相続に対する親子意識調査 

2015年03月19日
「イエノミカタプロジェクト」チームは、相続に対する親子意識調査を実施。
調査目的:50歳~69歳の親世帯および結婚している25歳~49歳の子世帯を対象に、親子のコミュニケーション、相続、子世帯の住宅取得に対する親世帯の関わりや支援などについて明らかにすること。

【調査結果ダイジェスト】

Q1.相続に対する考え ~お互いを知らない親子たち~
『親はシビア、子は遠慮がち!? 相続に対する考え』
子が思うほど、親は子にお金を残そうとしていない。
[子への相続を考える親は13%。それに対して、子の23%は親が考えていると回答]
一方、親の生前贈与や住宅資金援助の意向は、子が思うより高い。
[親の49%が生前贈与を予定。住宅資金も51%が援助意向あり]

Q2.相続税対策の現状 ~親子でかなり違う認識~
『親は子が思うほど、相続税対策も、相続の準備もしていない! 』
相続税対策をしていると回答した親は、わずか6%。 一方、子の16%は親が対策をしていると思っている。
相続の準備においても親の実施率は低く、各種の相談や準備をしているのは2~7%にとどまる。子は17~22%も、親が何らかの準備をしていると思っている。

Q3.空き家予備軍はここに
『子世帯の約5割を占める空き家予備軍』
将来、「親の家に住むつもり」の子は13%。「親の家を相続するが、住むつもりはない」(23%)と 「わからない」(29%)を合計した「空き家予備軍」層は約5割という結果に。


【調査詳細】

Q1.相続に対する考え ~お互いを知らない親子たち~
(1)資産は残す? or 使い切る?
「資産はなるべく使わずに、子への相続を考えている」親世帯は13%。
一方、「資産はなるべく使わずに、子に相続させたいと考えていると思う」と回答した 子世帯は22%。
【考察】子が思うほど、親はお金を残そうとしていない! 親は、生きている間に適度に使う 意向がうかがえる。

(2)相続対策するなら何?
親子ともに「生前贈与」が最も多く、親世帯では49%が生前贈与を希望。
【考察】相続税対策は親子ともに生前贈与希望が高いので、思いきって親子で話し合いをしてみてはどうだろうか。

(3)生前贈与で多い住宅資金援助、親はどう思っているの?
子世帯が住宅を取得する際の、親世帯からの資金援助については、親世帯の51%が「資金援助をする」と回答したのに対し、「資金援助をしてもらいたい・もらえそう」と回答した子世帯は28%。 両者間に大きな意向の違いが見られる。
また、親世帯からの予定援助額は、バラツキのある結果に。
【考察】住宅取得時は、遠慮なく親に資金相談をしてみよう。援助金額目安の確認も忘れずに。

Q2.相続税対策の現状 ~親子でかなり違う認識~
(1)相続税対策はしている? or していない?
「相続税対策をしている」親世帯は6%に対し、子世帯は16%が対策済みと思っている。
【考察】子が思うほど、親は相続税対策をしていない。していると思っていたとしても確認が必要と思われる。

(2)相続の準備は進めている?
相続に向けた準備を「した」または「している」と回答した子世帯は17~22%に対し、 親世帯はわずか2~7%。両者間に大きなギャップが見られる。
【考察】子が思うほど、親は相続準備をしていない。 するつもりと答えた親は4割近くいるので、 親が元気なうちに準備することを勧めてみてはどうだろうか。

(3)相続の話、親から話す? or 子から話す?
相続について話し合ったことがある親子は23%。その話は、「子世帯から切り出した」と回答した子世帯は24%に対し、親世帯は9割以上が「自ら切り出した」と回答しており、「子から求められた」と 回答した親は3%とギャップがみられる。
【考察】子から話を切り出す時の話しにくさがうかがえる。子から話を切り出す時には、住宅取得などのタイミングで思いきって話をしてみてはどうだろうか。

(4)いつのタイミングで話してる?相続の話
子世帯は「普通の日」が37%、「正月」が26%となった。一方、親世帯は圧倒的に「普通の日」が 多く、53%。
【考察】特別な日に話すケースは意外に少なく、日常会話の中で話すケースが多い。日頃の親子間のコミュニケーションをいかによくしておくかが重要と思われる。

Q3.空き家予備軍はここに

(1)将来、親の家に住む? or 住まない?
子世帯に、将来親の家に住む予定があるかを聞いたところ、「住むつもり」と回答したのは13%にとどまり、空き家予備軍となりそうな「相続はするが、住むつもりはない」「わからない」を合計した割合(※)は50%を越す回答に。
兄弟構成別にみると、一人っ子では27%、さらに兄弟のうちの長子を加えた広義の長子の場合でも22%が「相続はするが、住むつもりはない」と回答している。
【考察】親の家は相続時に、子の側で別の生活スタイルが確保されているなどで、ネックとなりやすい!?早めにこうした問題を話し合わないと、今後、空き家が増える可能性が高いと思われる。

※「相続する予定も住むつもりもない」は兄弟・姉妹が住む可能性があるため、空き家予備軍から除外して計算

<調査結果のまとめ>

親子間の資産移転についての問題は、年々注目度が高まっています。
1650兆円(※1)の家計金融資産の66%(※2)のシェアを60歳以上が持つといわれ、また年金も潤沢な高齢層。
一方、日本の終身雇用システムが崩れ、非正規雇用の増加のもと世帯年収が下がり続け、また将来の年金も期待できない若年層。
親世代から子世代へのスムーズな資産移転は、国家的な課題と言えます。

では、どのように資産は移転されるのでしょうか?
今回の調査結果をみると、主導権を握る親世帯では「相続」という形で財産を子に残そうと具体的に行動している人は少なく、「相続」の準備には消極的である様子がうかがえます。資産は自分が生きているうちに適度に使い、残った分を子に相続させたいと考える方が大半です。しかしながら、相続税対策としての資産移転には積極的であり、約半数が「生前贈与」を考えています。そして、その「生前贈与」の中でも、特に子の住宅の「資金援助」への意向が高いようです。
一方、子世帯では、親は財産をなるべく残して「相続」の準備もしていると考えている人が親世代よりも多いものの、「住宅資金援助」をしてもらえそうと考える人は親の半分にとどまっています。
子世代は親世代の意図をあまり読み取れておらず、両者間には認識のギャップがあることがわかりました。
また、相続についての親子間コミュニケーションの状況をみると、子からは話しづらい様子がうかがえます。しかし、実際に相続について話している人は“普通の日”に話す機会が最も多く、普段の会話からふと相続の話に発展していることが推察できます。

こうした親子間の資産移転の問題は、近年、話題となっている「空き家問題」に対する影響を内包していることが、調査結果からわかりました。

「親の家」はどれくらい子に住み継がれるのでしょうか?
今回の調査結果では、半分の「親の家」は住み継がれない可能性が高いという結果が出ました。
“長男は家を継ぐもの”という常識もほとんど残っていないようで、男性長子(広義の長子:一人っ子および兄弟のうちの長子)でも54%が空き家予備軍となっています。
「親の家」の相続時には、子の側は別の生活スタイルが確立していることが多いことが予想され、早めにこうした問題を親子間で話し合って対処方法を考えておかないと、今後、ますます空き家が増える可能性が高いと思われます。

今回の調査結果から、親子間のコミュニケーションの必要性を改めて感じさせられました。
子が住宅を取得するタイミングで、
・“普通の日”に何気なく“住宅資金援助”を“生前贈与”という形で相談
・「親の家」についてどうするかを相談
することを、イエノミカタプロジェクトでは推奨致します。
住宅資金贈与税の非課税枠が拡大している、今こそ親子で話し合うよい機会ではないでしょうか。

※1 : 日本銀行「資金循環統計(速報)(2014年第3四半期)」による
※2 :総務省「家計の金融行動に関する世論調査(平成26年)」による


【調査概要】
■調査目的:50歳~69歳の親世帯および結婚している25歳~49歳の子世帯を対象に、親子のコミュニケーション、相続、子世帯の住宅取得に対する親世帯の関わりや支援などについて明らかにすること
■調査対象
[親世帯]
年齢:50歳~69歳
・一戸建て住宅に居住
・長男または長女が結婚・婚約しており、その子世帯が一戸建て住宅を取得していない方
居住地:首都圏(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)、名古屋市、関西圏(京都府・大阪府・兵庫県)
回収数:(首都圏606名、名古屋市86名、関西圏301名)総回収数993名
[子世帯]
年齢:25歳~49歳
・既婚
・対象者もしくは配偶者の親の誰かが健在
居住地:首都圏(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)、名古屋市、関西圏(京都府・大阪府・兵庫県)
回収数:
1)注文一戸建て住宅建築実施者(3年以内1000名、首都圏600名、名古屋市100名、関西圏300名
2)住宅建築・購入意向者(3年以内)1000名、首都圏600名、名古屋市100名、関西圏300名
総回収数2000名

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