高校生の就職状況調査 

2015年02月18日
ライセンスアカデミーは、高等学校を対象に、就職に関わる調査を実施。

【調査概要】
本調査では、全国から 10 県を選び、該当県に存在するすべての「全日制高校」「全日制課程を有する高校」「中等教育学校」に調査票を送付した。 これら 10 県は、厚労省が昨年9月調査、同年 11 月に発表した「就職内定率県別一覧」から 、内定率の上位5県、下位5県から選んでいる。 上位、下位を選ぶことで、その差を明らかにするねらいもある。
調査票は、本年1月上旬、ファクシミリにて全 1,087 校に一斉送信し、回答についてもファクシミリを用いた。締め切り日は同月 19 日で、回答数は 227 校(回答率は 20.9%)。なお、各設問とも「無回答」は報告書の集計に加えていない。

【調査結果】

Q 就職希望者の増減(前年との比較で)

全体として就職希望者の割合が増えた。これは全国的な求人増の反映だと考えられる。
希望者の増加は、内定率の低い5県の合算(グラフでは「低い県5県合算」と表記)、内定率の高い5県の合算(同「高い県5県合算」)のいずれにも見られたが、後者の方が増加傾向が強い。「高い県」の中で愛知県に限ると、「大いに増えた」「少し増えた」は合わせて17回答で、「少し減った」「だいぶ減った」合わせて6回答と大きく差が出た。
一方、「専門学科・総合学科を含む高校」と「普通科単独の高校」の比較からは、前者で強い就職シフトが、後者で逆に進学シフトが起きたと解釈できる。

Q 内定状況について(前年との比較で)

内定状況は確実に改善されている。とりわけ内定率の「低い県」において、改善が著しかったことが分かる。「高い県」においても、「やや良い」が「やや悪い」を30ポイント近くの差で上回っている。
ここでも愛知県について着目すると、「大いに良い」「やや良い」17校に対し、「やや悪い」「大いに悪い」4校で対照的な回答数になっている。また、内定率が低い北海道でも、前者32校、後者19校と、全体としては良好な結果になっている。
学科別では、「専門学科・総合学科を含む高校」の好調ぶりに比べ、「普通科単独の高校」の一部では回復が鈍かったことが分かる。

Q 規模別、県内外別の内定状況(前年との比較で)

企業規模、県内・県外で分類し、前年との比較を行った。各カテゴリーともに、「減少」の回答は少数である。
本調査は一年前にも実施した。そのときの同設問における前年比較による「増加」分の割合
を示すと、「大手・中堅の企業」13.4%、「中小企業」33.6%、「県内(道内)の企業」28.0%、「県外(道内)の企業」19.3%だった。前年は「全国」規模の調査だったため、母集団が同一でないので断言は難しいが、今回の内定状況の改善は「大手・中堅の企業」「県内(道内)の企業」がさらに増加させたことが大きな要因であろう。
また、「県外の企業」の「増加」分に注目すると、内定率の「高い県5県合算」は14.7%に対し、「低い県5県合算」は32.1%に達した。

Q 内定状況で、好調・不調の「業種・職種」は?

自由記述形式で、好調・不調の「業種・職種」を尋ねた。記述内容からキーワードを取り出し集計した。数値は回答数を示す。
「製造業」の好調ぶりが顕著で、具体的に「自動車」「電機」という回答があった。しかし、同時に不調を指摘する回答もあり、工場の移転・進出、製品の種類、さらには、前年の採用確保状況も関係しているものと推測できる。また、「介護」も好調である。なお、「サービス」の中身では、発電所関係の警備を記す回答が複数寄せられた。
「販売、小売り」は好調・不調に二分された。「事務」は全国的に不調だったが、9校(うち6校は北海道)から好調という回答を得た。

Q 最終学年で、進学から就職へ志望を変更した生徒数は?

回答の選択肢として、グラフ中の4段階のほか「16人以上」も設けていたが、選択した回答は皆無だった。全般に変更者数は少ないことがうかがえる。
変更の理由については、自由記述形式で尋ねた。「5人以下」「10人以下」「15人以下」の回答を合わせて149校、そのうちの61.1%に「経済的理由」が挙げられていた。このほかに、「家庭の事情」「受験の失敗」の記述もあったが、前者は経済的な理由を含むと推測できる。このほか、少数であるが、「有名メーカーへ内定が得られたため」という回答も寄せられた。
学科別の集計では、「専門学科、総合学科を含む高校」において、変更者数が多い。

Q 内定率向上のための取り組みについて

「面接指導」「書類添削」は就職指導に欠かせないことが分かる。また、「欠席しない指導」は意外な感を抱くが、入社後の勤怠を気にする企業にとっては要注目ポイントになっていると考えられる。さらに、「校内実施の就職ガイダンス・説明会」も実施している高校が多い。これに関しては、外部に依頼しているケースも少なくない。
なお、下から4番目に登場する「就職支援員」は、都道府県から派遣される就職指導を専門に行う職員。都道府県によってはキャリアアドバイザー等名称が異なる。

Q 面接で聞かれる項目は?

「志望動機・理由」は必ず聞かれ、「自己PR」もかなりの割合で聞かれていることが分かる。「クラブ活動等」「学校生活で印象に残ったこと」も「自己PR」に近い要素を含んでいると考えられる。こうした「自己PR」から、提出書類では分からない人柄の把握に努めていると考えられる。
気になるのは「家庭環境」の質問で、「よく聞かれる」「聞かれる」を合わせると20%近くになる。
厚生労働省より採用選考時に配慮すべき事項とされているが、実際は聞かれている。同じくセンシティブな内容といえる「進学しなかった理由」についても、「よく聞かれる」「聞かれる」合わせて13%程度ではあるが、質問がなされている。

Q 面接の時間、形態は?

面接時間については、「5分程度」「10分程度」「20分程度」「30分程度もしくはそれ以上」の4段階に分け、順位を付ける設問にした。上図「時間について」は、1位に選ばれた割合を表している。「10分」もしくは「20分」が一般的である。また、短い面接は少ないが、「30分以上」の面接は少なからず存在していることが分かる。
面接形態は、「個人面接のみ」「グループ面接のみ」「個人面接とグループ面接の両方で」の3形態に分け、 同じく順位付けをした。こちらも1位に選ばれた割合を示した(上図「形態について」)。「個人面接のみ」が9割を占める。少数ではあるが、「個人とグループの両方」を1位とした回答もあった。

Q なかなか内定が得られない生徒の傾向は?(内定を早く獲得できた生徒との比較で)

全国的に内定率が改善される中においても、内定を得るまでに時間がかかる生徒はいる。そうした生徒の傾向を尋ねた。
全回答の過半数が「よく当てはまる」と答えたのが、「コミュニケーション能力が低い」だった。続いて、30~40%が「よく当てはまる」と回答したのが、「就職に対する熱意・意欲に欠ける」「自己PRができない」「欠席が多い」となっている。いずれも採用側にとって不安を抱かせがちな内容である。
反対に、「当てはまらない」が最も多いのが、34.0%の「家庭環境に問題がある」である。このほか、「強く地元就職にこだわる」「クラブ活動に入っていない、早く退部した」が続く。

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