CCSU(CO2回収・貯留・利用)技術に関する将来予測 2015 

2015年04月07日
矢野経済研究所は、CCSU(CO2回収・貯留・利用)技術の調査を実施した。

<CCSU(CO2回収・貯留・利用)とは>
CCSU(CO2回収・貯留・利用)とは、CO2回収・貯留(CCS;Carbon capture and storage)とCO2利用(CCU;Carbon capture and utilization)を合わせた造語であり、本調査ではCCSとCO2利用(物理的・化学的利用)を総称してCCSUと定義する。
尚、ここではIEA(国際エネルギー機関)の「6℃シナリオ(6DS)」や各国の排出削減目標などをもとに、世界のCO2削減目標(高位)を仮定し、CO2削減量のうちCCSU対象となるCO2量を試算した。

【調査結果サマリー】

◆ CCS(CO2回収・貯留):発電所・製鉄所などへのCCS適用が進む
Global CCS Institute(オーストラリアの非営利団体)によると、2014年時点では世界で13件の大規模CCSプロジェクトが操業中である。国・地域別では北米が世界のCCSをリードしていると言え、また最近では中国における開発計画も目立っている。操業中プロジェクトの大半は天然ガス精製時に発生するCO2を対象としたものであるが、発電所や製鉄所などから排出される比較的圧力・濃度の低いCO2を対象としたCCSが広がりつつある。

◆ CCU(CO2利用):新たなCO2利用の研究開発、実用化が進展
CO2利用には石油増進回収(EOR)、工業利用(溶接、飲料用など)、農業利用(施設園芸におけるCO2施用)などの用途がある。また、CO2を有機化学品に変換するための研究開発も行われている。現状でCCUとして実用化されている技術はEOR、尿素増産などごく一部の用途に限られているが、幅広い分野において新たなCO2利用の研究開発、実用化が進展している。

◆ CCSU(CO2回収・貯留・利用)の世界規模は2050年に4,590Mt-CO2/年へ拡大と予測
2015年のCCSU世界規模は33Mt-CO2/年であり、これが2030年には1,040Mt-CO2/年、2050年には4,590Mt-CO2/年に拡大すると予測する。
市場導入初期においては、CCSプロジェクトの収益性を向上させるEORがCCSUをリードすることが予想される。しかし、EORが可能な場所は限られているため、徐々にポテンシャルのより大きな帯水層への貯留が増加してゆく。


【調査概要】
調査期間:2015年1月~2月
調査対象:CO2関連(分離・回収、輸送、貯留、利用)技術
調査方法:当社専門研究員による直接面談、電話・e-mailによるヒアリング、ならびに文献調査併用

詳しいリサーチ内容はネタ元へ
[矢野経済研究所]
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