事業承継に関する調査(中堅・中小企業の代表取締役対象) 

2015年04月06日
法政大学とエヌエヌ生命による産学連携共同研究プロジェクトは、中小企業研究において多数の著名な教授を擁する法政大学と、生命保険を通じて中小企業の経営課題に対するソリューションを提供・支援しているエヌエヌ生命が、中小企業の支援を目的に共同で研究を行っています。第6期目となる2014年度は「事業承継に関する調査研究」を実施しました。

経済産業省中小企業庁「平成25年度の中小企業の動向」の概要(※1)によると、近年休廃業や解散する中小企業の件数は増加しており、その主な要因に経営者の高齢化が挙げられています。帝国データバンク「2015年全国社長分析」によると、経営者の平均年齢は年々高齢化しており、過去最高の59.0歳になります。(※2)
経営者の高齢化に伴い、中小企業の事業承継が課題となっているようです。

(※1)「平成25年度の中小企業の動向」
(※2)帝国データバンク「2015年全国社長分析」

今回の調査では、事業承継において、後継者について考えている経営者は多い一方で、「相談相手がいない」という悩みを抱えている経営者が4割弱いることがわかりました。

【調査トピックス】

(1) 後継者について「常に考えている」「時々考えている」中堅・中小企業の社長は7割強。
一方で後継者の人選を「まだ考えていない」社長は4割弱も。

(2) 後継者を意識するのは平均50歳。64歳で後継者にバトンタッチを予定。
後継者は「ふさわしい人物なら誰でもよい」が4割強で“脱親族トレンド”傾向に。

(3) 後継者バトンタッチに向けた課題 1位「後継者の経営能力向上」、2位「後継者の人間力向上」、3位「後継者が未定(有力者が不在)」。

(4) 事業承継成功のポイントは後継者が「明確な経営理念をもつ」約6割

(5) 事業承継の成功の鍵は「相談相手」に有り?
後継者問題、「相談相手がいない」経営者が4割弱。主流は「税理士や公認会計士」に相談。
後継者対策で求めているサービスは「的確なアドバイスをくれる機関」3割強。

【調査結果】

(1) 後継者について「常に考えている」「時々考えている」中堅・中小企業の社長は7割強
一方で後継者の人選を「まだ考えていない」社長は4割弱も。


中堅・中小企業の社長に後継者の検討状況について聞いたところ、最も多かったのは「常に考えている」40.0%次いで「時々考えている」31.4%で、7割強の経営者が後継者について考えていることが分かった。
一方で、後継者の決定状況をみてみると、「まだ考えていない」が35.9%で最も多く、次いで「概ね絞り込んでいる」27.6%、「事業の継続を含め検討中のため決めていない」14.4%という結果になりました。後継者が「決定している」中小企業はわずか14.0%ということがわかりました。

(2) 後継者を意識するのは平均50歳。64歳で後継者にバトンタッチを予定。
後継者は「ふさわしい人物なら誰でもよい」43.7%で脱親族トレンド。


後継者を意識しはじめた年齢をみてみると、最も多かったのは「50歳~59歳」44.5%で約半数を占めています。実際に後継者に経営権をバトンタッチする予定の社長年齢をみると、「60歳~69歳」27.0%が最も多く、次いで「60~64歳」23.2%となりました。
後継者の人選に関して、指名意向をみてみると、「ふさわしい人物なら誰でもよい」が43.7%で最も多く、次いで「子供」36.5%、「親族以外の役員・社員」21.0%という結果になりました。後継者の人選は親族に頼らない“脱親族トレンド”がうかがえます。

(3) 後継者バトンタッチに向けた三大課題
1位「後継者の経営能力向上」2位「後継者の人間力向上」3位「後継者が未定(有力者が不在)。


後継者バトンタッチに向けた課題について聞いたところ、最も多かったのは「経営者の経営能力向上」36.8%で、次いで「後継者の人間力向上」33.1%、「後継者が未定(有力者が不在)」32.9%という結果になりました。
また、後継者バトンタッチ時の重要事項に関しては、「従業員のために会社を存続させる」が64.6%で最も多く、次いで「身内(親族)に経営権を譲る」27.9%、「対外的な信用を維持する」27.0%となりました。

(4) 事業承継成功のポイントは後継者が「明確な経営理念をもつ」約6割

後継者バトンタッチの課題に対し、成功のポイントについて中小企業経営者にきいたところ、「後継者が明確な経営理念・戦略をもつ」が56.4%で最も多く、次いで「社内・社外の人間とよく交流を持つ」48.2%、「後継者に事業承継に強い意欲を持たせる」38.2%という結果になりました。

(5) 事業承継の成功の鍵は「相談相手」に有り?
後継者問題「相談相手がいない」経営者が4割弱。主流は「税理士や公認会計士」に相談。
後継者対策で求めているサービスは「的確なアドバイスをくれる機関」3割強。


後継者問題の相談相手に関して、2007年と2014年の調査結果を比較すると、「相談相手はいない」と回答した人が、2007年はわずか9.8%に対し、2014年は選択肢の中で最も多い36.5%という結果になりました。その他、「社内役員」を相談相手としていた人は、2007年では最も多い49.2%に対し、2014年はおよそ半数の26.7%という結果になりました。
後継者対策に関して、中小企業経営者が求めているサービスは、「的確なアドバイスをくれる機関」が32.2%で最も多く、次いで「経営者や後継者が集まる情報交換会の開催」28.1%、「後継者同士の情報交換会の開催」19.3%という結果になりました。


【調査概要】
調査名:事業承継に関する調査
調査主体:法政大学大学院中小企業研究所・エヌエヌ生命保険株式会社 産学連携共同研究プロジェクト
調査方法:郵送/WEB方式
調査実施期間:2014年7月15日~2014年8月12日
調査対象:全国に所在する、従業員数が10名以上1,000名未満の中堅・中小企業の代表取締役

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