PwC(プライスウォーターハウスクーパース)が発表した最新の調査報告書によると、アジア太平洋地域の最高経営責任者(CEO)の自信は引き続き改善していることがわかりました。同地域のCEOの46%が、域内経済の推進力である中国の景気減速にもかかわらず、今後12カ月間の成長に「大変自信がある」と回答しており、2012年の調査結果を10ポイント、2013年を4ポイント上回りました。

本調査は、アジア太平洋地域のビジネスリーダー600名以上を対象に同地域における事業の見通しについて尋ねたもので、「New Vision for Asia Pacific: Connectivity creating new platforms for growth」と題する調査報告書が本日、北京で開催されたアジア太平洋経済協力(APEC)会議の場で発表されました。

本調査の結果、CEOの67%が今後12カ月間にAPEC参加国・地域への投資を拡大する予定であることがわかりました。投資先はAPECの全21カ国・地域に及び、特に回答率の高い投資先は中国、米国、インドネシア、香港、シンガポールです。

投資には設備投資が含まれ、CEOの57%が今後3~5年間にAPEC参加国・地域に施設を建設または拡張すると回答しています。また、ほとんどのCEOが新規雇用を計画しており、今後3~5年間に全世界で毎年5%以上の人員増を予定していると回答したCEOは38%でした。

この自信改善を支えているのが、アジア太平洋地域が物理的な面でもネットワーク上でも結びつきを強めているとの見解であり、また同地域では一層バランスの取れた成長が可能であるとの見通しです。例えば、60%近いCEOが製品開発を加速し、市場参入を図るために、ビジネスパートナーと知見や資源をこれまで以上に共有する用意があると回答しています。また、自社の主力産業以外で提携する可能性があると回答したCEOも40%を超えています。

本調査の結果、データ主導型の変化がアジア太平洋地域に影響をもたらしつつあることが明らかになりました。CEOの57%が市場の変化への対応力に自信を深めていると回答し、50%が以前より需要予測に長けていると回答しています。このように回答したCEOの方が、そうではないCEOよりも、成長に「大変自信がある」(67%)と回答する傾向が高くなっています。

その他の調査結果は以下のとおりです。

・国内での競争は激化している一方で、規制対応と租税に関する不確実性が続いています。CEOの20%が国内事業の利益率の拡大に1年前よりも自信がないと回答しています。また規制対応と税負担の予測に対する自信がこの1年間で低下したと回答したCEOも15%に上っています。

・中国で事業展開している企業のCEOのうち、中国市場での成長に「大変自信がある」と回答したCEOの割合(42%)は、中国で生産された製品の海外市場での成長に「大変自信がある」と回答したCEO(32%)よりも高くなっています。

・健全でスキルの高い労働力の確保が引き続き優先課題です。CEOの75%が従業員のための訓練/再訓練プログラムを導入済み、17%が導入予定と回答しています。

・APEC参加国・地域の企業の多くは、デジタルエコノミーに本格的に参入する準備が整っていません。ソーシャルネットワークへの投資が利益をもたらすことに自信があると回答したアジア太平洋地域のCEOの数は半数にも達していません(46%)。APEC参加国・地域の企業のうちソーシャルネットワークに関する各種の対応能力において「大変自信がある」と回答している企業の割合は12%~22%です。

・自由貿易に向けた動きは続いていますが、その進展は遅いものです。CEOの70%がAPECはアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)に向かって進んでいると回答しているものの、半数強(55%)が進展は遅い、また、11%が動きは失速もしくは後退すらしていると回答しています。


【調査方法】
2014 APEC CEO意識調査は、APEC参加の国・地域で事業を営む39カ国635名のCEOおよび業界リーダーを対象に、2014年6~8月、PwCインターナショナル・サーベイ・ユニットにより実施されました。

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[ PwC]
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