在ロシア日系企業実態調査 

2014年12月17日
ジェトロは2014年10~11月にかけて、ロシアに進出している日系企業に対し、経営実態に関するアンケート調査を実施しました。

【調査結果】

在ロシア日系企業実態調査の結果

(1)2014年は53.2%の企業が営業黒字、2015年は半数の企業が業績改善の見通し

・2014年の営業利益見込みは「黒字」が最も多く53.2%で、前年度調査(55.6%)と比較して2.4ポイント減となった。「赤字」も前年度調査(30.2%)から5.7ポイント減の24.5%となる一方、「均衡」が前年度調査での14.3%から22.3%に拡大した。前年営業利益と比べて、「改善」が31.9%、「横ばい」と「悪化」が共に34.0%となった。

・営業利益の改善要因として、「現地市場での売上増加」(63.3%)が最も多かったが、前年度調査(84.0%)と比べ20.7ポイント減となった。悪化要因は、「現地市場での売上減少」(68.8%)が最も多く、「為替変動」がそれに続いた(59.4%)。前年度調査で「為替変動」と回答した企業は47.4%であった。

・2015年の営業利益は2014年と比べて「改善」(50.0%)と回答する企業が最も多かったが、前年度調査で0%だった「悪化」の回答も18.1%に拡大した。「改善」の要因として、「現地市場での売上増加」(74.5%)に対する期待が大きい一方、「悪化」の要因として、「現地市場での売上減少」(75.0%)が挙げられた。


(2)今後の事業展開は、約3分の2の企業が「拡大」と回答

・今後1~2年の事業展開の方向性を「拡大」と回答した企業は66.0%と、前年度調査の77.8%より11.8ポイント減となる一方、「現状維持」は29.8%となり、前年度調査の20.6%から9.2ポイント増となった。

・業種別にみると、製造業で「拡大」と回答した企業は72.0%で前年度調査の76.9%から4.9ポイント減となり、前年度調査では0%であった「縮小」が4.0%となった。非製造業で「拡大」と回答した企業は63.8%で、前年度調査の78.0%から14.2ポイントの減となり、「現状維持」が31.9%(前回20.0%)に拡大した。「縮小」と回答した企業は4.3%であった(前回2.0%)。

・拡大の理由は、「売上の増加」が最多の80.6%で、「成長性、潜在力の高さ」(51.6%)、「取引先との関係」(27.4%)が続いた。前年度調査で79.6%の企業が拡大理由にあげた「成長性、潜在力の高さ」は28.0ポイント減となった。縮小の理由としては「売上の減少」や「コストの増加(調達コストや人件費など)」、「規制の強化」が挙げられた。


(3)ロシア市場の成長に引き続き高い期待があるも、リスクとして不安定な為替、政治・社会情勢が顕著

・投資のメリットとして、「市場規模/成長性」の回答(83.9%)が最も多かった。

・投資のリスクとして、「不安定な為替」の回答が最も多く78.5%(前回48.4%)であった。それに「不安定な政治・社会情勢」(74.2%、前回37.1%)が続き、ルーブル安の進行やウクライナ情勢に伴う影響を反映する結果となった。そのほか、「行政手続きの煩雑さ(許認可など)」(67.7%)や「税制・税務手続きの煩雑さ」(59.1%)などが挙がった。安全面では、「治安、テロ」(80.6%)、「紛争、民族/宗教対立」(46.2%)などが挙がったが、前年度調査との比較ではそれぞれ8.1ポイント、15.1ポイント減となった。

・現地生産の課題として、「原材料・部品の現地調達の難しさ」(29.2%)の回答が最も多く、次いで「品質管理の難しさ」(25.0%)が挙げられたが、前年度調査と比べてそれぞれ9.3ポイント、21.2ポイント低下した。「特に問題はない」と回答した企業が50.0%となり、前年度調査(23.1%)より26.9ポイント増となった。


(4)約6割の企業が欧米などによる制裁措置の影響を受ける

・ウクライナ情勢の緊迫化に伴う欧米などによる制裁措置及びロシアによる対抗制裁措置の影響が「ある」と回答した企業は55.9%に上り、「ない」は22.6%であった。

・影響としては、売上の減少、現地取引先の信用力の悪化、事業の縮小または新規事業の延期・中止などが挙がった。


【調査概要】
・調査方法・実施時期:2014年10月9日~11月7日
・アンケート送付先:103社(回答企業数94社(うち製造業25社、非製造業69社)、有効回答率91.3%)
・質問項目:(1)経営状況、(2)今後の事業展開、(3)経営上の課題、(4)ウクライナ情勢・制裁措置による影響など

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[ジェトロ]
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