大妻女子大学の井上俊也教授らは「NTTコム リサーチ」モニターを対象に、「就業経験のある未就業女性のスキルに関する意識調査」を実施。
NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション(NTTコム オンライン)が運営するインターネットアンケートサービス「NTTコム リサーチ」(旧 gooリサーチ)の会員モニターのうち、首都圏に住む35歳~55歳の、かつて就業経験はあるが現在は働いていない女性を対象に調査を実施しました。

【総括】

離職した女性にとって復職することは、家事や子育て、介護などの阻害要因もあって簡単でないことが回答内容から伺えると同時に、働く意欲や、働くために必要なスキルが不十分であるなどの理由も見られます。スキル不足を理由の1つとして働いていない女性が、復職するのに有用と思われ学習意欲のあるスキルとして、「パソコン使用能力」「語学力」などのテクニカル系スキルに高い数値を示しています。スキル不足を理由として働いていない女性のなかには、前の職種やその職場での立場をうけて、前職で経験のあるスキルを中心に離職期間中に衰えたと感じるスキルを再学習したいという意向が伺えます。

【調査結果のポイント】

(1)現在働いてない理由は家事や子育て介護など、働く上での阻害要因を挙げる方が47.8%

一都3県在住の35歳~55歳の(子どもなしもしくは小学生以上の子どもあり)女性で、以前にフルタイムでの就業経験はあるが、現在は働いていない女性1,794人に対して「現在働いていない理由」を聞いたところ、「家事や子育て、介護など、働くことを阻害する環境があるから」が最も多く47.8%を占めたが、「働く意欲が十分ではないから(23.2%)」、「働くために必要なスキル(能力・知識・資格)が備わっていない(16.8%)」などの、意欲やスキルの不足を挙げる回答も存在した。

(2)「スキル不足回答者」で以前の職場の立場は「他人からの指示に基づく業務」が多くが81.1%

「働くために必要なスキルが備わっていない」事を働いてない理由の一つに回答した301人の「以前の職場での立場」については、「他人からの指示を忠実に行う」オペレーター的な役割の方が81.1%で、「それ以外」の理由を持つ方(63.6%)と比べて17.5ポイントの差があり高くなっている。次に両者間で差があるのが、以前職場で「リーダーを補佐し、チーム全体を束ねていた」サブリーダー的な役割をもつ方で、「必要なスキルが備わっていない」回答者(7.3%)に対し、「それ以外」の理由を持つ方(13.9%)のほうが6.6ポイント差で逆に高くなっている。

(3)不足意識のあるスキルは「パソコン使用能力」や「語学力」などのテクニカルスキルが高い

働くために必要なスキルの不足の理由もあって現在働いていない方に「働くために必要であるが欠けていると思うスキル」を聞くと「パソコン使用能力(62.8%)」「語学力(話す聞く42.2%)(読み書き37.9%)」などのテクニカル系スキルが欠けているとの意識が高いことが分かった。 また「不足している資格」については「英語関連(英検,TOEIC,TOEFLなど)(38.2%)」,「IT関連(ITパスポート,情報処理技術者,MOS,CCNAなど)(27.9%)」,「外国語関連(英語以外)(21.6%)」が高い数値を示した。「士業」と言われる資格についてはいずれも低く10%前後であった。

(4)学んでみたいスキルは「パソコン使用能力」が高い一方で、「特にない」も2割以上存在

「今後働くために有用と思われ,学んでみたいスキル(能力・知識・資格)」を聞いたところ、(3)と同様に「パソコン使用能力」が51.8%が最も高く、「不足意識」と「学習意欲」がともに高いことが分かる。またその反面で、「学んでみたいスキルは特にない」を回答している方も21.3%存在しており、働く上で家事・子育て・介護などの環境的な阻害要因がある一方で、「スキルが足りない」「働く意欲が十分でない」という理由で働いていない状況もあるように、学ぶとしても前職に関わりのある比較的難易度の高くないスキルへの関心か、もしくは学ぶ意欲自体がないという回答が目立ち、復職する場合の障壁になっている可能性があることが推測される。

(5)不足意識スキルと学習意欲スキルから見られる3つの傾向

上記の「欠けていると思うスキル」と「学習意欲のあるスキル」の回答結果には主に3つの傾向がみられる。1つは「パソコン使用能力」が顕著だが「不足意識(62.8%)」,「学習意欲(51.8%)」ともに高い数値傾向を示すもので、復職を考える際のスキルとして離職期間中に衰えたパソコン操作スキルをキャッチアップしたい意向が伺える。
次に、「不足意識」は高いが、「学習意欲」は低い数値を示すもので、特に「リーダーシップ」や「交渉力」などの「ヒューマンスキル」系にその傾向がみられる。働くのに際しては有用であるスキルと認識しながらも、そのスキル習得を選択しようと思っていない傾向が伺える。
3つ目として、「士業」のような専門性の高い資格において「欠けているスキル」も「学習意欲のあるスキル」もいずれも低い数値を示すものが挙げられる。「スキル不足の理由もあり働いてないと回答した方」においては、新たに資格を習得して専門的な職種への復職につなげたいと思う意欲が高くないことが伺える。


【調査概要】
調査対象:「NTTコム リサーチ」登録モニター
調査方法:非公開型インターネットアンケート
調査期間:平成26年12月22日(月)~平成27年1月5日(月)
有効回答者数:1794名
回答者の属性:一都3県在住でかつ、現在働いていない(もしくはパートタイムで働いている)が、かつてフルタイムで働いた経験がある35歳~55歳の女性 (子供がいる場合は末子が小学生以上)
【年代】: 30代後半:12.6%、40代前半:27.1%、40代後半:28.9%、50代以上:31.4%
【職業】: パート・アルバイト:34.2%、専業主婦:58.6%、無職:7.1%

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