日本企業が直面している事業環境の変化と対応調査 

2014年12月04日
NetSuite Inc.の日本法人であるネットスイートは、日本企業が直面している業界の変化の程度と、その変化に対しどのように対応しているのかを調べることを目的として,調査会社フロスト&サリバンへ調査を依頼しました。

その調査の結果、競合他社や新たなビジネスモデルの出現、デジタル化や製品のサービス化という4つの要因がビジネスに混乱を引き起こすということが分かりました。「混乱・崩壊・移り変わり (Disrupt, Collapse, Transform)」調査において、79%の日本企業がクラウドを活用することで営業経費の低減や迅速な新製品・サービスの立ち上げ、新市場への参入などにより競争優位を実感した一方で、クラウドを利用して業界の変化に対処している企業は比較的少数 (24%)に留まることが判明しました。

フロスト&サリバンは、本調査を行うにあたり、日本で200人の取締役および執行役員を対象にアンケートを実施しました。製造会社から小売会社まで主要な業種から回答者を選定しております。
本調査結果では、多くの幹部役員が急速な業界の変化に直面していると感じており、業界で生き残っていくためには、柔軟性と適応性を高めていくことが重要であると考えていることが明らかになりました。また、日本の経営者は、自社がおかれた状況変化に対して、他国に比べて楽観的であることも分かっています。「業界が急激に変化している」と考えている割合が、米国31%、シンガポール37%、オーストラリア26%だったのに対し、日本はわずか16%でした。

業界の移り変わりを加速する最大の脅威

本調査によると、メディアや小売の分野を含む27%以上の日本企業は、業界に混乱を引き起こす最も大きな要因として、海外や異なる地域から新規参入する競合他社や、国内における新ビジネスモデルやデジタル技術を活用した新たな企業の出現を挙げ、これらが既存市場への最大の脅威になるだろうと考えています。ローコストキャリアのPeach Aviation株式会社(以下、ピーチ)は、日本の老舗航空会社に大胆な挑戦をしている素晴らしい一事例としてあげられます。クラウドコンピューティン グを武器に、低価格な料金設定に支えられ、ピーチは日本で最初に事業を成功させたLCC航空会社となりました。

Eコマースを含む、オンラインの販路を活用してビジネスを推進した顧客の獲得や、サプライヤーとの取引をおこなう「デジタル化」は、日本の経営者が考える大きな変化を引き起こす二番目の要因として挙げられています。とりわけ著しいのが、インターネットを利用した販売(Eコマース)やコミュニケーションチャネルの急速な台頭です。オンラインで販売を行うトレンドへの適応は、米国全体で35%、オーストラリア42%浸透している他国に比べ、日本企業は22%と低い結果となっています。世界的にみると、年間20%以上成長率があるにもかかわらず、日本でのEコマースの成長はこれまで比較的緩やかであり、2014年の成長率はわずか3%という結果でした。

三つ目の大きな要因として、クラウドコンピューティング、その他モバイルブロードバンド、3Dプリンター、低価格センサーなどの技術により可能となった新ビジネスモデルがあげられます。例えば、マス(大規模な)カスタマイゼーションは、現在製造業で拡大しているトレンドであり、マスカスタマイゼーションを利用して、収益を確保しながら、個々の顧客向けにカスタマイズされた製品やサービスを提供しています。例えば、日本の大手自転車メーカーであるナショナル自転車工業 (NBIC) は、パナソニック自転車ブランドをマス カスタマイズし、要望に応じてオーダーメイドや付属品を取り付け、さまざまなオプションの選択を提供しています。NBICは、マスカスタマイゼーションの提供を始めて2年間で、同社製品の注文を20%増加させました。

最後の要因として、サービス化(サービタイゼーション)へのシフトも大きな変化をもたらす要因として挙げられています。サービス化とは、製品メーカーがその中核製品に課金できるサービスを加えたり、統合したりするプロセスや技術を市場に提供することを指します。例としては、デザイン、開発、保守、技術サポート、設置・実施、リースなどを指します。サービスによる収益は、多くの製品メーカーにとって重要性を増しています。とりわけ、複雑な工業製品を扱う製造業の場合は顕著と言えるでしょう。現在、多くの産業において、従来の製品による収益を補完するサービスや、ソリューションを提供のための技能開発を積極的に行っています。本調査によれば、日本企業は他の多くの国の後塵を拝しており、米国がほぼ60%、オーストラリアでは40%近く、また、シンガポールが50%であるのに対し、日本では部分的にサービス化しているメーカーも含め、割合は30%程度に留まっています。しかしながら、日本の製造業もサービス化を着実に進めており、2014年の調査に見る、30%という値は、2007年に行った前回の調査で報告された11%から大幅に伸びています。

クラウドコンピューティング - 引き金であるとともに必要な対処措置
フロスト&サリバンは、クラウドコンピューティングは業界の変化の引き金であり、企業の生き残りに必要な対処措置でもあると考えています。本調査から、クラウド採用の主な理由が、業界変化への適応を可能とすることであって、4年前の主な理由であったコスト削減やアップグレードが容易であるなどという点などは重要性を下げたということが分かりました。また、業界の変化に素早く対応できることがクラウド採用の主要な動機であると考える日本の経営者の数は、2010年から2014年の間で2倍に増えています。

世界的に見ると、39%の企業が財務会計やCRMを始め、少なくとも主要ビジネスアプリケーションの一つとしてクラウドを利用していることがわかっています。日本ではわずか及ばずながら38%の利用であると調査結果が示しています。採用が進んでいる分野は割合が大きい順に、IT、メディア / エンターテイメントおよび金融サービスとなっており、一方で、運送業、医療および教育の分野では採用が最も遅れていることが分かりました。

また、クラウドコンピューティングは、これまでのビジネスとは異なる分野にて急成長を遂げる企業の大きな支えになると言えます。例えば、モバイルゲームで知られる株式会社ディー・エヌ・エーは、クラウドコンピューティングを活用しマンガ雑誌アプリ、ライブストリーミング配信、そしてヘルスケアへと事業の拡大を行ってきました。

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