2014年度 小型・軽トラック市場動向調査 

2015年04月09日
日本自動車工業会は、2014年度に実施した『小型・軽トラック市場動向調査』の結果をまとめた。
この調査は、小型・軽トラックユーザーの保有・購入・使用実態などを時系列的に捉え市場構造の変化を把握するためにアンケートを隔年で実施しているものであり、今回は以下の点の把握も行なった。

・安全意識と先進安全技術
・環境意識と次世代環境車
・消費税率5%→8%引き上げの影響
・農家におけるトラック・バン

【調査結果概要】

1)時系列分析

<総括>

・小型・軽・トラック・バンの保有台数は、減少が継続している。経営状況や物資輸送量が改善する中、保有台数減少が止まらない背景としては、企業数・事業所数の減少が継続していることや運輸業以外の事業所での物資輸送効率化策としての外部委託化が進展していることがあげられる。一方、運輸業では、他業種における輸送外部委託化の進展に伴い、物資輸送量が増加し、経営状況がより改善しており、保有台数増の動きがうかがえる。
・販売台数は2011年を底に増加傾向にある。増加の要因としては、経営状況の改善により、代替を遅らせている層が減少し、買替率が上昇したことで買替発生台数が増加したことと思われる。現時点では買替中心の販売台数増であるため、保有増までには至っていない。
・今後の保有意向については、全体ではまだ増加意向は見られないものの、運輸業においては物資輸送量や経営状態が好転する見通しの事業所が多く、保有増意向がうかがえる。

<保有状況と変化の背景>

・小型・軽トラック・バンの保有台数は減少傾向が継続。
 ・全体では「経営状況」「物資輸送量」は前回調査時の2012年に比べ、改善しているものの、運輸業以外では物資輸送効率化策として外部委託化が進展しており、保有台数は減少傾向が継続している。
  一方、運輸業では外部委託化の恩恵を享受し、物資輸送量がより増加しており、経営状況も好調。
  また、先行投資の動きもあり、保有台数は増加意向。ただし、運転手不足による稼動率低下が生じており、保有台数増加の阻害要因となっている。
 運転手不足への対策としては、女性・高齢運転手の採用拡大意向が増加している。

<需要構造の実態>

・小型・軽トラック・バン全体の需要は2008年レベルまで回復したが、増車ではなく買い替え需要の増加による。
 ・買替率は前回を上回っており、代替早遅をみても、前回まで増加していた「代替を遅らせている」層も減少。買い替えの動きが活性化しており、買い替え層が需要回復を支えていると思われる。
  また、買い替えについての考え方でも「無理しても早めに買い替え」が増加しており、買い替え早期化の兆しも見られる。

<使用実態>

・走行距離、行動半径等に大きな変化はないものの、用途として最終消費者への配達・集荷が増加しており、特に軽で顕著。
・高速道路利用度の高い運輸業では、ETC割引制度の改定後、高速道路の利用頻度が低下している。

<今後の購入・保有意向>

・次期買い替え意向車は、同車型・同クラス歩留まり意向率が高い傾向に変化はない。ただし、軽バンは乗用車タイプ意向が高い。
・事業所における今後1~2年の保有意向をみると、全体では減少意向の比率は低下したものの、増加意向は増えていない。運輸業では増加意向の比率は高まっており、保有増の兆しが見られる。
・運輸業以外の事業所では外部委託化も含めた物流体制の見直しを進めていることから、景気回復が直接保有増に結びつかないと思われる。一方、運輸業では他業種の外部委託化の進展に伴い、物資輸送量が増加、また経営状態が好転する見通しの事業所が多く、保有増を後押しすると思われる。

2)トピック分析

<安全意識と先進安全技術>

・運輸業では安全性への意識が高く、先進安全技術に対する魅力度も高い。
 ・8割以上が安全性に対して関心を持っており、7割以上が購入時に重視している。
  運輸業は運輸業以外に比べ、関心度・重視度とも高い。
 ・安全意識の高い運輸業では、「ドライブレコーダー」「バックガイドモニター」「アルコール検知器」の利用率が高い。また、先進安全技術については、「前方障害物衝突防止支援システム」「車線逸脱防止支援システム」「居眠り警報システム」といった長時間・長距離運転支援技術に対する魅力度が高く、運転時の安全性向上に対する対策への関心の高さがうかがえる。

<環境意識と次世代環境車>

・ハイブリッド車の受容性は高まっているが、他の次世代環境車への購入意向はまだ低い。
 ・環境問題に対する関心度は高く、大きな変化はない。運輸業以外よりも運輸業で関心が高い傾向も変わらず。環境対策費用に負担を感じている事業所は増加傾向。
 ・環境問題に対する考え方としては、「低燃費車を選ぶ」「耐久性があり長く乗れる車を選ぶ」が増加傾向。
 ・ハイブリッド車への購入意向は高く、他の次世代環境車の意向は低レベルに留まる。
  ハイブリッド車は信頼の高い技術との認識が定着しており、受容性が高まっていると思われる。
  一方、他の次世代環境車では、電気自動車・燃料電池車は「最新テクノロジー」ではあるものの、信頼できる技術との認識までは至っていない。

<消費税率5%→8%引き上げの影響>

・消費税引き上げの影響は軽微。
 影響のあったユーザーは16%。全体の3%が2014年4月以降から前倒しで購入。
 また、購入を取りやめたのは全体の4%で、需要への影響は軽微に留まったものと思われる。

<農家におけるトラック・バン>

・保有、買い替え意向車とも軽トラック中心であるものの、保有車では軽乗用車が増加傾向。
 ・農家数の減少が継続している一方で、農業生産法人は増加傾向。
  農家のうち、29%が規模縮小、16%が廃業の意向。
 ・保有、買い替え意向車とも軽トラック中心であるものの、保有車では軽乗用車が増加傾向。
 ・自家出荷拡大により走行距離が長いユーザーが増加。


【調査概要】
ユーザー調査
・調査地域:全国
・調査対象:小型・軽トラック保有ユーザー
・調査方法:訪問留置調査法
・有効回収数:1,290サンプル
・調査実施期間:2014年8月5日~9月12日

事業所調査
・調査地域:東京周辺50キロ圏および大阪市・名古屋市各30キロ圏
・調査対象:従業員5人以上の事業所
・調査方法:訪問留置調査法
・有効回収数:781サンプル
・調査実施期間:2014年8月5日~9月15日

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[日本自動車工業会]
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