医療用医薬品の将来予測 

2015年05月13日
矢野経済研究所は、国内製薬市場の調査を実施した。

【調査結果サマリー】

◆2022年の医療用医薬品生産高を10兆954億円(ケースⅡ)と予測
ケースⅠは、医療制度改革が医薬品需要に多大な影響を及ぼし、ジェネリック医薬品(後発医薬品)の数量ベースシェアが2022年頃までに80%に達し、市場は新薬かジェネリック医薬品かという構造を持つことを想定して算出した。その結果、医療用医薬品生産高(輸入品を含む)は2015年が9兆144億円、2018年が8兆2,711億円、2022年には8兆164億円になると予測する。
一方、ケースⅡでは、医薬品需要の底固さと、結果的に穏やかに推移する医療制度改革を加味し、抗がん剤や糖尿病治療薬、循環器官用薬などが順調に売上を伸ばし、新薬創出加算品目が一定程度寄与し、全体を下支えすることを想定して算出した。その結果、医療用医薬品生産高(輸入品を含む)は2015年が9兆4,335億円、2018年が9兆3,315億円、2022年が10兆954億円になると予測する。

◆新薬の長期処方解禁でも、医薬品売上高が大きく伸びない時代に
これまで医薬品業界においては、新薬の長期処方が解禁されれば医薬品売上高が大きく伸びるということが言われてきた。しかし、取り巻く環境の変化とともに、新薬の処方日数制限の売上への影響はかなり限定的になってきていると考える。
なぜなら、①販売量の多い生活習慣病治療薬の新薬数が減少していること、②スペシャリティ医薬品(特定疾患患者用医薬品)の新薬が増加しているが販売量が多くないこと、③長期処方解禁の効果がある新薬であっても、薬理作用の類似する先発品が複数あり、競争が激しくなることによって、新薬の長期処方が解禁になっても医薬品売上高の伸びを大きく後押し出来ない状況になってしまったからである。


【調査概要】
調査期間:2014年5月~2015年2月
調査対象:製薬企業、医薬品卸、医療機関、薬局、行政当局、学識経験者等
調査方法:当社専門研究員による直接面談、ならびに文献調査併用

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[矢野経済研究所]
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