NISAの利用実態調査(第6回) 

2015年02月12日
野村総合研究所(NRI)は、2015年1月下旬に、6回目となる「NISA(少額投資非課税制度)※1についての利用実態調査」(以下、「本調査」)を実施。
2014年に投資※2を開始した人(新規投資家)のうち、52.5%の人が「NISAがきっかけとなった」と回答しています。また、新規投資家には若年層が多く、NISAが投資家層拡大の役割を担っていることが分かりました。

【調査結果】

2014年実績

■ NISAがきっかけで投資を開始した人が半数強

今まで投資の経験がなく、2014年に初めて投資を開始した人(以下「新規投資家」)のうち、NISA口座で投資を始めた人は52.5%でした。新規投資家の過半数は、NISAをきっかけに投資を開始しています。
2014年末までにNISA口座を開設した人(以下「NISA口座開設者」)※3の中で、新規投資家が占める割合は17.9%、2014年以前から投資をしている人(以下「既存投資家」)の割合は82.1%でした。
NISA口座開設者を投資経験(既存投資家・新規投資家)別、年齢階層別に見ると、既存投資家は60代以上が過半数(57.8%)を占めているのに対し、新規投資家は50代以下が過半数(61.7%)を占めています。その中でも、新規投資家における20代、30代の占める比率はそれぞれ14.3%、17.2%で、既存投資家の2.6%、8.3%よりもそれぞれ10ポイント前後高くなっています。NISA利用に関しては、投資経験のある高齢者層が先行していますが、今後、若年層がNISAをきっかけに投資を始めることが期待できる結果となっています。

■ NISA口座開設者で実際に投資した人は約半数

NISA口座開設者のうち、実際に投資を行った人は51.5%と5割程度にとどまりました。投資経験別に見ると、既存投資家が59.4%であるのに対して、新規投資家は15.1%でした。
投資をしなかった理由について、「今すぐには投資する資金・余裕がない」を挙げた人が既存投資家と新規投資家のいずれにおいても最も多く、それぞれ28.2%、32.1%でした。
既存投資家と新規投資家を比較すると、既存投資家では、投資しない理由として「投資するタイミングを見定めているから」を挙げる比率が高く(24.7%)、市場動向を見極めている様子がうかがえます。一方、新規投資家には「どの商品に投資するか迷っているから」を挙げる人が多く(29.5%)、初めての投資を前にして、金融商品の選択に迷ったり慎重になったりしている様子がうかがえます。

■ 積立投資をしている人は新規投資家に多く、約3割

NISA口座を開設して、2014年に投資を行った人の中で積立投資をしている人の割合は、既存投資家が20.8%、新規投資家が31.1%でした。少額で投資できる積立投資は、新規投資家にとって、取り組みやすい投資方法であるためと考えられます。

■ 投資開始後に、投資のイメージがポジティブな方向に変化

NISA口座を開設した新規投資家に、「投資する前」に持っていた投資のイメージと「投資後」に持ったイメージを聞いたところ、イメージの明確な変化が起こっていることが分かりました。「投資する前」は、「素人には難しい」(51.2%)「不安・心配である」(47.8%)、「リスクが高い」(45.9%)が上位を占めていましたが、「投資後」はその比率が減り(それぞれ15.8%、15.6%、11.8%)、代わりに「投資する前」に低かった「銀行に預けるより得」(15.0%)、「資産形成に役立つ」(10.2%)が、それぞれ「投資後」に46.8%、42.6%と大幅に増加する結果となりました。投資を開始するまでの心理的ハードルを乗り越えると、投資が身近な財産形成の手段であるという意識が高まることがうかがえます。

2015年予測

■ NISA口座開設者は、2015年末までに約980万人へ

国税庁の2015年1月29日付の発表によると2014年末までにNISA口座を開設した人は、約834万人でした。
2015年中には、2014年末までの口座開設者数を100%としたとき、さらに17.5%の増加が見込まれ、979万人に達する見込みです。しかしこの数値は、NISA口座開設について強い意向を持つ人を取り出したものであり、意向はあるけれども、それほど強くは思っていない人も含めると同じく30.8%の増加となり、1,090万人に達する可能性もあります。

■ NISA口座開設者で、実際に投資する人の割合は約7割に

2014年は、NISA口座を開設しても、実際に投資した人は51.5%でしたが、2015年はNRIの推計ではその割合が68.0%に達する見込みです。
推計の元となった状況別の投資意向をみると、2014年に既にNISA口座で投資を開始した人については70.5%、2014年末までに口座を開設しながらも投資しなかった人で、2015年は投資する意向のある人は60.2%、また2015年に口座を開設する人で、実際に投資する意向のある人は82.2%となっています。

■ NISA口座への平均投資金額は下がるが、総額は増加

2014年にNISA口座で投資した人の平均投資金額は、81.3万円と推計されます。それに対し、2015年の平均投資金額は71.3万円に下がる見込みです。2014年の平均投資金額よりも2015年のほうが少なくなるのは、2015年にNISA口座を開設する人に、少額から始める人が多いと考えられるからです。一方、NISA口座で投資する人が増加することで、年間の投資総額は2014年の3.5兆円から40.1%増え、2015年は4.9兆円になる見込みです。

※1NISA(少額投資非課税制度):
NISAとは、上場株式や投資信託への投資によって得られる配当(分配)や売却益を非課税にする制度です。NISAを利用するには専用の非課税口座を開設する必要があり、この口座はひとり一口座と決まっています。また、この非課税口座で購入できる上場株式や投資信託は、年間100万円(現行)までです。

※2投資:
株式、債券、国債、投資信託などへの投資を指します。不動産や美術品は除きます。

※3NISA口座開設者:
口座開設までには、申込みから1ヶ月半程時間を要します。「NISA口座開設者」は、2014年までにNISA口座で投資をすることができる状況になっている人を指し、2014年に金融機関にNISA口座開設の申込みはしたが、まだ口座が開設されていない人は含みません。
ご参考


【調査概要】
・調査名:NISA(少額投資非課税制度)の利用実態調査(2015年1月)
・実施時期:2015年1月17日(土)~1月18日(日)
・調査対象:全国の20代~70代の男女個人7,000人(回収数)
※集計した値を、「NRI生活者1万人アンケート(金融編)(2013)」と国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成24年1月推計)」に基づき、全国の人口分布(性、年齢および投資行動)に近い形になるように補正している。そのため、各グラフにはサンプル数は記載していない。
・調査方法:インターネット調査

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