生活者がイメージする具体的年齢に関する認識実態調査 

2015年06月04日
協同宣伝は、【「言葉」をテーマにした自主調査・第3弾】として、「シニア」「高齢者」「中年」「アラフォー」等といった、日頃からよく使われるものの、厳格な定義がなされていない「ターゲットワード」に関して、(3大都市圏の)一般生活者が実際にイメージする具体的年齢(下限年齢&上限年齢)に関する認識実態調査を実施。

伝える側の意図が、共通のイメージとしてそのまま正確に伝わっているのか?あるいは、そこにズレやギャップは存在していないのか?そんな、コミュニケーションを図る際の最も基本的視座から、あらためて実状を確認すべく設計した今回の調査結果から、いくつかの留意すべきポイントが見つかりました。
以下、その主な結果をご報告します。

【調査結果】

今回の結果からまず確認できたのは、「年齢イメージ」自体は、全般にわたって「5歳」刻みで認識されていた点です。これは、我々の日常感覚からしても、ごく自然に感じられる印象です。そして、その事実から想定すると、集計において単なる「平均値」では、その値自体の代表性が乏しい可能性があるため、今回は「最頻値(モード:最も多くの人が回答した年齢=最も主流のイメージ年齢)」をベースに、見ていくことにいたしました。たとえば『シニア』と聞いて、「下限/何歳から」でイメージする人が最も多かったのは「●●歳」で、「上限/何歳まで」では「◆◆歳」です、といった見方です。
(なお、下限年齢と上限年齢は別々に、各々「下限なし」「上限なし」も含めた選択肢の中から「1歳」刻みで選択回答いただきました)

■各ターゲットワードからイメージする年齢ゾーンは、人によりバラバラ
―実は、イメージ年齢が 過半数で一致するワードは『大人』等 ごく一部―

まずは、今回調査対象とした27のワードにおいて、「下限年齢~上限年齢」(各々の最頻値)に基づき、そのレンジを一覧で示したものが【図-1】です。
これが、これらのターゲットワードに対して現代社会で「最も主流な年齢イメージ」ということになります。結果の中には、見る人によって違和感を覚えるものもあるのではないかと思います。
 実は、それもそのはずで、それら「最頻値(最も主流な年齢イメージ)」の回答占有度(シェア)を数表としてまとめた【数表-1】をご覧いただくと、この「主流派」が占めるシェア自体は、全般にわたり決して高くないことが明らかで、過半数を占めたものも『子ども』での「下限なし」(53%)や、『高齢者』での「上限なし」(85%)等の具体年齢ではないものがほとんど、具体的な特定年齢としては唯一『大人』での下限年齢「20歳」(63%)が過半数を占めているだけで、あとは20~30%台のものも非常に多くなっています。

このことは、各ワードからイメージする具体年齢は、「総意」としての特定年齢には収束しておらず、人によってバラバラな認識をされていることを示しています。つまり、これらのワードを使って伝達したとき、それを受け取る側としては、人によって様々な年齢イメージで捉えられている可能性が高く、そこにはコミュニケーションとして重大なロスが発生する土壌があるとも言えそうです。

以降では、もう少し細かい視点から確認できた、いくつかの注目ポイントを挙げていきます。

■男女別の分析

「性別」での結果をまとめたものが【数表-2】です。ここからは全体のシフト傾向も把握するため、下限年齢、上限年齢ともに、「最頻値(最も回答の多かったイメージ年齢)」と「2番目に回答の多かったイメージ年齢」を合わせて分析しました。

【必ずしも「アラウンド」ではない、『アラサー』『アラフォー』
―女性では重複も 男性では「30代」「40代」とも 微妙にリンク?―】
 数年前から急激に多用され始めたターゲットワードとして『アラ…』系(アラサー、アラフォー、アラフィフ等)があります。ご存知の通り、これらは「Around…」の意味合いから、基本的には「およそ何歳まわり(前後)」を示す文脈で解されているワードと言えますが、今回の結果では、この前提がややいびつに崩れている実態が確認できました。
特に『アラサー』『アラフォー』で、各々「下限年齢~上限年齢」における「最も主流な年齢イメージ」としては、女性で「28歳~39歳」「35歳~45歳」となっている一方で、男性では「30歳~39歳」「40歳~49歳」となっており、女性では『アラサー』と『アラフォー』の間に重複ゾーンが見られたのに対し、男性では『アラサー』=30代、『アラフォー』=40代に近いイメージが主流となっています。

ちなみに、最近非常に幅広い年齢で使われることが多い「女子会」に関連した『女子』における上限年齢では、(当該の女性では2番目だった)「上限なし」が、男性で僅少差ながら最頻値となっており、興味深い結果が伺われました。(男性では『男子』の上限年齢でも「上限なし」が最頻値でした)

【年齢イメージが高いワードでは、女性は男性より「ご長寿モード」に?
―『年輩』『中年』『年寄り』『老人』『おじいさん/おばあさん』等での“エントリー年齢”は、いずれも女性で高め―】
先ほど『アラサー』『アラフォー』では男性より若い年齢からの“エントリー”傾向が見られた女性ですが、これが、やや年齢イメージが高めのワードになると、逆に“四十、五十はハナ垂れ小僧”的に、エントリー年齢が男性より高めになる傾向が見られます。
具体的には、下限年齢の最頻値が、シェアとしては僅差ながら男性の「50歳」から、「60歳」へと入れ替わった『年輩』の他に、『中年』『年寄り』『老人』『おじいさん/おばあさん』等のいずれにおいても、「2番目に回答の多かったイメージ年齢」をご覧いただくと、男性より高い年齢が下限となっていることを確認できます。言わば“『★★★』なんて、まだまだ”的な見方です。
 これは、平均寿命(2013年/厚生労働省-2014年7月発表)で86.61歳と、男性(80.21歳)より6歳以上も上回る女性の「ご長寿」視野からのイメージとも考えられそうです。

■年代別の分析

次に「年代別」での結果をまとめたものが【数表-3】です。
ここでも、「最頻値(最も回答の多かったイメージ年齢)」と「2番目に回答の多かったイメージ年齢」の両方に着目し、分析しました。

【年代別では、加齢による「上ブレ」傾向も
―『シルバー』『高齢者』『老人』等で顕著、『シニア』でも認識構造に違いが―】
年代別では、高年代になるほど年齢イメージも高めにシフトしていく傾向が見られます。
具体的には、『シルバー』における下限年齢の「最頻値」は、20~40代では「60歳」ですが、50~60代になると「65歳」へと上がっています。また『高齢者』『老人』でも、「2番目に回答の多かったイメージ年齢」において、50代・60代での年齢イメージが高くなっているだけでなく、いずれにおいても、20~40代とは「最頻値」を挟んで正反対(高齢)の方向にシフトしています。特に『老人』の下限年齢では、20~30代(「60歳」)と60代(「80歳」)では、なんと「20歳」の格差が認められます。これは、もはや同一文脈で語ることは到底できないほどの大きなギャップと言えそうです。

さらに、従来から実に様々な場面で頻度高く使われている『シニア』ですが、その上限年齢では、各年代とも「上限なし」が最も主流イメージ(最頻値)となっているものの、この占有度(シェア)を年代別に見ていくと大きな格差が目につきます。20代では60%を占めて“圧倒的主流”の様相を示しているものの、年代が高くなるにつれて、そのシェアは大きく下がっていき、60代では24%にまで下がっています。また、「2番目に回答の多かったイメージ年齢」では、上記した「加齢による上ブレ」とは真逆の、「加齢によるイメージの若返り」とでも言うべき独特の推移を見せています。その結果、60代における『シニア』の年齢イメージのレンジは最も狭くなっています。(2番目回答では、下限年齢も上限年齢もともに「65歳」という、珍しい結果も含めて)こうした実態から、この『シニア』も、日常頻繁に使用されている割には、共通イメージとして広く定着しているとは言えず、同一の意味合いを前提として使うには慎重になる必要性が高いターゲットワードと言えそうです。(実際には、その曖昧さ自体が便利だからこそ多用する、という現実も十分にあるワケですが)

<参考/調査対象・27の「ターゲットワード」>
1.「シニア」、2.「シルバー」、3.「高齢者」、4.「中高年」、5.「熟年」、6.「年輩」、7.「中年」、8.「年寄り」、9.「老人」、10.「アラサー」、11.「アラフォー」、12.「アラフィフ」、13.「おじいさん」、14.「おばあさん」、15.「おじさん」、16.「おばさん」、17.「熟女」、18.「若者」、19.「若年」、20.「若手」、21.「青年」、22.「大人」、23.「少年」、24.「少女」、25.「男子」、26.「女子」、27.「子ども」


【調査概要】
・対象者/サンプルサイズ(有効回収ベース):関東1都6県(東京、神奈川、埼玉、千葉、茨城、栃木、群馬)、中京3県(愛知、三重、岐阜)、関西2府4県(大阪、京都、兵庫、奈良、和歌山、滋賀)に現居住する、20~60代の一般男女個人
 -合計1,050名(「性×年代」別の各セル毎に105名、各エリア毎に等分にて割付)
・調査方法:登録パネルを活用したWEB調査
・調査期間:2015年2月6日(金)~9日(月)

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[協同宣伝]
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