モチベーション・レポート 2014 年 

2015年03月23日
ジェイティービーモチベーションズ(JTB モチベーションズ)は、2014年の 1 年間に収集したデータを集計し、「モチベーション・レポート 2014 年」を作成しました。

JTB モチベーションズでは、 1996 年から、オリジナル調査パッケージ<「やる気」分析システム MSQ>により、働く人のモチベーションに関するアンケートデータの蓄積を行っております。モチベーション・レポートは、「やる気」分析システム MSQ により得られたデータを総合的に集計・分析したもので、モチベーション傾向を抽出し、組織および個人のモチベーション向上施策の参考資料とすることを目的としております。

Ⅰ)モチベーションの 6 つのタイプ

今回の回答データ 2,718 件について、「モチベーションの 11 の要因(モチベータ)」をもとにクラスター分析をおこない、6 つのグループに分類しました。クラスター分析とは、いくつかの変数をもとに似通ったサンプル(回答者)をグループ化する分析です。

1.モチベーションが低いタイプが全体の 46.5%
「結果がついてこない若手型」(29.2%)、「関心の低い中堅型」(17.3%)というモチベーションが低い 2 タイプが、全体の 46.5%を占めました。

6 つのタイプの特徴

■「満足度の高い管理職型」(6.3%): モチベーションが高く、昇進昇級、報酬にも満足。管理職が多く、男性が 82.5%を占める。製造(医療関連以外)業界が他のタイプより多い。

■「やる気あふれる仕事充実型」(22.5%): モチベーションが高く、自己表現し、環境に適応し、業務を遂行する等仕事で成果を上げているタイプ。年代は幅広く、男女ほぼ半々。

■「悩める若手先輩型」(10.7%):人間関係や報酬等への関心が高いが満足できていない。営業・販売系が多く、男性が 64.0%。金融・保険、医療サービス業界が他のタイプより多い。今回の分析で初めて出現。

■「プライベート・環境重視の若手型」(13.9%): 仕事そのものよりも私生活と環境を重視。20 代が多く、女性が 74.3%を占める。製造業が他のタイプより多い。

■「結果がついてこない若手型」(29.2%): モチベーションは低いが、モチベーション要因への関心度・満足度は中程度で、危機意識は高くない。20 代が多く、男女ほぼ半々。今回の分析で初めて出現。

■「関心の低い中堅型」(17.3%): モチベーションが低く、自己表現や期待・評価にも関心が薄いが、報酬には満足。30 歳前後が多く、男性が 75.5%を占める。

2.モチベーションが低く、且つ問題意識も低い「結果がついてこない若手型」(29.2%)、新たに出現
モチベーションは低いが、11 のモチベーション要因への関心度と満足度は中程度を維持しており、問題意識が低いと思われる「結果がついてこない若手型」が新たに出現しました。このタイプは、全体の 3 割近くを占めます。

Ⅱ)2014 年のモチベーションの特徴
~モチベーション・レポート 2014 年 「やる気」分析システム MSQ のデータより~


1.モチベーションの高さ

◆モチベーションの平均点は、100 点満点で 68.2 点
モチベーションの高さを、100 を満点として指数化すると、68.2 点でした。2010 年は 69.7 点、2012 年は 67.7点で、前回落ち込んだモチベーションが戻りつつあることがわかります。


◆80 点以上の高領域 24.2%、30 点未満の危険領域 1.7%
モチベーションの高さの分布図を見ると、モチベーション 80 点以上の高領域に属する人は 24.2%、50~80点の標準領域は 64.2%、30~50 点の低領域は 9.9%、30 点未満の危険領域は 1.7%という人数比でした。
2012 年の結果(高領域 25.3%、標準領域 61.4%、低領域 10.9%、危険領域 2.5%)と比較すると、標準領域に寄ったことがわかります。

2.年代別モチベーションの高さ

◆20 歳代が最も低く、特に 20 歳代後半が低い。年代とともに上昇
年代別に見ると、20 歳代のモチベーションが低く、特に 20 歳代後半が 64.9 点と、どの年代よりも低い値を示しました。その後、年代が上がるほどモチベーションも上がり、55 歳以上の 74.0 点が最も高くなっていました。20 歳代後半が最も低く、年代が上がるほどにモチベーションが上がるのは 2012 年から引き続き見られる傾向です。

11 のモチベーション要因への満足度を見ると、25~29 歳は、「昇進昇級」への不満に加え、仕事が自分にあっているという「適職」、自分の個性を発揮するという「自己表現」、変化する環境に適応するという「環境適応」、課題や目標をやり遂げる「業務遂行」、主導的に仕事を進めるという「職務管理」、上司や周囲から期待され、評価されているという「期待・評価」に関する満足度が低く、年代が上がるごとにそれらの項目の満足度が高くなっていました。

「昇進昇級」への不満が徐々に解消し、自分にあった仕事で、個性を発揮し、環境に適応し、目標をやり遂げ、主導的に仕事を進める、といった内発的な要因に加え、周囲から期待され評価される、といった外発的な要因についても、満足感が年代とともに高くなりモチベーションを押し上げていくと考えられます。
過去の分析結果と比べると、50~54 歳のモチベーションが 2010 年 73.9 点、2012 年 72.4 点、2014 年 71.1点と次第に下がり続けています。この年代のモチベーションを強く支えるのは、「適職」「自己表現」「環境適応」などの内発的な要因なので、モチベーションを上げるためには仕事のとの向き合い方を改めていく必要があります。

3.就業年数別モチベーションの高さ

◆3~4 年と 5~9 年が低く、1 年未満が高い
就業年数別では、3~4 年と 5~9 年が低くなっており、1 年未満が最も高いことが分かりました。3~4 年のモチベーションが最も低いのは 2010 年から引き続き見られる傾向です。また 1 年未満が高いのも昨年同様ですが、その格差は大きく跳ね上がっています。
11 のモチベーション要因への満足度を見ると、1 年未満は、「適職」「プライベート」の満足度が平均を大きく上回っていました。一方、3~4 年は、「人間関係」「プライベート」を除き全体的に平均から一回り下回った傾向になっています。

4.男女別モチベーションの高さ

◆男性のモチベーションは、女性よりも高い
男性 69.1 点、女性 67.0 点と、男性のモチベーションが女性に比べ、2.1 点高くなっていました。
2012 年の分析結果では男性 68.8 点、女性 66.7 点で差は今回と同じく 2.1 点でしたので、男女ともにモチベーションが底上げされた形になっています。
女性は男性と比べて、11 のモチベーション要因への満足度のうち、自分の個性を発揮するという「自己表現」、変化する環境に適応するという「環境適応」、主導的に仕事を進めるという「職務管理」が低くなっています。
自分の思い通りに仕事ができない不満がモチベーションの低下につながっていると推察されます。この傾向は2012 年から引き続きみられるものです。

5.役職別モチベーションの高さ

◆管理職が高い
管理職 73.8 点、管理職以外 66.8 点と、役職別では 7.0 点の差がつきました。
11 のモチベーション要因への満足度を見ると、管理職は、管理職以外に比べて、「人間関係」「プライベート」「環境整備」以外で大きく上回っており、仕事について環境要因以外は強く満足していることがわかります。

6.転職経験別モチベーションの高さ

◆転職経験があるほうがモチベーションが高い
転職経験では、転職経験なし 67.0 点、1 回あり 70.7 点、2 回以上あり 70.9 点と、転職経験があるほうがモチベーションが高いことがわかりました。
2012 年は、転職経験なし 66.2 点、1 回あり 69.1 点、2 回以上あり 70.9 点で、今回と同じ傾向ですが、転職経験なしと 1 回ありのモチベーションが高くなり、2 回以上ありとの差を縮めていることがわかります。

7.業界別モチベーションの高さ

◆医療関連製造と小売・流通のモチベーションが最も高い。業界により異なるモチベーション要因
得られたデータを、業界別に分類して、モチベーションの高さを算出したところ、飲食店が 78.4 点と特に高い値を示しました。逆にモチベーションの低い業界は IT・通信の 64.2 点で、IT・通信は 2012 年に続き最もモチベーションが低い業界になっています。
11 のモチベーション要因への満足度を見ると、飲食店は「環境整備」を除き全体的に平均を上回っていますが、中でも「適職」が高く、また一般的に他要因より低い「昇進昇級」が落ち込んでいないことから、他業界よりも仕事のやりがいとその成果を実感できていることがモチベーションに繋がっているのではないかと推察されます。
また、「IT・通信」は、ほぼ平均的な満足度でありながら「プライベート」「環境整備」が明らかに低くなっており、これらがモチベーションの低下に起因しているものと思われます。


<モチベーション・レポート 2014 サンプル概要>
・方法:「やる気」分析システム MSQ
・期間:2014 年 1 月~2014 年 12 月
・対象:1 組織当たりのデータ数を 200 に制限するなど、データの偏りを修正した 2,718 件・55 組織
 なお、このデータには、個人名、所属組織名などの情報は入っていません
・2010 年・2012 年データとの比較について:それぞれ前年 1 月から 12 月の期間に得られた 2010 年(2,944 件・47 組織)、2012 年(3,802 件・52 組織)の結果と比較し、特徴的だった内容を掲載し、2014 年のモチベーション傾向をより明確にしています

詳しいリサーチ内容はネタ元へ
[JTBモチベーションズ]
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