IHG™年次レポート:信頼の資本構築(Building Trust Capital) 

2015年01月22日
IHG™(インターコンチネンタルホテルズグループ)は、年次レポート「信頼の資本構築: つながり経済の時代におけるビジネスの新しい条件」(Building Trust Capital: The new business imperative in the Kinship Economy)を発表し、ブランドや会社への信頼を培うことが近年ますます重要になっていると指摘しました。

スイスのダボスで開催される世界経済フォーラム(WEF)年次総会に合わせて発表されたこのレポートでは、官民いずれのセクターでも人々の信頼が低下しつつある傾向などが最近の特筆すべき動きとして挙げられています。
経営分野では、これまで企業価値の源泉として「3 つの C(Capital=資本)」-すなわち金融資本・人的資本・知的資本が重視されてきましたが、最近これらに並ぶ「第 4 の C」として注目を集めているのが「信頼」です。企業やブランドが自らの信憑性・一貫性・先進性・道義性を消費者にアピールし、信頼を育てることが、成功に欠かせない要素となっています。

2015 年の IHG 年次レポートは、信頼の資本をいかに構築するかをテーマに、世界のさまざまな地域でさまざまな層のお客様からの信頼を育むための方法について分析しています。

IHG の分析は、世界各地で 3 年間にわたって 4 万人近くの旅行客を対象に実施されたアンケート調査のデータに基づいています。IHG は年 1 回、ホスピタリティ業界やビジネス全般に関する消費者アンケートの結果をレポートにまとめて発表しており、今年が 3 年目にあたります。2013 年の「The New Kinship Economy(つながり経済の登場)」では、ホスピタリティ業界の焦点がホテルブランドの体験からホテルブランドとの関係構築へと移り変わろうとしていることを指摘、続く 2014 年の「Creating Moments of Trust (信頼の創造: つながり経済の時代にホテルブランドとの関係構築を成功させる鍵)」では、前年の調査結果を受けて、永続的な関係構築の鍵がグローバル性・地域性・パーソナライズされた体験にあることを明らかにしました。

主な調査結果:顧客属性の変化

今回のレポートは、いくつかの注目すべき動向を挙げながら、世界の変化によって消費者の信頼のあり方にもダイレクトな変化が生まれていることを指摘しています。そのひとつが、世界のさまざまな地域で同時に進行している高齢化と若年化の傾向です。
人口ピラミッドを見ると、ベビーブーム世代(1946 年~1962 年生まれ)とミレニアル世代(1982 年~2000 年生まれ)という 2 つの大きな山がありますが、意識のあり方・世界観・旅行ニーズ・ブランドとの関わりや信頼の寄せ方などにおいてこれらの世代には大きな差異が見られます。今後のブランド戦略においては、これら 2 つの世代の異なるニーズに同時に答えるアプローチが大きなビジネスチャンスになっていくと予想されます。調査からは、次のような傾向も明らかになりました。

●対ブランドにおいて、ミレニアル世代が「体験本位の親密な関係」を指向しているのに対し、ベビーブーム世代は「スムーズで一貫性の高い洗練された関係」を求めています。
 ○「自分らしさを表現できるホテルに宿泊したい」という回答の割合は、ミレニアル世代で 23%だったのに対し、ベビーブーム世代では 11%にとどまりました。

●ミレニアル世代は、ベビーブーム世代に比べて「旅行体験の見えない化(オペレーターや担当者を介さずに旅の手続を独自に進める傾向)」が進んでいます。
 ○「知りたいことがある場合、ホテルに直接電話して聞く方がよい」という回答の割合は、ベビーブーム世代が 67%と高く、ミレニアル世代の 56%を上回りました。

●家族旅行に関するニーズも、2 つの世代間で異なっています。ミレニアル世代は、ファミリー向けの旅行先にお子様向けの安心で楽しいプログラムを求めています。ベビーブーム世代は、年齢を問わず家族が一緒に行動できる休暇を重視しています。

本レポートは、家族のあり方の変化が消費者の信頼形成にも変化をもたらしていることにも触れています。つながり経済の「つながり」においても、伝統的な家族の絆と同じくらい、気の合う仲間との関係性が重要となっています。これら 2 つのネットワークのそれぞれにアピールしていくことが、消費者との関係性を作り育てていく上で効果的(かつ経済的)なアプローチであるとレポートは分析しています。

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[IHG・ANA・ホテルズグループジャパン]
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