テクノロジー・メディア・通信業界のグローバルトレンド『TMT Predictions 2014』 

2014年04月25日
トーマツとデロイト トーマツ コンサルティングは、デロイト トウシュ トーマツ リミテッドのテクノロジー・メディア・通信(TMT:Technology, Media and Telecommunications)グループが発行した『TMT Predictions 2014』を翻訳し、日本語版を発表。2014 年のテクノロジー・メディア・通信業界トレンドの主なポイントは以下の通りである。

テクノロジー

・家庭向け電子機器市場、頭打ち目前か
スマートフォン、タブレット、PC、テレビ、ビデオゲーム機を合わせた家庭向け電子機器市場の規模は7,500 億ドルを超え、2013 年比 500 億ドルの増加、2007 年比では約 2 倍となるだろう。しかし、今後は成長の鈍化が予想され、売上高の伸びも過去 10 年に比べてペースが落ち、年間 8,000 億ドル程度で頭打ちになることが予想される。

・トレンドはウェアラブルグラス
スマートグラス、スマートフィットネスバンド、スマートウォッチの販売台数は約 1,000 万台、市場規模は30 億ドルに到達するだろう。このうちスマートグラスが平均販売価格(ASP)500 ドル、約 400 万台で、最大の売上高となる可能性が高い。スマートフィットネスバンドは ASP140 ドルで 400 万台、スマートウォッチは ASP200 ドルで約 200 万台を売り上げるだろう。

・細分化するタブレット市場
小型タブレット(スクリーンが 9 インチ未満)の稼働台数が、初めて従来型タブレット(9 インチ以上)を上回る可能性が高い。第 1 四半期末までに、小型タブレットの稼働台数は 1 億 6,500 万台に達し、従来型タブレットの 1 億 6,000 万台を僅かに超える見込みである。

・大規模公開オンライン講座(MOOC)への期待は高い
MOOC の登録受講者数は 2012 年比 100%増加し、講座数は 1,000 万を超えるだろう。ただし 2014 年の修了率は低いと予想され、高等教育に相当する全講座における MOOC の修了者が占める割合は0.2%に満たないと考えられる。今後オンライン教育の認知度が高まれば、教育機関は同分野への投資拡大を迫られ、公的な単位として認可されることで一層認知度が高まり活用が進むだろう。

・eVisit(オンライン診療)、21 世紀の往診スタイル
eVisit の利用件数は世界全体で 1 億件に達するだろう。これは通院診療と比較した場合のコスト削減額
が 50 億ドルを超える可能性を示唆し、2012 年比 400%の成長となる。

メディア

・有料チャンネルの複数契約が増加
有料テレビサービスを 2種類以上契約している世帯は2014 年末までに世界中で最大 5,000 万世帯に達し、約 50 億ドルの売上が発生すると予想する。ブロードバンドのサービス契約に組み込まれたプレミアム番組を受信する顧客は 1,000 万世帯増加するだろう。

・新たなテレビ視聴率測定方法の導入で精度向上
ハイブリッド測定という新たな手法が導入され、国内テレビ番組視聴率の測定精度が向上するだろう。この手法は PC、タブレット、スマートフォンでのテレビ視聴も視聴者数に加えて測定するもので、セットトップボックスのチャンネル選択や VOD(ビデオ・オン・デマンド)のサーバーログなど、他のデータセットもカウントされる。

・プレミアムスポーツが放映権料を押し上げる
プレミアムスポーツ放映権料の総額は、2013 年比 14%(29 億ドル)増加し、242 億ドルに達するだろう。欧州各国のトップフットボールリーグ、及び北米のメジャースポーツリーグが新たな契約を結んだことが、放映権料の増加につながっている。

・音楽ソフトの売上を牽引する興行権収入
興行権、すなわち聴衆の前で音楽を演奏・放送する権利に対して支払われるライセンス料収入が初めて 10 億ドルを超えるだろう。興行権収入は少額に思えるが、レコード音楽業界にとっては受け取る金額の大半が最終利益に流れる重要な収入源である。

・衛星を活用した VOD がサハラ以南のアフリカで飛躍
サハラ以南のアフリカ(SSA)地域では特に南アフリカとナイジェリアの高所得層を中心に VOD ユーザーが約100万人増えるだろう。SSA地域ではブロードバンドインフラが不足しているが、衛星とDVRでVOD体験を再現することが可能だ。

通信

・売上高で勝る SMS、送信件数で勝る MIM
携帯電話のインスタントメッセージサービスを通じて送信されるメッセージ(モバイルインスタントメッセージ:MIM)件数は 1 日当たり 500 億件と、ショートメッセージサービス(SMS)を通じて送信される 210 億件の 2 倍以上になると予想する。しかし、2014 年には SMS の世界売上高が 1,000 億ドルを超え、全 MIMサービスの総売上高の約 50 倍になるとみられる。

・2 台目のデバイスとしてのファブレット
ファブレット(スクリーンが 5.0~6.9 インチのスマートフォン)の出荷台数は 3 億台に達し、スマートフォン販売台数の 4 分の 1 を占めるだろう。これは 2013 年の 2 倍、2012 年の 10 倍に相当する。しかし当初の急速な成長は落ち着き、2014 年にピークを迎える可能性がある。

・55 歳以上のスマートフォンユーザー向けアプリ開発不足
先進市場全体で前年比のスマートフォン普及率を最も大きく伸ばすのは 55 歳以上の年齢層だろう。この層のスマートフォン所有率は 2014 年末までに 45~50%に達すると見込まれ、前年比 25%の増加となる。しかし現在 200 万あるスマートフォンアプリでも、高齢者層の使用を意識して作られたものはほとんどない。

・250 ドルの高耐久性デバイスが屋外労働者の生産性を向上させる
一部の屋外労働者にも利用可能な高耐久性デバイスのエントリー価格が 250 ドルまで低下するだろう。これは従来の堅牢性の高い(ラグド)端末の単体利用から、特定の用途に合わせたデバイスと頑丈なケースを組み合わせた利用とすることで実現した。


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[デロイト トーマツ コンサルティング]
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