高齢者の住まいに対する不安や不満についてアンケート調査 

2015年03月30日
「老いの工学研究所」は、高齢者の住まいに対する不安や不満についてアンケート調査を実施し、60~97歳まで663名から回答を得ました。

【調査結果】

1.高齢女性の半数、男性では3人に1人が、住まいに不満や不安を持つ。
「現在の住まいについて、不満や不安はありますか?」という質問に対して、「ある」「ややある」と回答した人の割合は、男性32.3%、女性49.1%となりました。

2.健常高齢者が満足できる住宅が不足している
年代別には、80歳代の前半まで4~5割の人が住まいに不満・不安を抱えていることが分かります。また要介護・要支援の認定を受けている人の割合(点線)は、60歳代後半で約5%、70歳代後半で約10%、80歳代前半で約23%となっています。
これらから、要介護・要支援の状態にはない、自立した元気な高齢者の半数近くが、住まいに満足できない状態であることが伺えます。
要介護者を対象とした“施設”の整備が話題になりますが、健康で充実した高齢期を実現するには、むしろ健常高齢者向けの“住宅”不足を解消すべきであると考えられます。

3.具体的な不満・不安の内容
1 管理が大変(広すぎる・老朽化)    59.6%
2 段差・階段がある(室内)    36.9%
3 地震・災害が心配    24.1%
4 寒い(日照や密閉性がない)    13.5%
5 坂道が多い(周辺)    5.0%
6 病院が遠い    4.3%
7 買い物が不便    4.3%
8 狭い    3.5%
9 防犯面が不安    2.8%
10 駅が遠い    2.8%

上位には維持管理・仕様・耐震性といった住宅そのものに関することが並び、いわゆるファミリー層が重視する「利便性」は、いずれも3~4%程度に留まりました。
身体的な衰えや、家族やライフスタイルの変化に伴って、住まいに求める条件が変わるのは当然と言えますが、多くの高齢者がそのような生活環境の変化にマッチしていない住宅に住み続けている状況が伺える結果となりました。

【まとめ】
政府は「“日本版CCRC”を構想するための有識者会議」を立ち上げ、高齢者の住み替えに関する議論を始めましたが、今回の調査では、健常高齢者が満足できる住宅が不足しているため、要介護状態になるまで、不満があっても我慢して住み続けている現状が浮かび上がりました。住み替え促進のためには、健常高齢者に合った住宅の供給・整備を進めることが急務であると考えられます。
(CCRCは、継続的なケア付きのリタイアメントコミュニティー。老後、まだ健康なうちに入居し、各々の必要に応じて住み替え等をしながら、最期の時までを過ごす高齢者向けの生活共同体。)


【調査概要】
調査期間:2014年12月18日~2015年2月18日
調査方法:郵送
回答者 :663名(男性270名/女性393名)

詳しいリサーチ内容はネタ元へ
リンク先リサーチPDF
[老いの工学研究所]
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