑み、全般的なトレンド・業種ごとのトレンドを明確に把握しておくことが、競争力を保ち続ける上で必要となると思われます。」

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