年収1000万円以上転職の実態調査 

2015年03月19日
エン・ジャパンは運営する『エン転職コンサルタント』上で、転職コンサルタント112名を対象に「年収1000万円以上転職の実態」についてアンケート調査を行いました。

【調査結果概要】

国税庁の「民間給与実態統計調査(平成25年分)」によると、平均給与は 414 万円(男性 511 万円、女性 272 万円)。男性の平均年収の2倍超にあたる1000万円以上を稼ぐ方は、3.9%にすぎないようです。日常生活で出会うことの少ない「年収1000万円以上」の方は、どのような方法でキャリアを変えるのか、転職活動で苦労することはあるのか。転職活動の実態に迫ります。

★年収1000万円以上の方の8割は、スカウトやヘッドハンティングで転職が決まる。
★年収1000万円以上の方が転職活動で苦労するポイントは「経験を活かせる求人の少なさ」「給与・待遇が合わない」こと。
★年収1000万円以上で転職に成功している方の52%は「採用企業の課題を分析し、自分が貢献できる点を伝えている」。
★転職が決まりやすい年収1000万円以上の方の年齢・職種とは・・?
★転職を検討している年収1000万円以上の方へのアドバイス

【調査結果詳細】

1:年収1000万円以上の方の8割は、スカウトやヘッドハンティングで転職が決まる。


「年収1000万円以上の方の転職活動は、どのように進むケースが多いですか」と転職活動支援のプロである転職コンサルタントに質問をしたところ、79%の方が「エージェントからのスカウト/ヘッドハンティング」を選択しました。リファーラルリクルーティングとしても注目される「個人の人脈・つながり」(42%)、ダイレクトリクルーティングの手法である「企業からの引き抜き」(20%)で後に続いています。転職活動で一般的な手法である「求人サイトに登録し、求人情報に応募する」はわずか17%にとどまりました。高年収の方は、自分から主体的に求人を探すのではなく、その経験や能力を買われて声がかかるケースが多いようです。

2:年収1000万円以上の方が転職活動で苦労するポイントは「経験を活かせる求人の少なさ」「給与・待遇が合わない」こと。

「年収1000万円以上の方が転職において苦労することが多いケースを教えて下さい」と伺ったところ、第1位は「経験を活かせるポジションの求人がない」(58%)、第2位は「給与・待遇が希望と合わない」(54%)でした。年収が上がるほど、求職者が持つ専門性や経験がどれだけ企業の求人に適しているかで採用の可否を判断される上、ポジションが限られるため、各紹介会社が持つ求人数が極端に少なくなることに原因があるようです。また、1000万円以上の年収がある方も、理想や自己評価が上がりすぎてしまい、社外から見た一般的な市場価値と乖離があるケースも見られるとのこと。反対に一般的な転職希望者の課題に挙げられる「キャリアの棚卸しが十分でない」は8%と非常に低いことが分かりました。具体的なコメントは、下記の通りです。

【経験を活かせるポジションの求人がない】
●年齢・年収が高くなればなるほど、大学での専攻に始まり、これまでの一貫した実務経験の内容が、企業側の要望とできる限り高い精度で一致する方が求められる。このため、どんなに経験豊富な優秀な方であっても、自分の得意分野・業界と高い精度で一致する求人案件がたまたま出てこなければ、マッチングは難しい。
●役職レベルが高くなっているとそれに見合った求人が少なくなることと企業側からしても相応のポジションのため、ピンポイントの基準で選考されることになるため。
●ハイレイヤー(経営層など高年収帯)の募集は縁故やヘッドハンターへの依頼が多く、通常の紹介会社では案件獲得(募集情報を入手する事)が難しく、求人数が著しく少ない。

【給与・待遇が希望と合わない】
●見比べ志向・格上志向(企業規模・待遇・社会的ステータス)が強すぎ、現職との比較の中で動きが止まる方は一定数おられます。ウィンドウショッピングのように悩み始めたことで、企業側のモチベーションが下がる事例もありました。
●1000万以上であればなんでもいい、という方。志望動機があいまいで落ちる。高年収の企業にいて、客観的に見ると700万くらい(のスキル)であるにもかかわらず1000万以上のため、スキルと年収が合わず落ちる。
●経験を活かせるポジションでピッタリの案件があったが、現年収(2000万円)より大幅(500万円)にダウンする案件であった。
●東京からのUターン転職の場合、大阪以西では20~30%年収ダウンが当たり前で、かつ1000万円以上の案件は数えるほどしかない。

3:年収1000万円以上で転職に成功している方の52%は、「採用企業の課題を分析し、自分が貢献できる点を伝えられている」。

「年収1000万円以上の転職成功者に共通するポイントを教えて下さい」と伺いました。第1位は「採用企業の課題を分析し、自分が貢献できる点を伝えられている」(52%)、第2位は「ビジネスレベルの英語力を有している」(39%)、第3位は「キャリアの棚卸しが十分にできている」(37%)でした。

高い報酬を払うだけの価値がある人材だとアピールする上で、応募企業にどのようなメリットをもたらせるかを明確に伝えることは欠かせないようです。「ビジネスレベルの英語力」については、『年収を望むなら、ほとんどのポジションで英語力の向上は必須』『とにかく英語力を磨くこと。専門知識と業務経験が豊富であれば英語力が不足していても、とお考えの方(たまたま、日系企業などで英語力があまり問われずに、それなりの立場まで上がった方)が、一番問題です』というコメントが寄せられています。

4:転職が決まりやすい年収1000万円以上の方の年齢・職種とは・・?

「転職が決まった年収1000万円以上の方のうち、どのような年齢の方の転職実績が多いですか」という質問には、「40代前半」(30%)「40代後半」(32%)で6割を占めました。「職種」の傾向を伺うと、もっとも多かった意見は「経営・経営企画・事業企画系」(45%)、次いで「営業・マーケティング系」(30%)となりました。「経営・経営企画・事業企画系」は『数多くの成功・失敗体験を有し、それを次なる事業開発・展開に活かしている方が多い』『実際のマネタイズまでをイメージできる方だったから』『経理部長等の一機能の長として1000万円超を目指すには、ある程度の事業規模が必要だが、経営の一角(例えばCFO)であれば、ベンチャーでも十分に1000万円は狙える』というコメントが挙がりました。「営業・マーケティング系」は、その経験だけでなく、『専門性』『マネジメント経験』『海外経験(もしくは語学力)』との組み合わせで、市場価値が高まるようです。

5:転職を検討している年収1000万円以上の方へのアドバイス。

【中長期的な視点で活動を】
●1000万円以上の転職をするような方は、現職の責任者レベルであったり、既にご家庭をお持ちであったり、自分自身の利害のみで転職できなくなっていることが多いです。そのため、できるだけ早い段階で現在の業務の棚卸や引き継ぎをイメージする、転職を考えている旨をご家族の方に伝える、などを行うことで、今転職を行うことが最良の選択かどうか、という点も見えてきます。そういった総合的な判断をしたうえで転職活動に臨まれるとよいかと思われます。
●マーケットの情報収集、自分の給与やポジションとの比較、ネットワークの形成等も行う上で、転職コンサルタントに会うことや、企業の面接に行ってみることはお勧めです。よりハイレベルな活動を長期的に行うことで、間違いのない転職活動となります。
●1000万円以上の求人は多少あるが、マッチ度が高くないと難しい。早期退職等で退職をしてしまわずに、1年以上かけて良いところを見つけるつもりでじっくり進めて欲しい。
●案件が沢山あるわけではないので、腰を据えてゆっくり、良い案件があればすぐに動くという柔軟性が大切です。

【ポイントを絞った転職活動を】
●年収が高いポジションの採用は、企業にとって大きな投資であると同時にリスクである。このため、企業側は完璧な候補者が現れるまで妥協せずに採用活動を続ける。「自分は経験豊富だからどんな業務でも対応できる」と述べる方が時々いるが、企業側はそういう視点ではなく、厳に即戦力を求めている。したがって、自分が高い専門性と実務経験を有する分野、またはそれに隣接した分野に絞って転職活動を進めることをお勧めしたい。
●自分自身の何が武器なのか。自分を採用することでどれだけの利益が企業に生まれるのかをご自身で言語化できる様にしておくこと。

【多少の給与ダウンは厭わずに】
●本当にやりたいことであれば、800~900万円クラスまで落とすことも検討頂きたい。1000万円以上の年収だと生活がいつのまにか贅沢になっているが、よくよく生活を見直せば十分生きていくことは可能だと思う。
●年収を意識しすぎている方には、転職をお薦めしません。ご自身の価値観・提供価値を掘り下げて、それに対しての評価・提示価値があまりにも低いと思えば断れば良いだけのことで、数字が一人歩きする・重視しすぎる転職は転職後も含めて、不満を生みやすいと思っています。


【調査概要】
調査方法:インターネットによるアンケート
調査対象:「エン転職コンサルタント」を利用している転職コンサルタント 112名
調査期間:2014年11月6日~2014年11月18日

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