第7回男女の生活と意識に関する調査 

2015年02月20日
日本家族計画協会(JFPA)は、第7回「男女の生活と意識に関する調査」の結果を発表。本調査は、リプロダクティブ・ヘルスや少子化に対するわが国の男女の意識と行動を調べたもの。

【調査結果の概要】

第7回「男女の生活と意識に関する調査」の結果を報告。本調査は、2014年9月1日現在満16~49歳の男女3000人を対象(有効回答数1134)として、同年9月11~28日に実施した。
2002年からスタートした「男女の生活と意識に関する調査」は、2010年の5回目までは、厚生労働科学研究費補助金による研究事業の一環として行われてきたが、前回(第6回、2012年実施)以降、本会が公益目的支出計画事業の一環として独自に調査を実施している。

【調査結果】

男性の性交開始年齢遅く

過去7回行われた調査について、初交年齢から累積経験率をみた。驚くことに第7回(2014年)調査において、男性回答者の場合、過去の調査結果と比べて19歳以上での累積経験率がすべて低い。2014年調査でみると15歳以下の累積経験率は僅かに男性が女性を上回っているが、16歳以上ではすべて女性が男性を超えていた。特に29歳では男女の間には6.8ポイントの差が出ている。累積経験率が30%を超えるのは、男性では18歳(女性18歳)、50%は男性20歳(女性19歳)、70%は24歳(女性22歳)であった。ちなみに、2008年(第4回)調査での50%超えは男性19歳(女性19歳)、70%超えは男性21歳(女性21歳)であったから、この6年間で70%超えについては男性で3歳、女性で1歳遅くなっている。
初交開始年齢に影響を及ぼしている要因を探った。初交開始年齢を遅くする要因として、結婚せずに子どもを持つことに「抵抗がある」、異性との関わり「面倒である」、子どもは欲しくない、中学生の頃の親との会話「話しをした」、喫煙経験がない、両親の離婚を経験していない、などが挙げられる。

セックスレス44・6%

「この1か月以上セックスが行われていないセックスレス」については、婚姻関係にある回答者(初婚・再婚)では前回12年調査に比べて3・3ポイント増加し、セックスレスに関連した調査を開始した04年以降留まる気配さえない。
本調査では、これまでにセックスをしたことがある者(927人)に、この1か月間のセックス回数を聞いたところ、「1回」15・5%、「2回」9・4%、「3回」6・6%、「4回」5・2%、「5回以上」8・0%という結果だった。一方、「この1か月間は、セックスをしなかった」は49・3%(男性48・3%、女性50・1%)で前回比5・3ポイント増加していた。この傾向は男女ともに同様で、前回比男女ともに5・2ポイント増であった。
これを婚姻関係にある回答者に限って見ると44・6%(男性36・2%、女性50・3%)が「セックスレス」の範囲にあり(図1)、年齢階級別には婚姻関係にある女性では40~44歳65・3%(男性37・7%)と異常に高く、45~49歳の女性でも56・8%(男性38・8%)という結果だった。
01年に朝日新聞社が行ったインターネット調査「夫婦1000人に聞く」でのセックスレス割合は28・0%。本調査では04年31・9%、06年34・6%、08年36・5%、10年40・8%、12年41・3%、14年44・6%で、婚姻関係にあるカップルのセックスレス化には歯止めがかかっていない。
婚姻関係にある回答者がセックスに対して積極的になれない理由について、男性の場合、「仕事で疲れている」21・3%、「出産後何となく」15・7%、「現在妊娠中、出産後すぐだから」11・2%、「面倒くさい」10・1%。女性では「面倒くさい」23・8%、「仕事で疲れている」17・8%、「出産後何となく」16・8%、「現在妊娠中、出産後すぐだから」9・7%の順。これを10年、12年、14年で追うと、男性では「仕事で疲れて」が他を圧倒し、女性では「面倒くさい」がトップのまま続いている(表4)。
今回、初めて、婚姻関係にある回答者について、セックスレスと回答した背景を探った。統計的に有意な差を認めたのは男女差。本来であれば、性別による補正をすべきところであるが、全体で見ると、年齢が高い、高学歴、両親の離婚を経験したことがないのほか、結婚の利点についての質問で、精神的な安らぎの場が得られる、愛情を感じている人と暮らせる、性的な充足が得られる、生活上便利になる、親を安心させたり周囲の期待に応えられる、などに「利点はない」と回答した者、セックスに「関心がない」「嫌悪している」、初めてのセックスを重大だと感じていた者、立ち会い分娩の経験がない者、などでセックスレス化の傾向が強かった。

中絶経験者13・2%

13年度の人工妊娠中絶実施件数は18万6253件、実施率7・0でともに、過去最低を記録した。1955年には117万件余(50・2)であったことを思えば隔世の感がある。
一方、本調査によれば、人工妊娠中絶の手術を受けたことがある女性は13・2%(前回比1・5ポイント減)、このうち反復中絶は25・9%(同10・4ポイント減)という結果であった。「最初の人工妊娠中絶手術を受けることを決めた理由」を見ると、第1位は「経済的余裕がない」で23・8%(男性22・2%、女性24・7%)、「相手と結婚していないので産めない」23・0%(男性24・4%、女性22・2%)、「相手が出産に同意しなかった」10・3%(男性11・1%、女性9・9%)と続く。「経済的な余裕がない」が前回から一挙に9ポイント増加しているのが気になっている。
最初の「人工妊娠中絶を受けるときの気持ち」を女性に聞くと、「胎児に対して申し訳ない」が45・7%とトップ。「自分を責める気持ち」14・8%など、中絶をリプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖に関する健康と権利)として捉える傾向は依然として低いものの、「人生において必要な選択である」が2008年以降13・1%、13・3%、14・7%、16・0%とわずかながらに増加傾向にあることは注目される。その一方で、「相手に対する怒り」が6・2%(前回比5・2ポイント増)、「相手に申し訳ない」3・7%(同3・7ポイント増)、「自分の親に対して申し訳ない」3・7%(同1・7ポイント増)となったのが目立っている。

85・5%がコンドーム

これまでにセックスをしたことのある男女(927人)に、この1年間の避妊の状況を聞いた。「避妊をしている(いつも避妊している+避妊をしたりしなかったりしている)」と回答したのは50・3%(男性50・2%、女性50・3%)。「避妊をしている」と回答した女性に、二つまで選択可との条件で主な避妊方法を聞くと、「コンドーム」85・5%、「腟外射精法」16・0%、「オギノ式避妊法」6・1%、「経口避妊薬(ピル)」4・6%と続く。避妊法選択の推移を見ると、コンドームが02年比14・7ポイント増で日本人女性の男性用コンドームへの期待の大きさがうかがえる。オギノ式避妊法なども復活の兆しが見える。とはいえ、妊娠は女性にのみ起こる現象であることから、避妊を男性任せにしないことが重要だと考えるが、14年になってもなお、避妊を男性任せにしていることに問題はないのか。一方、4・6%の女性が使用していると回答したピルについては、20~24歳では9・1%、25~29歳で7・3%と若年女性での使用率が高まっている。

ピルの認知度は、女性では64・9%が「よく知っている」「ある程度知っている」と回答。発売以来15年目を迎えた今日でも認知度は6割程度に留まっている。使用意向を聞くと、「すでに使っている」女性が3・3%になっているとはいえ、「使いたくない」が71・4%と高率となっている。「使いたい」理由として、女性では「月経痛緩和や貧血予防の副効用」を挙げる者が最も多く31・3%(表6)。この割合は10年以降一挙に高まり、ここ2回調査では「避妊効果が高い」を上回っている。月経困難症の症状軽減を目的とした保険適用薬が08年と10年に発売されていることと無縁ではないだろう。「使いたくない」理由としては従来と同様「副作用が心配」がトップで女性では50・5%となっている(表7)。12年に45・0%であったものが5・5ポイント増加した背景には、13年12月にメディアを騒がせることになったピル服用による血栓症死亡と関係があるのだろうか。

低用量ピルの普及に関わり続けている筆者は、今回「低用量ピルがもっと普及するためには、どのようなことが必要か(○はいくつでも)」を聞いた。その結果、第一に挙げられたのは「気軽に相談できるクリニックを増やす」38・7%(男性32・2%、女性44・2%)、次いで「健康保険が使えるようにする」33・2%(男性25・6%、女性39・5%)、「費用を安くする」33・1%(男性30・4%、女性35・3%)、「CM等の広報をする」21・1%(男性23・1%、女性19・3%)、「国や地方自治体が費用を無料にする」12・9%(男性10・2%、女性15・1%)などであった。女性のうち「気軽に相談できるクリニックを増やす」は25歳未満で、「健康保険が使えるようにする」は30歳以上で高かった。「費用を安くする」は服用を希望する世代である20~34歳での切実な声として挙がっているといえる。

子どもが欲しい人の特徴

「子どもが欲しい」と回答している人は75・5%。性差が顕著で女性78・9%、男性71・5%。本来であれば性別補正が必要であるが、ここでは全体で分析した。「子どもが欲しい」と回答した割合が高かったのは、高学歴、自営業や主婦(主夫)、(中学生の頃)家庭が「楽しかった」、結婚したい、(母親または父親に対して)産んで育ててくれて感謝している、と回答した者。また結婚について、社会的信用を得たり周囲と対等になれる、精神的なやすらぎの場が得られる、愛情を感じている人と暮らせる、自分の子どもや家族を持てる、性的な充足が得られる、生活上便利になる、親から独立できる、親を安心させたり周囲の期待に応えられる、などに「利点がある」と回答した者。さらに、セックスに関心がある、異性と関わることが面倒でない、高収入群などであった。国の少子化対策についても、「国は目標に向け積極的に取り組むべき」と回答した者の82・1%が、「子どもの教育費の支援をしてほしい」と回答した者の81・5%が「子どもが欲しい」と答えている。

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[日本家族計画協会]
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